Zoomの連携サービスを紹介するシリーズ70回の区切りを迎えたのでまとめてみます。なお以前のまとめ記事は下記をご覧下さい。
- 第1回から第10回のまとめ:コロナウィルスが変革を促すリモート営業の人材像
- 第11回から第20回のまとめ:業界特化型サービスの可能性
- 第21回から第30回のまとめ:豊穣なるZoomチャットの世界
- 第31回から第40回のまとめ:Zoomエコシステムに見る米国経済の強さ
- 第41回から第50回のまとめ:既存の境界線を崩すZoomという「劇薬」
- 第51回から60回のまとめ:Zoom連携サービスまとめ6 Zoom録画を検索できるツール
Zoomをマーケティングのツールとして使う
まずは、第51回から60回までの連載を下記にまとめます。
- 第61回 ZoomとWorkRamp連携でオンライン学習を加速
- 第62回 ZoomとSendGrid連携でメールマーケティングを効果的に
- 第63回 ZoomとTrustedPeerで専門家に相談
- 第64回 ZoomとZoho Invoice連携で業務を効率化
- 第65回 ZoomとTidy HQ連携でコミュニティを活性化
- 第66回 ZoomとChargebee連携で御社のビジネスをサブスク化
- 第67回 ZoomとiSAR連携で空の安全もバッチリ
- 第68回 ZoomとMobile Text Alerts連携でSMSマーケティング
- 第69回 ZoomとEnplug連携でデジタルサイネージを簡単管理
- 第70回 ZoomとEpihub連携で個人レッスンを収益化
この中からまず注目したいのが第68回のSMSマーケティングのツール、Mobile Text Alertです。
Zoomをマーケティングのツールとして使うという発想は以前からありました。ただ、日本においては動画による打合せ、オンライン商談のニーズはそれほど強くはなかったと理解しています。典型的には、日本発のオンライン商談プラットフォーム、ベルフェイスです。
「何度も通って恩を売る」とヒラメ筋を魅せるOld営業
いまだに幅を利かせるOld営業
このCMはきわめて秀逸なのですが、逆に言うと日本においてはいまだに「営業は足で稼ぐ」という発想が中心的であるとの証拠にもなります。実際、業者から「ごあいさつにうかがいたいのでアポを取らせてください」という依頼を受けて、「ごあいさつって何?」という疑問を持ったことがある人も多いのではないでしょうか。
ところが、この状況はコロナ禍で一変します。対面から、「リモートでもいい」どころか、感染拡大を防ぐには、「頼むからウチの会社に来ないでくれ」という流れになり、リモート商談のニーズが一気に増加しました。
こうなると、企業側も営業からマーケティングという受注獲得の方法論と体制に大きな変化を強いられます。早い話が、「営業は足で稼ぐ」ことしかできない営業マンは、もはや必要ありません。大事なのは、リードの獲得からナーチャリング、そしてクロージングとフォローアップという一連の流れを設計できる人材です。
しかも、ここに大きな2つの流れが追加されます。それが、デジタル化とチーム戦です。上述のマーケティングを中心とした新しい方法論においては、業務の自動化と効率化のためにはデジタル化が欠かせません。もちろんそれは、「全部機械にまかせる」ということではなく、「大事なところは人間が行い、重要度が低いところは機械にまかせる」という棲み分けです。
たとえば、上述の「ごあいさつ」に来る営業マンを題材に考えてみましょう。お客様の方で購入の必要性がないにもかかわらずアポを取る、もしくは訪問するというのは非効率です。しかも、対顧客サービスという観点からもネガティブな印象を与えるでしょう。そうではなく、日常的にデジタル化によって定期的にメールを配信しておいて、お客様の中で購入の気運が高まったときに人間がリモート商談のアポを取るという方が、効率的ですしお客様の印象も遙かに良いでしょう。
加えて、マーケティングにおいてははたらきかけをするお客様の数が圧倒的に増えます。たとえば、足で稼ぐ営業マンであれば、1日のうち回れるのはせいぜいが5-6件でしょう。ところが、マーケティングでは、数千通のメールをお客様に配信するということも日常的に行われます。これを実現するためにも、やはりデジタル化が必要になるのです。
大きな流れの「チーム戦」も、ここまで来るとご理解いただけるでしょう。お客様に対して、過去に、どのようなメールをいつ配信したかを管理し、それを社内で共有する必要があります。あるいは、お客様からの問合せ履歴も同様です。これをやっておかないと、お客様にしつこいぐらいの頻度でメールを送ってしまったり、問合せに答えずにほったらかしで信用を失ってしまいます。
ここでもまた、「足で稼ぐ」営業マンとの対比が有効です。対面での営業は、個人戦です。「自分の担当するお客様」に「自分がアタック」して、「自分の頭の中で履歴を管理」するのが求められる行動でした。加えて、営業成績に基づくインセンティブがこれに拍車をかけます。「自分のお客様、あるいは営業ノウハウを他の営業マンに知られてなるものか」と思うのは人間の自然な心理でしょう。
日本でも流行るかもしれないSMSマーケティング
この流れの中で、SMSマーケティングのツール、Mobile Text Alertを理解すると、その意義が分かります。上述のようなマーケティング活動において、日本ではメールが中心です。SMS (ショート・メッセージ・サービス)、つまりスマホに届くメッセージによるマーケティングはまれでしょう。むしろ、LINEを使ったクーポン配布の方が一般的です。
しかし、米国の状況を見ると、日本においてもこのSMSマーケティングは盛り上がりを見せるかもしれません。であれば、その題材としてMobile Text AlertとZoom連携をチェックしておくというのは、これからのマーケターにとって意味あることではないでしょうか。