プレゼンテーション必読文献

プレゼンテーションに関する本は世の中にいろいろありますが、その中でも代表的なものを取り上げて書評を加えたのがこのコーナーです。

その数、全46冊。「え~、そんなに読むの…!?」と思った方もご心配なく。私たちプレゼンテーション・カレッジでは、いろいろな人が提唱しているプレゼンの「極意」をまとめたプレゼン入門セミナーを主催しています。

46冊読破するもよし、2時間で学ぶのもよし。

プレゼン上手への道は一本ではありません。

 

プレゼンテーション誌上セミナー第53回 クリス・アンダーソン , 関 美和 (翻訳)著、TED TALKS スーパープレゼンを学ぶTED公式ガイド

プレゼンに興味がある方ならば、TEDはご存じでしょう。その主催者、クリス・アンダーソン氏が裏話を披露しているのが「TED TALKS スーパープレゼンを学ぶTED公式ガイド」。

ただ、本書で解説されていることを実際のプレゼンテーションに取り入れるのは、一工夫必要です。というのは、本書は上級者向けに、「難しいことを難しいまま」書いているから。たとえば、第6章は「ストーリーを語る」です。プレゼンテーションでストーリーを語れたら、それは説得力がでますよね。ただ、問題はそれをどうやって実現するか。本書で述べられているのは、

  • 観客が共感できるような登場人物を主人公にすること
  • 好奇心、社会的な関心、実際の危機を通して緊張を盛り上げること
  • 適度な量のディテールを盛り込むこと
  • 最後に笑いや感動や驚きできちんと締めくくること

だけ。もちろん言っていることは分かりますが、どうやって実現するかは、かなりハードルが高いですよね。たとえば、「笑いや感動や驚きできちんと締めくくる」なんて、それができないから多くの人は苦労しているわけで。

同様に、第5章の「つながる」では、「観客を味方につけるには、ユーモアが役立つ」というテーマで解説がされていますが、これも極めて実現するのが難しいものです。例によって本書は正しい、けれど実現するのが難しい指針しか示してくれていません。いわく、

  1. トークの主題がユーモアに適しているときには、それに関連する逸話を語る
  2. 言い間違えたり、音響に不具合があったり、スライドが動かなかったりしたときのために気の利いた言葉を準備しておく
  3. ビジュアルにユーモアを盛り込む
  4. 風刺を使う
  5. タイミングが決定的に重要
  6. 特に大切なこと、面白くない人間が、面白いふりをしないほうがいい

というもの。

もちろん、一つ一つのアドバイスは間違っているわけではありませんが、実際にやろうとすると、具体的に何から手をつけて良いか分かりません。

ただ、だからといって本書の価値がなくなるわけではありません。なぜならば本書で解説されたテクニックはすべて実際のTEDのプレゼンテーションに裏打ちされたものだから。たとえば先ほどのユーモアの話も、実際のTEDで見ると、「なるほど!」と分かります。具体例で見てみましょう。ケン・ロビンソン卿のユーモアは、プレゼンの冒頭で発揮されます。

「ここまで本当に素晴らしかったですね。…というわけで、もう帰らせてもらいます。」と笑いをとっています。

 

あるいは、ブライアン・スティーブンソンさんは司法制度の不平等という極めてシリアスなテーマも、おばあさんの話をすることで笑いに変えています。

「私のおばあちゃんはタフで、強くて、パワフルで、いつだって家庭内の口げんかを終わらせる役割でした」

「もっとも、その口げんかを始めるのもおばあちゃんだったんですけど」(1:38)

ということで、本書はTEDの動画と一緒に読むことをお勧めします。そうすれば、TEDスピーカー並みのプレゼンテーション力がつくことでしょう。

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プレゼンテーション誌上セミナー第52回 小湊孝志著、半分の時間で3倍の説得力に仕上げる PowerPoint活用 企画書作成術

今やプレゼンの定番とも言えるPower Point (パワーポイント)。その、ちょっと変わった使い方を解説しているのが小湊先生の「半分の時間で3倍の説得力に仕上げる PowerPoint活用 企画書作成術」です。ちなみに、小湊先生ご自身は、グラフィックデザイナーが本業とのこと。そのせいか、やたらと凝った技が紹介されています。なので、副題も「半分の時間で3倍の説得力」は正しくなく、「もしグラフィックデザイナーがパワーポイントを使ったら」とでも言いたくなる内容です。

グラフィックデザイナーのパワーポイントの使い方に脱帽

真っ先に注目したいのは第7章の「プロ並みの表現も?画像加工のテクニック」というところ。人物写真の人物だけ切り抜くテクニックが紹介されていて、びっくりしました(94p)。こう言うのって画像加工ソフトでしかできないと思っていたのですが、パワーポイントでもここまでできるんですね。同様に、「画像を半透明にして合成する」と言うパートでも、これまで画像加工ソフトでやってきたことがパワーポイントでもできることが紹介されています。

同様に、第9章「印刷、プレゼン時に役立つ表示」では、画像をたっぷり使った資料をモノクロでキレイに印刷するための方法が解説されています。たしかに、カラーの画面で作成したパワーポイントの資料がモノクロで印刷するとやたらと見にくくなると言うことはあるので、これもグラフィックデザイナーの著者だからこそ見つけられたテクニックではないかと思いました。

さらに、第12章の「PowerPointで絵が描ける!結合の使い方」は、規定のオブジェクト(四角とか丸とか三角とか)を使って、思い通りの図形を描く方法が解説されていて、これは保存番としても便利ですね。141pに掲載されているトランペットの絵などは、職人技と言っても良いもので、脱帽です。

プレゼン資料の本なのに見にくいのが残念

ただ、残念なのは、本書自体がやたらと見にくいこと。この手の本って、パワーポイントの画面イメージも大たいてい上から下に、視線の流れに沿って掲載されているじゃないですか?ところが本書は、画面イメージが右、下、左のようにランダムに流れているので、どのように情報を目で追っていけばいいか迷ってしまうのです。

また、文章が分かりにくいのも本書の難点で、たとえば冒頭の「はじめに」にある下記の文章なんかも、編集者が句読点の使い方を指導してあげたらよかったのに、と残念に感じてしまいました。

私自身、グラフィックデザイナーとして25年以上の経験の中で、PowerPointは、扱いにくいという先入観もあり、長い間使ったことのないツールでした。しかし、使えば使うほど、その機能は豊富で、様々なデータ形式への展開性など、Power Pointは魅力にあふれています。

なので、冒頭の話に戻りますが、本書はグラフィックデザイナー的にパワーポイントの使い方を知るために割り切った読み方をするのが正解なんだと思います。その観点では、類書にない新たな発見がありました。

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森重 湧太 著、一生使える 見やすい資料のデザイン入門を読む
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書評 森重 湧太著、プレゼン資料が劇的改善一生使える 見やすい資料のデザイン入門

プレゼンの資料を「見やすく、かっこよく」作りたいときに参考になるのが、森重 湧太先生のご著書、「一生使える 見やすい資料のデザイン入門」です…。というか、実はこれ、最初はネット上に公開されたものが大人気で、ついには書籍にまでなったというもの。

ちなみに、元ネタはこちら。本書とかぶるところも多いので、こちらのスライド(以下、「元ネタ」)も参照しながら解説を加えていきたいと思います。

とはいえ、書籍は常に手元に置いて参照できますし、実は微妙にバージョンアップもされてますから、この手のことに興味がある方は一冊購入しても損はありません。

では、行ってみましょう。

1. プレゼン資料のフォントは和文はメイリオ、欧文はSegoe UI、サイズは18pt以上

まずはフォント。これはお勧めがメイリオ18pt以上。その理由として筆者の森重先生は、

  1. Windowsで標準装備
  2. 太字(Bold)に対応
  3. そもそも可読性重視で作られたフォント
  4. 等幅でバランスがとりやすい

と言う4点の理由を挙げていて、納得です。

とくに、1のWindows標準装備って意外と大事で、マニアックなフォントを使うと、pdf形式にしたり他のパソコンで投影するとき、思ったのと違う表現になってしまうので、「アチャー」と言うことがありますが、標準装備ならば避けることが出来ますね。

なお、欧文でSegoe UIをお勧めしているのは、和文フォントとのサイズの差があまりないので、読んだときに違和感がないからだそうです。

ちなみに、パワーポイントのテンプレート機能を使ってフォントを設定するやり方を解説してくれているのも親切ですね。

2. プレゼン資料で改行をコントロールする「イルカの法則」

お次は、元ネタ21pの、改行位置。

プレゼンテーション・カレッジでは「イルカの法則」と読んでいますが、改行位置もちゃんと考えましょう、ということです。これは、

家に入るか入らないか

を表現するときに、

家にはいるかは
いらないか

と言う改行位置だと、「家にはイルカは要らないか」と読めてしまうと言うところからとったものです。

ちなみに、パワーポイントの操作で言うと、改行したいところでShift+Enterを押すことで、文中の改行が出来ます。

3. 配置の4つの基本事項 (位置をそろえる、グルーピング、余白をとる、関係性)

「元ネタ」では「関係性」の代わりに「コントラスト付加」となっていますが、本書中では「関係性」となっていて、こちらの方がピンときます。

資料中にキストボックスを掲載するときにはサイズをそろえるのはもちろん、縦横の位置をそろえましょう、というのは「元ネタ」27pを見ても納得です。

また、関係性に関しては、

    • 順番のあるものは縦に置くとスムーズに理解しやすい
    • 比較したいものは横に置くと見比べやすい

との解説が本書でなされています(67p)。

4. プレゼン資料の色は3色で必要にして十分

色使いに関しては、

  • 色数は出来るだけ少なく
  • 色の使い方を統一する
  • 色に頼らない

というのが森重先生のお勧め。具体的には、

  • ベースカラー (背景色白+文字色黒が基本)、全体の70%程度
  • メインカラー (見出し、ボックス、強調させたいところ等)、全体の25%程度
  • アクセントカラー (特に注目を集めたいところ)、全体の5%程度

の3色で必要にして十分、と(「元ネタ」41p)。

ちなみに、ベースカラーに関して、本書では

どぎつい印象にならないようにコントラスト差を減らそう

と提唱されていて、背景色がややくすんだグレー、文字色も真っ黒黒ではなく、少し黒みを抑えたものになっています(78p)。

あと、上記の3つの色の割合も、「元ネタ」ではなく本書で解説されているものです。

5. テキストの強調でプレゼン資料を「それっぽく」する

テキストの強調に関しては、

  • 数字は大きく、単位は小さく
  • 短い単語は文字と文字を離す
  • かこんで強調しようとしない

と言う3点が提言されています(「元ネタ」48p)。

たしかに、これをやるだけでなんとなく「それっぽい」雰囲気が出ますから、これも余裕があったら取り入れたいものです。

プレゼン資料で大事なのは「中身」

ただ、気をつけなければいけないのは、本書で述べられているデザイン面はあくまでも「サブ」であること。その前にまずは「何を伝えたいのかを決める」というステップが必要であり、こちらの方がプレゼンにおいては「メイン」であり重要です。

典型的には、本書の10p、11Pの解説です。

リンゴとは赤くて、丸くて、直径10cmぐらい、木になる果実で、食用として幅広く栽培されている。生食が一般的だが、アップルパイなどの加熱処理を行って食べる場合もある。重さは300gぐらい。切断すると白い。種は黒い。

と言う文章を、視覚で伝えるのが正解であると解説されています。でも、これはあくまでも「リンゴの見かけを伝えたい」という場合。もしも、伝えたいことが「リンゴの食べ方」であれば、11pに掲載されているビジュアルはNGです。聞き手としたら、「いや、そういうことを知りたいわけじゃないから。ビジュアルに時間かけてないで、本質的なことを話してくれよ」と思うでしょう。

ただ、このメインとサブの話はけっこう微妙で、サブである見せ方にこだわるからこそ、「ここでは何を伝えたいんだっけ?」とメインが決まるところもあるのです。どれだけ優れたプレゼンターでも、最初から「伝えるのはこれとこれ」と決まるわけではないですからね。推敲していくうち、「そうそう、自分が本当に言いたいのはこれなんだよ」と分かってくると言うことも起こります。

こんなことを念頭に本書を読むと、より有意義にプレゼン資料の作成に使えるのではないかと思いました。

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書評 鳥谷 朝代著、1分のスピーチでも、30分のプレゼンでも、人前であがらずに話せる方法

あがり症克服協会」ってご存じでしょうか?

その名の通り、人前で話すときに「あがる」、つまり緊張してうまくいかない人に、それを克服する方法を伝授しているそうです。その理事長を務める鳥谷先生のご著書が、「1分のスピーチでも、30分のプレゼンでも、人前であがらずに話せる方法」です。

人前であがるのは体が緊張しているから

具体的な方法論をいくつか紹介しましょう。例えば、「ストレッチ」。というのも、鳥谷先生によると

あがり症の人はたいてい体がガチガチに硬いです。

これをほぐすためのストレッチで、筋肉が緩むと精神状態もリラックスできるとのこと。とくに、眉の間にある皺眉筋(しゅうびきん)や首から肩にかけての僧帽筋をほぐすのがお勧めだとのことです。

あるいは、緊張のあまり手足の震えが起こるのを防ぐためには「3首ユルユル体操」がいいとのこと。その名の通り、首と手首と足首という体の中の3つの「首」がつくパートをユルユルさせるというものです。

さらに、あがりやすい人は姿勢が悪いと言う共通点があり、これを避けるのが「壁立ち」。壁に背中をペタッとつけたとき、下からかかと、ヒップ、肩甲骨、後頭部が壁についているのが正しい立ち方だとか。

このように、具体的かつすぐ出来るノウハウが紹介されているのが、この本の魅力だと思いました。

本当に大事なのは腸内環境

一方で、あがりを防ぐ根源的な方法は「腸内環境」をよくすることですから、これにも触れられていると、読者にとっての本書の価値は一層上がったのではないかと思います。ましてや、「セロトニン不足は、上がりにも影響を及ぼす」(171p)、「『お腹が痛くなる』悩みの対処法」(175p)まで説明しているわけですから、もう一歩踏み込んだ内容が欲しかったところ。

実はスポーツの世界でもメンタルが強い選手は腸内環境が良いというのは「常識」になっていて、たとえば元浦和レッズの鈴木啓太選手は、腸内環境を整えるコンサルティングを提供する会社を設立しています。もちろん、上述のように具体かつすぐ出来るノウハウは大事なのですが、それだけでは根本的なあがりの解決にならないんです。いくら慣れても、あがる人はあがっちゃうわけで。なので、この腸内環境の話は、人前でプレゼンする機会が多い人は、押さえておいた方が良いと思います。

ビジネスにふさわしいプレゼンの10のポイント

さて、本書の後半は、ちょっと難易度が上がってプレゼンの話です。

そこで紹介されているのが、下記です。

  1. 相手を知る
  2. 目的を理解する
  3. 時間を確認する
  4. 全体のイメージをつかむ
  5. ポイントを明確にし、盛り込む内容を決める
  6. 舞台を演出する
  7. 視覚に訴える工夫を
  8. ビジュアルハンドも演出として効果的
  9. 「第一印象の法則」を忘れずに
  10. 情熱を持って

ただ、これも上述の「あがらないため」の方法論に通じるところがありますが、このような具体的かつすぐ出来るノウハウに加えて、本当に大事な「プレゼンテーションは聞き手中心」というコンセプトにも触れられた方がベターだと思いました。そのために、聞き手の意識をコントロールするノウハウがあるわけで、そこまで踏み込んだ解説をしてあげた方が、本書の価値がより高まるのではないかと思います。

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吉澤 準特  , 葛城 かえで (その他), もとむら えり (その他)著、マンガでやさしくわかる資料作成の基本を読む
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書評 清水 久三子著、プロの資料作成力 意思決定者を動かすテクニックとおもてなしの心

プレゼンテーションの資料作りって、実は料理に例えられるそうですね。

というのは、料理もどれだけおいしいものでも、その日の気分にマッチしていなければ喜ばれないじゃないですか。プレゼンも同じで、「情報の質と量が適切で脳に納めやすい」のは当然として、それが聞き手にとって「論理的/感情的に受け入れやすい」かどうかも大事だから。

料理でいうと、「メニューがその時の状況や体の状態にふさわしい」かを考える必要があるのと同じです。こんなたとえ話でプレゼンの資料作成を解説しているのが、清水先生の、「プロの資料作成力 意思決定者を動かすテクニックとおもてなしの心」です。

キーになっているコンセプトは、「おもてなし」。

なので先ほどの料理の例が出てくるわけですし、聞き手の気持ちにも目配りを忘れない視点は「なるほど」と思いました。

ただ、おもてなしが前面に出ているせいか、ロジック(論理性)の説明が弱くなってしまったのがちょっと残念。ちなみに著者の清水先生は「ロジカル・ライティング」のご著者でもあり、どちらかというとロジカルな文章がお得意領域かと思いますので、そっちの話も本書で詳しく教えて欲しかったです。正直、プレゼン資料で「相手に感動を与える」まで考えちゃうとキツくて、料理で言えば「お腹いっぱい」とでも言うか。

プレゼン資料作成の3つの要件と5つのステップ

さて、内容に関しては、まずは「プロフェッショナルな資料の3つの要件」として下記の3点が挙げられます(ここで「感動」が出てくるわけです)。

  • 期待値を理解している
  • 達成基準が高い
  • 安心・満足・感動を与える

さらに、そのためのアプローチとしては、

  1. 目的
  2. ターゲット
  3. メッセージ
  4. 構成
  5. ビジュアル化

と言う5ステップが提唱されています。ちなみに、最初の3つの順番は、

必ずしもこの順番でなければならないというものではありませんが、基本的には「目的」が最初になります。場合によっては、たとえばカリスマ性がある方の講演などの場合には、メッセージが先になってもかまわないというケースもないわけではありません。しかし一般的には「目的」-なんのために資料を作ろうとしているのか、今回の資料で誰にどういうアクションをとってほしいのか、がスタート地点になります。

とのことで、これは確かにそのとおりな気がします。

プレゼンはロジックを練り込む

一方で、最初にも書きましたが、「論理的整合性」に関してはイマイチと感じてしまって、本書で示されているスライドのサンプルは、読者が改めて「その次」を考えるためのヒントと割り切って読んだ方が良さそう。例えば、111pに掲載の「インターネット閲覧制御ソフトニーズ調査」のAfterのスライドは、メッセージが、

インターネットの有害性に対して、約90%の親が何かしらの対応を行っており、特に低学年の子供を持つ親はその危険性を強く感じている。しかし、制御ソフトの使用率は依然低く、浸透しておらず、閲覧制御ソフト販売には、潜在的なニーズがある。

ですが、

  • スライドメッセージに様々な要素が盛り込まれて文章が長すぎる
  • この情報からは「制御ソフトの使用率が依然低く」は論理的整合性を持っては言えない (時系列による比較がないと「依然」という言葉は使えないし、「低い」を言うためには他国の事例や似たようなソフトの利用率など他の判断軸が必要)
  • この情報からは「閲覧制御ソフト販売には、潜在的なニーズがある」は論理的整合性を持っては言えない (常識的に考えて、危険性を認識しているのに制御ソフトの使用率が低いと言うことは、ニーズがないのでは?)
  • 図の右側の「平均」が何を意味しているかわかりにくい

などの改善点がパッと思いつきます。

同様に、121pに掲載の「高齢化の今後の傾向」というスライドのAfterも、メッセージが

1990年代半ばに、老年人口と年少人口が逆転し、老人1人を支えるために必要な生産年齢人口は年々減っており、今後は老後保障は自助努力で準備する必要が高まると言える。

ですが、

  • 老年人口、年少人口、生産年齢人口の関係がわかりにくい (メッセージにもデータにも、年少人口を掲載する必然性はないのでは?)
  • スライド下部にある「10人で一人の老人を支えていた」…があれば、メッセージの根拠としては十分であり、グラフは添付資料に回すべきでは?

などの改善点が思いつきます。

以下、最初にも書いた5ステップに沿ってのポイントをまとめました。

1. 目的

 どんな行動をとってもらいたいのか

 そのために何を理解してもらいたいのか

 そのためにどのような状態にするべきか

ターゲット

 プロファイリング

  メインターゲットとサブターゲットを決める

  人物像

  期待-把握した上で、いい意味で裏切る

  情報-Why, What, Howのカテゴリーそれぞれの保有情報量を3段階で評価

  理解-相手の使用言語にあわせる

  仮説-プロファイリングのゴール

メッセージ

 メッセージ=主張x根拠

  要件1ロジックエラーがない

  要件2「5回以上の”なぜ?”に耐えうる」

  要件3 感情に染み入る

構成

 資料全体の構成

 スライド内構成のチェックポイント(バランス-左右対称、視線の流れ-上から下・左から右、余白-30%程度)

ビジュアル化

 情報の質を高める

  使う言葉を選び意味を定義する

  具体と抽象のバランスをとる

  タイトル・見出しと内容の食い違いをなくす

 情報の量を適切にする

  まずは減らす

  因数分解する

  量を制限する

 表を加工する

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吉澤準特他著、マンガでやさしくわかる資料作成の基本

「プレゼンの資料作成をどうしたら良いか…」なんて悩んでいる人が思わず手に取ってしまうのが、「マンガでやさしくわかる資料作成の基本」。ただ、本書の魅力は外資系コンサルが使うハイレベルな技なので、普通の事業会社に勤めている方ならば、資料作成とプレゼンの上級者になってから読むのが安全です。ちなみに、「コンサル」と言ってもシステム系のコンサルっぽいので、戦略系のコンサルトは若干タイプが違うとお見受けしました。なので、システム系の仕事をしている方には、本書のテクニックがより響くのかもしれません。

プレゼン初心者は注意深く読み進めるべし

著者の吉澤先生は外資系コンサルティング会社勤務とのことなので、その世界では「当たり前」なのかもしれませんが、読みが浅い初心者が形だけ本書のマネをしようとすると、思わぬヤケドをしてしまいそう。たとえば、「相手の理解度に応じて情報の細かさを決める」というパートでは、こんなエピソードが紹介されています(77p)。

ある商品の売上が3ヶ月連続で前年比を下回っていたとしましょう。しかし、その商品を担当する社員は「いくつかの要因が運悪く重なって売上が落ちてしまっただけ」であると確信していました。数値データに従えば、今後も商品の売上は低下する可能性が高いから、何らかの手を打つ必要があると言えます。一方で、現場担当者の見通しを信じるのであれば、来月からは売上は改善するため、他の課題に取り組むべきであると判断することもできます。

このような状況でプレゼンする際には、下記のような提言が本書ではなされています。

データ重視する相手に対して、現場意見重視のアプローチで結論を出しても、「担当者の言ってることも分かるけど、数値傾向は無視できない」と反論されるのは明かです。

いや、普通に考えれば、その現場担当者の判断が妥当かどうかを検証するのが先ですよね。その結果をもって、相手を説得するためにプレゼンをするというのが通常の仕事の進め方でしょう。ところが、上記の説明ではまるで、「データを重視する相手の意向におもねって結論を変えてしまう」ように読めてしまいます。

ただ、そう読んでしまうのはきっと素人の浅はかさで、外資系コンサルの方ならば、このような問題の発見と解決を高スピードで進めるので、このようなアプローチになるのでしょう。

似たような話としては、「内容のボリュームと分かりやすさの比較」のパートでは、主人公が

たくさん書けば書くほど分かりづらくなっていたなんて…シンプルがいちばんですね

といっていますが、これだと「とにかくシンプルにすればいいんだ」と初心者は誤解しかねません。

これも実は、練りに練った文章を考えられるのであれば、シンプルにすべし、と言うのが著者の本当にいいたかったことと拝察します(もしくは逆に、言葉をシンプルにするために文章を練り込む)。あるいは、前述の「相手の理解度に応じて情報の細かさを決める」と照らし合わせれば、「ある程度わかっている相手にはシンプルにするが、前提条件を共有できていない相手には細かく丁寧に伝える」と理解してもいいのかもしれません。事実、著者もかなり情報量の多いスライドを「いい例」として掲載していますし(87p)。

プレゼン中級者から上級者への脱皮のために

逆にいうならば、プレゼンや資料作りの中級者を脱して上級者になりたい人には本書はお薦めです。「資料作成の3つの段階」のパートで述べられている、

  1. スケルトン:資料の目次・概要を作る
  2. ドラフト:資料を肉付けする
  3. フィックス:資料の見映えを整える

というのは、王道的なアプローチです。しかも、上記のそれぞれのパートで中級者が陥りがちな失敗例が丁寧に解説されているので、「そうそう、こういうノウハウが知りたかったんだよ」と納得感があるでしょう。例えば、122pで示されている「スケルトンで失敗するパターン/失敗しないパターン」は、心当たりがある人も多いのでは?

同様に、PREP法を解説したパートでも、通り一遍の

  • Point (主張)
  • Reason (理由)
  • Example (事例)
  • Point (まとめ)

で終わらせずに、自分の意見をアピールする当事者スタイルと相手の判断にゆだねる専門家スタイルに分けてPREP法の応用編を解説してくれています。中級~上級の読者ならば、これを見ながら、自分の置かれた状況と説明の相手に合わせて、より適切な説明のスタイルを考えられるでしょう。

外資系コンサルの実務が垣間見える魅力

また、ところどころに挟まれている「コーヒーブレイク」は、外資系コンサルタントのリアルな話が垣間見れて、興味深いものです。たとえば、92pで解説されている「相手のタイプに合わせて資料の構成と伝え方を意識する」のところでは、聞き手を

  • 結果を重視←→過程を重視
  • 自己判断を重視←→他者意見を重視

の2軸の4タイプに分けています。それぞれのタイプへの対応法として、こだわり志向タイプ(課程+自己判断)だったら、

相手の判断を突き崩すデータを提示すると資料の内容を受け入れてもらえる可能性が高まります。また、議論の本質とは関係のない表やグラフに興味を示すと、相手は興味本位で、細かい質問を重ねて議論を長引かせる要因になるため、必要最低限のコンテンツで議論に臨みましょう。

と言う提言で、「あ~、あるある」と納得してしまいます。

ちなみに他のタイプは、結果+自己判断が実用志向、結果+他者意見が低リスク志向、課程+他者意見が強調志向。

ということで、それこそ外資系コンサルで働くような、ある程度の資料作りのレベルに達している方は、手に取ってはいかがでしょうか。下記、他にも本書で参考になったポイントをまとめました。

●思い込みによる資料作成の失敗パターンは、ゲスとゴールドプレーティング

●資料作成で最初にしなければならないこと
Who: 資料を見せる相手
What: Whoに対して何をして欲しいのか
Why: 相手(Who)と狙い(What)が妥当である理由

●情報量を少なくするには、まず目次を作る

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竹島 慎一郎 著、パワポで極める 1枚企画書 PowerPoint 2002,2003対応 (ビジネス極意シリーズ)を読む
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書評:竹島 慎一郎著、パワポで極める 1枚企画書 PowerPoint 2002,2003対応 (ビジネス極意シリーズ)

「チラシ」を作ることってありますか?

社内・社外問わずに、イベントの告知や新商品の紹介など、紙をばらまいて知らしめたい…。と言う時に参考になるのが、パワポで極める 1枚企画書 PowerPoint 2002,2003対応 (ビジネス極意シリーズ)です。

書名には「企画書」と入っていますが、本書で紹介されているパワーポイントを使ったテクニックの数々は正直なところ企画書作成には向いていません。なぜならば、企画書は何度も何度も書き直しながら内容をブラッシュアップしたり、関係部署との調整を図っていくべきものだから。ところが、本書のようなキレイな企画書をつくってしまうと、この「何度も何度も書き直し」というのが極めて非効率になります。

たとえば、29pに紹介されている「ロジックフロー図」。これはこれで重要なものですが、何度も書き直すという観点では、これはワープロソフトヤメもアプリで作るべきものです。なまじパワーポイントでキレイにつくってしまうと思考がそれに固定化されてしまいますね。こんなのを部下から見せられた上司は、「くだらないことに時間使ってないで、もっと本質的なことを考えろよ」と言いたくなってしまいます。

では、本書がまったくのムダかというとそんなことはなくて、それが最初に紹介した「チラシづくり」です。

そう、企画の段階で試行錯誤して練り上がったものを、「どうやって他人に見せて、興味を引きつけるのか」という観点で本書は読むべきであると考えます。もっとも、著者の竹島先生はこのような指摘はとっくにご存じで、37pにある「1枚企画書がカバーするフィールド」で、このような「何度も書き直す」というプロセスの重要性を説明しています。

さて、本題に戻ってパワーポイントでキレイなチラシをつくるコツですが、本書で参考になるのが何と言っても要所要所にはさまれた「作成ポイント」。普通にパワーポイントを使ってしまうとビジネスっぽくて無骨なものになりがちですが、オシャレにまとめる方法論はまさに目からウロコ。たとえば、61pで紹介されている、「角丸四角形の中に写真をはめ込む方法」というのは、パワーポイントに写真を掲載する際に、四隅を丸くトリミングしたような形で見せてくれるというワザで、たしかにできあがりが「柔らかい」感じになります。

あるいは、155pで紹介されている、「重なった図形を白く抜く方法」。パワーポイントの初心者は、ここまで考えないのでできあがりが「のっぺり」とした平面的なものになりがちですが、一手間加えることで、なんとなく「かっこいい感じ」を出すことが分かります。

と言うことで、パワーポイント初心者を脱して、かっこいいチラシづくりが求められる人は、チェックしてみてはいかがでしょうか?

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竹島愼一郎著、エクセルで極める1枚企画書 Excel 2007,2003,2002対応 (ビジネス極意シリーズ)

プレゼンテーションの資料作りの定番ソフトと言えばパワーポイント。ところが、Excel (エクセル)でもパワーポイントに負けず劣らずのプレゼン資料が作成できるそうです。そんなすごいワザを紹介しているのが、「エクセルで極める1枚企画書 Excel 2007,2003,2002対応 (ビジネス極意シリーズ)」。著者の竹島先生のお名前は存じ上げなかったのですが、紹介文を読むと「企画書デザインのNo.1カリスマ」とのこと。たしかに、本書の中に示されている100個の資料例では、常人には思いつかないような色遣いもあり、ものすごいバラエティーに富んでいます。

竹島先生いわく、エクセルでの資料作りはパワーポイントに比べてメリットもあって、

成功パターンが凝縮されたフォーマット(定型文書)として利用できる

結果として、

スピード重視(デザイン性も豊か)

になるとのこと(3p)。

そんな本書の最大の魅力は、先ほども書きましたが企画書の例が100パターンも掲載されていること。いや、それどころか、読者がダウンロードできるサービスも用意されており、そこにはなんと企画書例500パターンが収められているとか。これだけでも、若干高めの値段(1,800円)の元を取った気分になれるのかもしれません。

また、Excelの使い方の細かいネタが載っているところも本書の魅力で、たとえば「散布図を使って成長曲線を描く」(51p)は、「なるほどなぁ」と思いました。成長曲線のS字カーブって、意外と書きにくいのですが、これならばできそうです。

一方で、エクセルでのプレゼン資料作りのメリットとされている「スピード重視」は、最後までピンと来ませんでした。なんだか、やたらと難しいテクニックに見えるし、そもそも企画書って何度も作っては書きなおすをくり返していくものだと思うんですよね。でも本書は、既に決まったフォーマットに当てはめて書く、のように見えてしまって、これってそもそも企画書作りではないのでは?と思ってしまいました。というか、多分そうなんでしょう。別の形で練りに練った企画書を、最後に「どうやって見せようか」というときに、100のパターンから選んで当てはめるというのが本書の使い方なんだと思います。

と言う観点で見ると、100のパターンは、たしかに使いこなせば便利かもしれません。とくに、聞き手の視線の動き(竹島先生は「見えない力学」という言葉で表現されています)を意識した上で、6種類のフローパターンが提示されているのは、本書に掲載されたフォーマットを使う、使わないにかかわらず有効だと思いました。

6種類のフローパターン

  • 2階層
    • Z型
    • コ型
    • 逆N型
  • 3階層
    • Zx2型
    • エ型
    • 逆Nx2型

ある程度プレゼンになれている方で、しかもエクセルの上級者ならば、本書を読んで損はないと思います。

画像はアマゾンさんからお借りしました。

書評:開米 瑞浩著、エンジニアを説明上手にする本 相手に応じた技術情報や知識の伝え方

エンジニアの方がプレゼン上手になるためには特有のコツがあるそうです。というのは、システムであれ精密機械であれ、エンジニアの話は技術的に難しいものが多いから。なので、聞き手に厳密に分かってもらう必要があり、ここに普通のビジネスパーソンとは異なるプレゼンのコツが求められるのです。これを分かりやすく解説してくれるのが、開米先生のご著書、「エンジニアを説明上手にする本 相手に応じた技術情報や知識の伝え方」です。

もし普段の仕事で「人に説明する」ことが多いエンジニアの方ならば、ぜひ読んでいただきたい…のですが、実はこの本には気をつけなければいけないところがあります。というのは、著者の開米先生自身が「元・組み込み系ITエンジニア」とのことで、本書は「エンジニアによるエンジニアのためのプレゼンテーションの本」。そりゃ、エンジニアの人が読めば納得感は高いでしょう。ただ、一般の(非エンジニア)ビジネスパーソンが読むと、「それって、違うのでは?」と思うところも少なくありません。

典型的には、「プレゼンテーションのセリフの流れはあらかじめ考えておく」というところ(110p)。一般的には、セリフを考えてスクリプト(セリフと「間をとる」などの演出を書きだしたもの)は、プレゼン準備の段階で作りません。なぜならば、「決まりきったものを読み上げる」ことになり、プレゼン本来の「聞き手を惹きつける」要素がなくなってしまうから。もちろん、プレゼン初学者、例えば学生向けのプレゼンの本の中には、「原稿を書く」事を勧めているものもありますが、それは同時に「練習の過程で原稿への依存度を少なくすること」とセットになっています。

ところが、本書「エンジニアを説明上手にする本」だけを読むと、「現行をしっかり準備してプレゼンに臨まなければならない」という誤解が生まれかねません。もちろん、著者の開米先生もそのリスクは分かったうえで、それでも文字に起こすのは『よいトレーニングになる』から勧めているとは思いますが、エンジニアでプレゼン初心者の方は、ちょっと注意して読んだ方が良いかと思います。

以下、ポイントを記載します。

狭義のプレゼンテーションと広義のプレゼンテーション

一口に「プレゼン」と言っても様々な目的があり、大きくは

  1. 知識理解:聞き手にある知識(概念)を理解してもらう
  2. 手順理解:聞き手にコンピュータの操作などの実演手続きを理解してもらう
  3. 情報収集:プレゼンの聞き手から情報を引き出す
  4. 説得:話し手が提案したことを聞き手に納得してもらい、アクションをとってもらう

の4つに分かれるというのが本書の主張です。一般的には4番目の「説得」がプレゼンテーションですが、本書では幅広く1、2、3番もプレゼンテーションと捉えています。3番目の「情報収集」はちょっとピンと来ませんが、

ヒアリングをする時には「必要な情報を聞き出す」という目的のために「聞きたいことを相手に説明する」行為を伴うわけで、プレゼンテーションを同時に行っているといえます

とのこと(57p)。この解説が妥当であるか否かと言うよりも、エンジニアの人はこのようにプレゼンテーションを捉えているという観点で参考になる指摘です。

ラスムッセンのSRKモデル

ここは何やら大事なポイントっぽいのですが、もう一つ理解が進みませんでした。その前提で分かった範囲でまとめると、デンマークのラスムッセン教授が1983年に提唱した「SRKモデル」を理解すると、ミスが防げるとの考えが基本です。なぜならば、人間が何らかの行動をとる際には、

スキル (Skill)

ルール (Rule)

知識 (Knowledge)

のいずれか(もしくは複合的な?)の要素によって判断しているので、「どの要素によって判断するか」が分かると、「なぜミスを起こしたのか」が理解しやすいから(すいません、ここの説明はあいまいですね)。本書では、「チャーハンに味付けするためにNグラムの塩をふる」という行動を題材に、これをミスなく実行するためには、「塩を入れると塩味がつく」という「知識」と、そのためには「Nグラム」の塩をふるという「ルール」に基づいて人は行動しているとのこと。ところが、慣れてくると、

「適当につまんだ量が適切な量になっている」わけで、この場合はもはや数字を意識しません。これが「スキルベース」の行動です。

という解説になります(66p)。

このSRKモデル自体を理解していないせいなのかも知れませんが、これがどのようにプレゼンテーションに関係してくるかは、読みとれませんでした。チャンスがあったら本書をもう一度見返して、改めて確認したいと思います。

画像はアマゾンさんからお借りしました

プレゼンテーション誌上セミナー第46回 前田 鎌利著、社内プレゼンの資料作成術-3分で一発OK

社内プレゼンの資料作りで悩むことは多いですよね。なまじ相手が「その分野について知っている人」なだけ、曖昧な言い方は許されないし、かといって細かすぎる説明では聞いてもらえないし…。

そんな難しい社内プレゼンの資料作りのヒントになるのが前田先生の著書、「社内プレゼンの資料作成術-3分で一発OK」です。

前田先生は、もともと勤めていたソフトバンクで社長の孫さんに対してプレゼンしていたような方ですから、「エライ人(=決裁者)を相手にプレゼンしてイエスを引き出す」ためのヒント満載です。とくに、相手が忙しいことを考えると、いかにシンプルにまとめるかがポイントで、そのような思想が随所に現れています。典型的には、「13文字ルール」。プレゼンのタイトルやキーメッセージ(いちばん伝えたいこと)は、13文字以内でまとめよ、となります。

社内プレゼン資料では13文字を意識する

実例で見てみましょう。

売上未達を改善するための戦略提案について

はNGキーメッセージ。20文字なので、パッと読んだとき頭に入らないからです。むしろ、

売上未達改善のための戦略提案

と11字にした方が良い、となります。

同様に、

今月も加入者は約4000件の増加が見込まれる

ではなく

加入者4000件増

が良いということになります。その理由として筆者の前田先生は、

1字1字読んで、ようやく意味が分かるのではダメ。パッと見た瞬間に、意味がスッと頭に入ってくるようにしなければなりません。(中略)人間が一度に知覚できる文字数は、少ない人で9文字、多い人で13文字だと言われています。(64p)

ロジカルなプレゼンはキーワードでまとめない

一方で、これは実は「社内プレゼンだけ」に通用するテクニックであることには注意しなければなりません。なぜならば、キーワードでまとめた箇条書きは、読み手にとって様々な解釈があり得るため。たとえば先ほどの「加入者4000件増」。これを見た人は「加入者の4000件増がみこまれる」という理解をしてくれるとは限りません。

加入者が4000件も増えたんだ (それはすごい)

と考える人もいれば、

加入者が4000件増えなければならない (それは大変)

と読む人もいるでしょう。

つまり、前提条件や「常識」が異なる社外の人を聞き手としたプレゼンでは、13文字以内で頭にスッと入ってくることよりも、雑多な解釈を許さない主語・述語・目的語がある文章の方が優れています。まあ、ここら辺はロジカルシンキングの基本ですね。

同様に、104ページで解説されている、グラフの項目名を「単語に置き換える」と言う話も、社外のプレゼンでは使わない方がベターです。実際、105pの例で見ても、「共有施設」、「開放感」が何を指しているかは、上記の説明と同様、様々な解釈が成り立ちます。

プレゼン資料が独り歩きするリスク

社外向けのプレゼンではキーワードでまとめない方がよいのには、上述の他にもう一つ理由があります。それは、プレゼンを聞いていない人が資料だけを見ることがあるから。もちろん、それは社内プレゼンでも同じですが、社内の場合には「これってどういうことですか?」とあとで問い合わせが楽じゃないですか?

でも、社外の人にプレゼンした場合、プレゼンターの連絡先が分からない場合も多く、問い合わせをくれるとは限りません。そうすると、資料が独り歩きとでも言うか、読み手の勝手な解釈があたかもプレゼンターの意見であるかのごとく世間で流布してしまう可能性はあるのです。

社内プレゼンで絶対に押さえるべき3つのポイント

上記の「13文字ルール」はどちらかというと表現面(ドキュメンテーション)ですが、内容面(コンテンツ)のポイントでは、「社内プレゼンで絶対に押さえるべき『3つのポイント』」(45p)は、逆に社内プレゼンに絞ったことによって、「なるほど」と思えました。

    • 「本当に利益を生み出すのか?」という財務的視点
    • 「現場でうまく回るのか?」という実現可能性
    • 「会社の理念と合っているのか?」という経営理念との整合性

がそれで、たしかにこれらのポイントが「イエス」と言えるものでなければ、社内で合意をとれるはずもありません。とくに2番目の「現場でうまく回るのか」と言う視点は社内プレゼンでは不可欠で、これがないと「言ってることは分かるけど、ウチの部署に負担がかかるから反対」のような抵抗勢力を生み出しかねません。

仮にこれを社外向けの一般的なプレゼンに当てはめると、財務的視点を「儲かるからやりたい」すなわち「Will」、実現可能性を「できる」すなわち「Can」、そして経営理念を「やるべき」すなわち「Must」と読みかえて、自分のプレゼンを

    • Will
    • Can
    • Must

の3つのポイントでチェックすると有効、と言うことになります。

このように、表現面、内容面でヒントがありますので、プレゼンは社内向けが多いという方はチェックしてみてはいかがでしょうか?

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画像はアマゾンさんからお借りしました。

プレゼンテーション誌上セミナー第45回 西脇 資哲著、プレゼンは「目線」で決まる―――No.1プレゼン講師の 人を動かす全77メソッド

プレゼンで気をつけるべきことはいろいろありますが、ホントのところ一番大事なのって何でしょう?

それは、「視線誘導」。つまり、聞き手がどこを見ているのかをコントロールすることだというのが、プレゼンは「目線」で決まる―――No.1プレゼン講師の 人を動かす全77メソッド西脇先生の主張です。

というのは、

「相手の目が見ていないもの」について伝えても99.9%理解されない

から。逆に、

「自分が伝えたいこと」と「相手が見ていること」を一致させる

ことができると、話し上手かどうかは別にて聞き手に伝わるプレゼンテーションになるそうです。

プレゼンは目線で決まる

このような(良い意味での)テクニックは、実はプレゼンだけのものではないそうです。たとえばテレビのキャスターとして大活躍の池上彰さんもこの視線誘導をつかっているとのこと。たとえばテレビの中でフリップボードを手に解説するときにも、

では、いちばん上のこの項目ですけどね

のように、たとえテレビという媒体を通してでも聞き手がどこを見ているかを指示しているからこそ、「分かりやすい説明」ができるんだそうです。

これを実際のプレゼンの現場でやるために、西脇先生が普段から実行している意外な工夫が二つ紹介されていて、

  • 「手元資料」は配布しない
  • 「指し棒」「レーザーポインタ」は使わない

というのがそれ。え?それって、アリ?と最初は思ったのですが、解説を読んでなるほどです。

手元資料を配らないのは、

聞き手に下を向かれてしまうと、視線誘導にもマイナス

だからとのこと。たしかに、逆の立場で考えても、資料を配られると最初から最後までパラパラッと見て全体像を先に把握したくなりますよね。で、これはプレゼンターの立場からするとマイナスである、と。ただ、そうは言っても聞き手は資料を欲しいものですから、そこはITに強い著者ならではの解決策が提示されていて、

プレゼン終了後にオンラインストレージのURLを伝えて、そこからPDFなどをダウンロードしてもらう

ようにしているとのこと。これならば、たしかに聞き手に親切ですね。ちなみに著者はマイクロソフトで「エバンジェリスト」、つまり製品を広める役割を担っているそうで、ここでいう「オンラインストレージ」は同社のOne Drive何かを指しているんでしょうね。これならば一石二鳥です。

レーザーポインタも似たような話で、

残念ながら聞き手は、レーザーが当たった文字の先をほとんど見てはくれません

ということで、西脇先生の主張する「視線誘導」の力がそれだけ弱まってしまうのでしょう。

プレゼン資料も視線誘導を意識する

また、この視線誘導という考えは、プレゼン資料の作成においてもいかされます。たとえば、「スーパーの折り込みチラシに学ぶ『数字』の見せ方」と言うパートでは(84p)、数字に視線を誘導するために

単位のフォントサイズを2割ほど小さくする

ことが提唱されています。要するにこういうことで、

200円の商品が好調

ではなく、

200の商品が好調

と見せた方がより「200」という数字に視線を誘導できると言うことです(スマホだとフォントサイズが変わらないのでちょっと分かりにくいかもしれないです)。

西脇流、プレゼン作成の4ステップ

視線誘導を踏まえ、西脇先生が企画から実際にプレゼン資料を作成するまでの流れが本書の後半では紹介されています。

大きな流れとしては、

  1. A4用紙1枚のシナリオにまとめる
  2. スライド作成
  3. カード式ミニスライドで流れを再検討
  4. つなぎ目をレビュー

となります。

まずは「シナリオ」と呼んでいますが、プレゼン全体の流れをA4用紙1枚にまとめたものを作成するのがスタート。その際、パワーポイントではなくWordを使うのがコツだとか。そのココロは、「プレゼンの流れ」を構築するためには接続詞が必要だから。若干長いのですが引用してみましょう。

「接続詞」を使って文章にするということです。スライドをつくる前に短文の「箇条書き」だけでアウトラインをつくる人がほとんどだと思いますが、、これは要点をまとめているだけですので、プレゼン全体の「流れ」を構築するためには十分ではありません。1つ1つのメッセージ間の「つながり」を意識しながら、1つのストーリーを練り上げるためには、まず文章にするのがベストです。

そして、たとえどれだけ長いプレゼンであってもA4用紙1枚にまとめることが大事だ、とも強調されています。

そのA4用紙のサンプルが149pに掲載されていますが、これは本書後半の「キモ」とでも言うべきものなので、もう少し大きい文字で見やすくして欲しかったところですね。また、「左欄にトピックを箇条書き」→「右欄に『接続詞』を使って文章にまとめる」のところは、言うほど簡単なことではないので(ましてや長いプレゼンをA4用紙1枚にまとめるならばなおさら)、さらに詳しい解説が欲しいところです。

次のステップはスライド作成ですが、その際に

「接続詞」のところで文章を分割し、スライド1枚に落としていく

のがコツだそうです。そうしないと

一連のスライドの間に矛盾が出てくる可能性

ができてしまうとのこと。

プレゼンの流れを検討するアナログな手法

次のステップの流れを再検討のところでは、ミニスライドと呼んでいますが、

スライド全てを縮小サイズでプリントアウトしてからカッターなどで切り離し

たものを目の前に並べながらこのスライドが先か、あのスライドが先かなどを検討していくとのこと。その際に、

  • ミニスライドに赤字で修正を書き込む
  • 間をつなぐスライドが必要であれば手書きで作成する
  • ミニスライドに経過時間を書き込んで、「全シナリオのうちこのトピックは○○分内に消化する」というイメージを固める
  • できあがったものをパワーポイントに清書する

ことになります。面白いな、と思ったのは、この作業は紙でやる方が絶対的にお勧めだとのころ。

プレゼン資料作成の最後のステップは、つなぎ目を「一貫性があるか」という観点でチェックして、もし必要であればスライドとスライドをつなぐ「ブリッジ」と呼ばれる新たなスライドを挿入することです。

その他、プレゼンに「効く」方法論

●直前でも「スライドの修正」はやるべき

所感:これは極めてリスキー

●プラスの評価を増やすには、継続的なプレゼンのトレーニングが必要です。マイナスの評価を減らす方が、人を動かすプレゼンの近道になる

  • 言葉遣いを丁寧にする
  • 自分のクセを押さえておく
  • セッティングを入念に行う

●重複を排除する「1スライド1ワード」のルール

悪い例

次の3つのケーキからあなたは好きなおやつを選択できます。どれを選びますか?1.ロールケーキ、2.パンケーキ、3.ショートケーキ

よい例

選択肢は3つ。1.ロールケーキ、2.パンケーキ、3.ショートケーキ

●聞き手を逃がさない4つの問題提起

  1. なぜ「この話」が重要なのか?(プレゼン内容の付加価値)
  2. なぜ「いま」伝えたいのか?(背景、トレンド、期限など)
  3. なぜ「私から」効くべきなのか?(私の自己紹介、実績、人柄など)
  4. なぜ「あなたに」伝えたいのか?(聞き手の位置づけ)

●デマンドを引き出す3つのストーリー

  1. サクセスストーリー(提案の「魅力」を認識させてデマンドをつくる)
  2. レアストーリー (提案の「希少性」を認識させてデマンドをつくる)
    • 期間の希少性
    • 数量の希少性
    • 立場の希少性
    • 優位の希少性
    • 回数の希少性
  3. ホラーストーリー(なんらかの「リスク」を認識させてデマンドをつくる)

●プレゼンのやり方を工夫しさえすれば、実は上層部に直接話をする機会を得るのはそんなに難しいことではありません。

所感:これは著者に「マイクロソフト」というブランドがあるから

●注目を集める人は名前を「2度」言っている

みなさん、こんにちは。西脇でございます。マイクロソフトでエバンジェリストをしております西脇です。

●「さぐり」

聞き手の雰囲気をつかむために質問を投げかける手法。

ベテランの芸人ほど舞台上から客席にさぐりを入れています。その理由は単純で、彼らは若手と違って新しいネタをほとんどつくらないため、さぐりを念入りに入れることで時間を上手に消化しつつ、その場で最適なかたちでネタをチューニングしているのです。

●動詞を聞き手目線に変換する

リンゴをお届けする→味わっていただく

お買い求め下さい→お楽しみ下さい

●数量を聞き手目線に変換する

280ミリリットル→用量10日分

●スライド切り替えのタイミング

悪い例:スライドAについてのトーク→スライドBに切り換え→スライドBのトーク

いい例:スライドAについてのトーク→Bへのフリ(導入)→スライドBに切り換え→スライドBのトーク

●おへその前で手を組むを基本姿勢にする

●橋下徹流「頼りにされる」語尾活用法

普通の人の話し方

大阪府と大阪市では財政が被っているんですよ。図書館サービスとか、行政サービスとか、医療サービスとか、交通サービスとか、こうした公共サービスが重複していますので、解消したいと考えています。

橋下さんの話し方

財政が被っているんですよ、大阪市と大阪府。

この二つが被っているから変えたい。たとえば、図書館、行政、医療、交通。公共サービスの重複を解消するのが重要なんです。だから大阪都構想。これを実現しなければならない。

●場の一体感を高める「自問自答法」

●聞き手をホッとさせる孫正義の「緩急トーク」

突如フッと力を抜いて、「……まあ、こんな例もたまにありますけどね。どうですかね?」

●マーケティング面でのポイント

  • 冒頭のスライドでメリットを演出
  • 「2014年だけでも何と講演250回、2万人以上の前でお話をしています」、プレゼンテーション研修のクライアント企業名を出すことで権威感を演出
  • 『「地方在住のプログラマー」だった私を「外資系エグゼクティブ」にまで変えたプレゼンのテクニック』でV字回復を演出

プレゼンで聞き手の気持ちをグッと引きつける抑揚の魔法

「プレゼンでメリハリが大事」ってのは当たり前で、私たちプレゼンテーション・カレッジでは「メリハリの四原則」を提唱していました。

  • 声の大きさ
  • 声の高さ (ピッチ)
  • 話すスピード

ですね。ただ、「提唱してました」と言ったのは、実はここにもう一つ要素を加えた方が良いんじゃないかとプレゼンテーション・カレッジ内で議論になっているのです。それが、「抑揚(よくよう、イントネーション)」。たとえ同じセリフであっても、抑揚一つで意味が変わるわけじゃないですか。誰かと話している中で、「わかりました」という時にも、

  • 仕方なさそうに(行きたくないのに無理やり買い物を頼まれて)
  • ハッとして(迷宮入りしていた事件の犯人がわかって)
  • 探るように(表情がさえない生徒が本当にわかったのかと疑って)
  • 嬉しそうに(質問の答が誰よりも早くわかって)

など、いろんなパターンがありますよね。

プレゼンで<引きつける>話し方

じゃあ、プレゼンの時には、この抑揚をどうやって使いこなしたらいいの?と言う時に参考になるのが、倉島 麻帆先生の〈引きつける〉話し方が身につく本です。

倉島先生と言えば、本業のアナウンサーの他にも、様々なところで講師をされていて、これまで25,000人以上の方を教えたとか。そのノウハウが1冊で身に付く~というのは、実はこの本、CDつき。本で読んだだけではピンとこなかったイントネーションが、みるみるうちにわかってきます。自分でプレゼンのトレーニングやリハーサルを行うときにも使えるはず。ちなみに、先ほどの「わかりました」の例も本から引用させていただきました(63p)。

なお、倉島先生はプレゼンテーション研修やセミナーでの講師を務める機会も多いとのことで、直接指導を仰ぎたい方は倉島先生のホームページをチェックしてみてください。

プレゼンの時の抑揚の基本は、

出だしを高く強く、だんだんとなだらかに下げていくのが、日本語としてはもっともスタンダードな抑揚

と言うことなのですが、気をつけたいのは挨拶の言葉。「おはようございます」や「ごめんください」などは、意識して2音節目にアクセントをつけると明るく元気に聞こえるとのことです。これ、たしかにすごくわかって、なぜかというと私が苦手にしているお天気キャスターはまさにこれと逆のパターン。某局の朝の番組に出ている人ですが、やたらと1音節目にアクセントをつける人がいるんです。

日は午後から雲がでて…

出かけの際には傘をお忘れなく…

と言う話し方が、耳についてしかたありません。なので、この方が画面に出てくると、ついついチャンネルを変えてしまうんですよね。まあ、お天気キャスターなのでプレゼンそのものが本職ではないのでしょうが、この本を薦めてあげたくなりました。

ちなみに、声の調子には

昇調 (声の調子が上がること)

降調 (声の調子が下がること)

平調 (声の調子が平坦)

の三つがあり、

抑揚はこれらの組み合わせで使われます。この上がり下がりによって、感情や気持ちの変化を表現することができます。

とのこと。

プレゼンで使えるジェスチャー5つの「型」

ちなみに、この本がよりお得感が高いのは、「声」だけじゃなくて「動作」面でもプレゼンの参考になること。具体的にはジェスチャーですが、「これさえおぼえておけばいい」という5つの型が紹介されています。

  1. 該当箇所・方向を示す
  2. 数を示す
  3. 形・大きさを表す
  4. 推移・変化、循環を表す
  5. 感情・共感を表す

この中でもとくに参考になるな、と思えたのが。感情・共感のところ。

  • 両手を胸に添えると心を込めて語っている印象
  • 片手を胸にあてると自信のある印象
  • 胸から両手を左右に広げると、女性たちが輝く印象

など、いわれてみればその通りなのですが、意識しないと使えないので練習していきたいと思います。

さらに、「空間を自由に使う」というところでは、聞き手から見て左側が過去、右側が未来を表すことを利用して、過去のことを話す時はワザと左側に、未来の話をする時には右手に移動すると言うテクニックが紹介されています。

ちなみに、演劇の世界では、聞き手から見て右手側を上手(かみて)、左手側を下手(しもて)と言って、上手な演出家さんほど使い分けていますね。たとえば、機動戦士ガンダムで有名な富野由悠季先生も、「映像の原則」の中で、強いものや正しいものは上手側から表れる、などを解説しています。ビジネスのプレゼンが多い方は、上手・下手はあまり気にしたことがないかも知れませんが、演劇などに裏打ちされた聞き手の感情を揺さぶる技術なので、使ってみるとこれまでとは違う反応が引き出せるかも知れません。もっとも、右利きの人がT3ルーチンを普通にやると、スクリーンの右側(上手)に立つことになるので、実は普段からやっている人はやっているのでしょうけど。無意識のうちに。

ちなみに、聞き手の感情に配慮するという点では、NLP心理学のタイムラインというテクニックも紹介されています。これは、

過去の話をする時には、わざと(自分から見て)右手を動かしながら話す、未来の話をする時には左手を動かしながら話すと、聴衆に対して意識づけができます

というもので、プレゼンターが右手を動かすと、必然的に聞き手は左側を見ることになり、過去のことを考える時の自然な動作になるのでしょう。ある意味、アイコントロールの一種ですね。

なお、最後にCDのトラック一覧を掲載します。もしも、この中でピンと来るものがあれば、ぜひチェックしてみてください。

  1. イントロダクション
  2. 最もいい声が出る姿勢
  3. 腹式呼吸のトレーニング
  4. ハミングをしてみよう!
  5. リップロールをしてみよう!
  6. ロングトーンをしてみよう!
  7. 滑舌・発声練習
  8. 北原白秋の「五十音」
  9. 言葉のトレーニング
  10. 抑揚で気持ちを伝えよう
  11. 山縣の抑揚(イントネーション)で話す
  12. 正しいアクセントの4つのパターン
  13. どこを強調するかで意味が変わる
  14. 大切なことを言う前には2,3秒の間を入れる
  15. 注目を浴びたい時に間を入れる
  16. 好かれるには、相手にあわせて間を使おう
  17. スピードや距離が表現できる
  18. 時間が表現できる
  19. 明るい挨拶の声
  20. 温かい気持ちで対応する声
  21. 質問したり、たずねる声
  22. お礼の気持ちや感謝を伝える声
  23. 礼儀正しく敬意を伝える声
  24. 誠意を持ってお詫びする声
  25. 意欲を見せる声
  26. 会議での司会
  27. 商談でのプレゼンテーション
  28. 自己紹介
  29. 1文を短くする
  30. オノマトペで心にグッと届ける
  31. アンカーリングを使う
  32. 段階的リラクゼーション法
  33. シュルツ博士の「自律訓練法」
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プレゼンテーション誌上セミナー第43回 カーマイン・ガロ著、TED 驚異のプレゼン 人を惹きつけ、心を動かす9つの法則

プレゼンでのジェスチャーのコツってご存じでしょうか?

それが、「パワースフィア」を意識することだそうです。「スフィア」というのは、もともとは「球体」を指す英語ですが、体を取り巻く球体を意識し、その中にジェスチャーと目線をとどめるというのがコツだそうです。

もう少し具体的に言うと、

目の上から出発し、横に伸ばした手の先、へそを通って、再び目の上に戻ってくる円

がそれ。逆に、このパワースフィアをはずれて、

手がへそより下がると、活力や自信がないように見える

んだそうです。

そんなコツを教えてくれるのが、カーマイン・ガロ著、TED 驚異のプレゼン 人を惹きつけ、心を動かす9つの法則です。

これを上手に使っているTEDのプレゼンテーションが、元ミシガン州知事のジェニファー・グランホルムさん。

  • 前のめりになり、手のひらを開いた状態で両手を離す
  • ポインターを握った両手はひじのところで90度に曲げ、左手は指を3本立てた状態で高く挙げた
  • 前のめりになり、左手の人差し指をあげ、室内を見渡しながら聴衆とアイコンタクトをとった

と言うジェスチャーを使っているのが分かります。

え~、そうは言っても、プレゼンの時に堂々とジェスチャーを使うのって、なんとなく慣れてないんだけど…なんて感想を持った方もご心配なく。本書で紹介されているエイミー・カディさんの考案した「パワーポーズ」をとれば、自信を感じられるとのこと。

パワー・ポーズとはどんな姿勢かというと、両腕をできるだけ遠くに伸ばし、そのままの体制を2分間維持するのだ

ということで、実際の動画を見てみましょう。

たった2分間このポーズをとることで、脳内の男性ホルモンであるテストステロンが増え、ストレスホルモンであるコルチゾールが減るそうです。これによって、緊張感を和らげ、堂々と自信をもってプレゼンできるのだとか。

ただ、もう一つ紹介したい動画があって、なぜかというと上記のパワー・ポーズはちょっと「大げさ」過ぎるから。もうちょっと自然な形でジェスチャーを使うのってないの?と言う時に参考にしたいのが米国の元国務長官のコリン・パウエル氏のプレゼン。パウエル氏はジェスチャーを上手に使うことで知られた方で、このプレゼンの中でも効果的に使っています。

  • 両手を肩幅ぐらいに開き、手のひらを聴衆に向けている
  • 右手の手のひらを胸の方に向け、円を描くように回す
  • 「幼稚園から大学まで」という言葉を表現するように、両手を体の幅より広げ、手のひらを向き合うようにする
  • 左手は体の脇にゆったりと下げ、右手だけで胸のあたりでジェスチャーを続ける
  • 左手も胸のあたりに戻り、右手と同じジェスチャーをするが、両手はまだ組まない
  • 左手は再び体の脇にゆったりと下げ、右手でジェスチャーを続ける。右手の指3本で自分の方を指す
  • 前のめりになり、声を大きくし、語り口も一段と熱を帯びる。両手の握り拳を胸のあたりにあげる
  • 自分の方を指す
  • 右手を胸の高さに伸ばし、手のひらを聴衆に向ける
  • 左手で拳を握ったまま、右の手首から先をゆっくりと回す
  • 左拳を胸の高さで握ったまま、右の手のひらを上に向けたまま腕を前に伸ばす

非常ににぎやかな手の動きなのですが、どれも不自然さがないですね。

ちなみに、不自然さをなくすには、自分の言っていることを心から信じているからとの指摘が本書でなされています。いわく、

自分の言っていることを信じていないと、動きがぎこちなく不自然になる。(中略)自分のメッセージを信じていないのに、あたかも信じているような行動を体に強いることはできないんだ。

とのことなので、プレゼンの際に自然なジェスチャーをしようと思ったら、まずは自分のメッセージを心から信じるところから始めるべきなのかもしれません。

本書のもうひとつ面白いところは、話すスピードにも着目して詳細な分析をしているところ。結論から言うと、プレゼンでの話すスピードは、英語の場合190WPM(Word Per Minute: 1分間の語数)だそうです。

比較をするならば、オーディオブックの場合には、これよりもややゆっくりで、150WPM。コーチング業界のカリスマ、アンソニー・ロビンズ氏のTEDトークは240WPM。つまりは、ゆっくり過ぎもせず、早過ぎもしない(けど若干早め)が理想的なスピードと言うことでしょう。

一方で、本書には物足りなさも残ります。それは、具体的なノウハウが書かれていないこと。たとえば、第1章「内なる達人を解き放つ」では、情熱の大切さが繰り返し述べられています。ただ、「どうやったらその情熱の源を見つけられるのか」が解説されていないのが、凡人には厳しいところ。もちろん、TEDのスピーカーがみな情熱を持っていることは分かります。ただ、私たちがたとえばセールスの商談でプレゼンする場合、情熱をモツのは難しかったりしますよね。それなのに、本書のアドバイスはせいぜいが、「あなたのハートが歌い出すきっかけは?」という問いかけだけ。この、ものすごく難しい質問をされても、戸惑ってしまうのが正直なところでしょう。

同様に、第2章「ストーリーの技術をマスターする」では、ストーリー感を持って語ることの重要性が解説されていますが、どうやったらストーリーで話せるようになるかは説明がありません。「シンプルで効果的なストーリーの3つのタイプ」ということで、

  • 個人的なストーリー
  • 第三者のストーリー
  • ブランドの成功のストーリー

と分類されていますが、これを知ったからと言って読者がストーリー感を持って話せるようにはならないですよね。

著者のガロ氏はジャーナリストだけあって、分析は素晴らしいと感じました。あとは、このへんの、「凡人にもできるようになるコツ」があると、より本書はお役立ち感が上がると思いました。

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プレゼンテーション誌上セミナー第42回 ジェレミー・ドノバン著、TEDトーク 世界最高のプレゼン術

プレゼンイベントのTEDでの「成功法則」ってご存じでしょうか?

それが、「パワーバイト」と呼ばれる、強いインパクトを与えるキャッチフレーズです。

たとえば、「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」で私たちを魅了したサイモン・シネック氏は、

「人は『何を』ではなく、『なぜ』に動かされるのだ」(People don’t buy what you do, they buy why you do it)

というキャッチフレーズを多用しています。

これ、普段のプレゼンテーションでも使いたいですよね。かっこいい「決めゼリフ」があると、聞き手の印象に残るのは間違いありませんから。

では、どうやったらそんなパワーバイトが作れるの?と言うのを解説しているのがTEDトーク 世界最高のプレゼン術です。 著者のドノバン氏によると、

  • 3ワードから12ワードまでの短い言葉に収めること
  • 韻を踏む、もしくは言葉を反復することで音楽を聴いているようなリズムがあること
  • 二つのパートからなるパワーバイトの場合、第1フレーズは否定形で、第2フレーズは肯定文

が強いパワーバイトを生む法則とのこと。これ、まさにさきほどのシネック氏のものにあてはまります。あるいは、スティーブ・ジョブズ氏の”Stay Hungry, Stay Foolish”なんかも典型的にそうでしょう。しかもこれをプレゼンテーション中、最低3回は使うことによって聞き手に印象づけることができるのだとか。

もちろん、上記に紹介した本には、これ以外にもTEDから学べるプレゼンテーションの極意が解説されています。

たとえば、主催者からプレゼンターに前もって伝えられるルール集、「TEDの十戒」も面白いですね。

●内容に関するもの

  • オハコの披露にとどまることなかれ
  • 大きな夢を語れ。あるいは人々の驚きを誘う新しい何かを示せ。もしくは、はじめて明かす話をしろ。
  • ストーリーを語れ。
  • 闇に葬られたくなければ、ステージ上での売り込みはやめるべし。会社や商品、著作の宣伝をするなかれ。資金提供も請うてはならない。
  • 「笑いは宝」と心得よ。

●伝え方に関するもの

  • 好奇心と情熱を惜しみなく示せ。
  • 良き関係作りと最高の議論を目的として、他の話し手の発言には自由に意見を述べるべし。
  • 自慢話に終始するべからず。己の弱みを隠すなかれ。成功とともに失敗を語れ。
  • 原稿を読むべからず。
  • 次の話しての時間を奪ってはならぬ。

こういうのがあるからこそ、クオリティ高いプレゼンテーションを継続的に輩出しているのでしょう、TEDは。

下記、いくつかポイントを紹介します。もちろん、全部が全部普段のプレゼンテーションで役立つというものではありません。たとえば、

はじめに、トピック(スピーチのテーマ)を一つ選びましょう。そこで必要なのは、自分の心の中をじっくり観察してみることです。どんなTEDトークもストーリーが軸となりますが、だからといって「私が人に語れるいちばんすてきなストーリーってなんだろう」といきなり自問してもはじまりません。まずは、自分自身を発見するための問いかけから始めてみましょう。

と言われても、営業マンがお客さんへのプレゼンテーションに使えるわけではないですからね。上記はあくまでもTEDを目指す人専用。

ただ、そうは言ってもTEDのようなプレゼンイベントで検証された方法論は、知っておいて損はないでしょう。ちなみに、著者のドノバン氏は本書の姉妹編とも言えるTEDトーク  世界最高のプレゼン術 【実践編】も上梓していますが、こちらは本書と重複感が強いので、あまりおすすめできません。Amazonのレビュー欄にちょっと面白い裏話が載っているので、それをチェックすれば十分かと思います。ていうか、その裏話を知ると、本書が「ユルい」のもうなずけます。

 

●自分以外の誰かをヒーローにすることが、人の心を動かすストーリー作りのコツなのです

 

●聴衆と心でつながり、相手をインスパイアしたいと思っているなら、人間の持つ欲求について知っておくべきでしょう。

  • 愛と帰属の欲求
  • 欲望と利己の欲求
  • 自己実現の欲求
  • 変化を起こしたいという欲求

●主催者からの紹介文にも気を使い、時には自分で作成する。

  1. プレゼンターがこれから伝えるコアメッセージに関係した内容であること
  2. 聴衆を主体に作られていること
  3. プレゼンターをスター扱いするのではなく、プレゼンターがいかに信頼できる人物であるかを示していること

●科学的な根拠は知りませんが、感情に訴えたい時には左の瞳を見つめ、論理的な議論をしたい時には右の瞳を見つめればよいと勧めてくれたスピーチのコーチがいました。

 

●大事なポイントを話す時は、一箇所にとどまったまま、足先を聴衆の方に向けて立ちます。そして話を止めて間を置き、場所を移動します。移動をやめたら、また話しはじめます。

 

●スライド作り

7×7ルール:7つの「・」と各黒丸ごとに7語以下の言葉を並べる

ゴーディン・メソッド:写真をスライド全体に映し出す

高橋メソッド(高橋征義氏)」わずかな数の単語を非常に大きな文字で並べる

スライド「3分の1の法則」」スライドを3×3の9等分し、できた格子を使って文字や画像の位置をそろえる

 

【目次】

  1. TEDの使命
  2. トピックを選ぶ
  3. キャッチフレーズを作る
  4. スピーチを成功させる「紹介」の秘訣
  5. スピーチのはじめ方
  6. スピーチの本論とつなぎ
  7. スピーチの締め方
  8. ストーリーを語る
  9. スピーチを成功させる言葉の使い方
  10. スピーチにユーモアを盛り込もう
  11. 体を使ったコミュニケーション
  12. 印象的なビジュアル効果
  13. 恐怖心を克服しよう
  14. 本を置いて話しはじめよう

プレゼンテーション誌上セミナー第41回 アカッシュ・カリア著、TEDに学ぶ最強のプレゼン術 (SB文庫)

プレゼンテーションイベントのTED。一本一本の動画も参考になるのですが、様々なプレゼンを横断的に見てみると、実は成功法則が6つに集約されるってご存じでしょうか?それが、

  1. シンプルであること
  2. 意外性
  3. 具体性
  4. 信頼性
  5. 感情
  6. ストーリー

です。……っていうのは、そんな意外でもないですよね。まあ、それはそうだろうな、と言う感じで。実際、上記6つの原則も昔から提唱されています(チップとダンのハース兄弟による「アイデアのちから」)

ただ、それが「分かる」からといって実際のプレゼンの場で「できる」かというと、そうでもありません。ここに、上記6つの原則を、TEDの実際のプレゼンにもとづいて具体的な事例とともに紹介している本、TEDに学ぶ最強のプレゼン術の意義があります。なんでも、著者のカリア氏は、TEDのプレゼンの中かから厳選200本を分析したとか。ちなみに、TEDの成功法則は、ウィル・スティーヴン氏が「頭良さそうにTED風プレゼンをする方法」でパロディにしていますが、本書はごく真面目な内容です(スティーブン氏のも、ある意味真面目ですが)。

たとえば、「プレゼンの導入部で避けるべき3つの過ち」(42ページ)では、下記の3つの失敗パターンが述べられています。

  • 退屈な自分の話で始める
  • 形式的な感謝の言葉で始める
  • ジョークで始める

ちょっと意外に感じる人もいるかもしれないので、引用してみましょう。

重要なのは、自分についてではなく、聞き手について話すことだ。大切なのは自分ではなく、聞き手である。よって導入部は、聞き手に焦点を当てよう。聞き手のためにあなたが解決できる問題は何か、提供できるメリットは何かを明確に伝えよう。

たしかに、それはそうですよね。プレゼンの聞き手は、正直なところ話し手そのものに興味があるわけではありません。もちろん、話し手が超有名人なら別ですよ。たとえばスティーブ・ジョブズがプレゼンをするならば、それだけで聞きたいと思うでしょう。

でもね、営業でのプレゼンやカンファレンスでの講演は一般人が行うわけで、それなのに冒頭から「○○という会社の△△と申します。私は□□の仕事をやっていまして…」なんて自己紹介されたら、「そんなのいいから、早く内容に入ってくれ」と思いますよね、聞き手は。

似たような話をまた引用しましょう。

要するに、冒頭で「ありがとうございます」という型どおりの挨拶を言わないのが重要なのだ。自分が他のスピーカーとは違うことを示す機会を失うだけではない。聞き手に話を聞いてもらえなくなるし(いずれにしてもあなたが何を言うかは分かっているのだから、わざわざ耳を傾ける必要もないだろう)、感謝の言葉も本気では受け取ってもらえない。

いかがでしょう?ここまで来ると、たしかに上述の3つのやり方はプレゼンの冒頭としてはよくないよな、とピンと来るのではないでしょうか。

では、どうやったら言い導入ができるの?という疑問に対しては、著者のカリア氏は5つの方法を進めています。

  • ストーリーで始める
  • 質問によって知識の隙間を作る
  • 引用する
  • 興味深い話や衝撃的な事実で始める
  • コールバックをする

ちなみに、「コールバック」というのは、プレゼンテーションをしているイベントの前やイベントの間に起こった出来事を振り返るテクニックとのこと。

他にも様々な「すぐにも役立つ」テクニックが紹介されていますので、下記にまとめてみました。

プレゼンでストーリーをメンタルムービーに変換するVAKSの法則

聞き手がストーリーを脳内で映像化できるようにするには、たくさんの感覚情報を伝える必要がある。視覚(Visual)、聴覚(Auditory)、身体感覚(Kinesthetic)、臭覚(Smell)の4つの感覚を伝えよう。

アルコール中毒の人について語るなら、「ジョンは飲酒問題を抱えている」と言うのではなく、

ジョンは、毎日、仕事から家に戻るなり、ビールの栓を抜く。テーブルにつき、ひとりで、次から次へと瓶を空けていく。10本以上を空にした後、真夜中になる頃、テーブルに突っ伏して眠ってしまう

プレゼンで例え、直喩、暗喩を使う

オレンジ色の3つのボールをジャグリングしながら、

もし私が、今、ボールだけに集中しすぎると、同時に力を抜いて話すことができません。同様に、気を緩めすぎて話をすれば、ボールに集中できず、ボールを落としてしまいます。人生においても、瞑想においても、集中しすぎてしまうことがあります。そうなると、人生が少し窮屈になり始め……

プレゼンですぐれたストーリーを作る5つのC

  • 登場人物(Character)
  • 葛藤 (Conflict)
  • 救済 (Cure)
  • 登場人物の変化 (Change in Character)
  • 持ち帰るべきメッセージ (Carryout message)

TEDプレゼンテーションに備える8つの方法

  • リハーサルする
  • 体を動かす
  • 会場内を歩いてみる
  • ステージを知る
  • 機器を試す
  • 冒頭をやってみる
  • 音楽を聴く
  • 成功をイメージする

プレゼンテーション誌上セミナー第40回 奥秋 和歌子著、プレゼン資料作成のツボとコツがゼッタイわかる本

「プレゼンのスライド作成が苦手で…」というひとに、懇切丁寧かつ具体的なアドバイスをしてくれる本が奥秋 和歌子著、プレゼン資料作成のツボとコツがゼッタイわかる本です。

プレゼン資料作成の「型」

具体的なアドバイスというのは、たとえば「どのフォントを使えばいいの?」という質問に対して、WindowsならばメイリオかMS Pゴシック、Macならばヒラギノ角ゴという風におすすめを示してくれるということです。

同様に、「どの文字サイズを使えばいいの?」という疑問に対しては、企画書・提案書ならばタイトル・メッセージには16pt以上、ボディは12pt以上、プロジェクター投影資料は24pt以上、というアドバイスです。

あるいは、「線の太さの標準化」のところでは、企画書・提案書は通常0.75pt、太線2.25pt、プロジェクター投影資料は通常1.5pt、太線3ptと提言されています。

実はプレゼンテーションって奥が深くて、厳密には「こういう場合はこう」、「でも状況が違うとこうなる…」とアドバイスは多岐にわたりがち。それを、あえて絞っているところが本書の魅力でしょう。

著者の奥秋先生は、外資系コンサルティング会社ボストンコンサルティンググループで7年半にわたって資料作成スペシャリストとして勤務されたそう。そこで何千枚、何万枚というスライドを作る中で、これこそがプレゼンの「勝ちパターン」だというのを見つけられたのでしょう。

ちなみに奥秋先生の夢は「日本のパワポ残業を撲滅」することだそうで、そのためかプレゼンを美しくつくるコツだけでなく、「早くつくるコツ」も掲載されているのが本書の魅力のふたつ目です。要所要所に記載されたキーボードショートカットキーは、目からうろこのはず。同様に、266pに記載されたメニューの改良やクイックアクセスツールバーの設定は、まさに「かゆいところに手が届く」感覚です。

ちなみに、ここまではわりと本書の中でも「小技」を紹介してきましたが、前半にはプレゼンテーションをどうやって作成するかの全体フレームワークも紹介されています。

プレゼン資料作成プロジェクトの7つのステップ

  1. プレゼンの目的・ゴールを確認する
  2. スケジュールを決める
  3. 大枠を書く
  4. 中身を書く
  5. PowerPointで作成する
  6. 練習する
  7. ブラッシュアップする

これに沿って資料を作成すれば、誰もが無理なくできそうです。

目次

  • 「本当に使える」プレゼン資料作成の極意
  • 「今すぐできる」成果につながるプレゼン資料作成のステップ
  • 「実際に使える」プレゼン資料作成の秘伝
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ジーン・ゼラズニー著、マッキンゼー流 プレゼンテーションの技術を読む
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プレゼンテーション誌上セミナー第39回 ジーン・ゼラズニー著、マッキンゼー流 プレゼンテーションの技術

マッキンゼー流図解の技術ワークブック著者ジーン・ゼラズニー先生によるプレゼンテーションの全体像を示した本がこちら。

ジーン・ゼラズニー著、マッキンゼー流 プレゼンテーションの技術

原著(Say It With Presentation)の出版が2000年と若干古いのでパワーポイントに対応しているわけではありませんが、それでも外資系コンサルの代表格とも言えるマッキンゼー流のプレゼンテーションを知りたい人には参考になるところがあるのではないでしょうか。

ただ、先に言ってしまうと、84p~108pの演習問題は不要かと思います。これって結局「図解の技術」で取り上げているトピックであって、わざわざこの本で解説(というか、解説すらほとんどないのですが)する必然性はないのではないかと。

むしろ、巻末にあるチェックリストのようにプレゼンの準備からクロージングまでの一連の流れを、マッキンゼーの人はどのように行っているかの解説の方が読者が知りたいところでしょう。たとえば、リハーサルは2回行うのが理想的(まずは一人で行う、2回目は3-4人の前で行う)とか、会場には40分前に到着するなどの方が、具体的かつ有用なアドバイスだと感じました。

同様に、156pで取り上げられている「自然に話す」というのも、目からうろこです。外資系コンサルのプレゼンテーションと聞くと、「ビジネス・プロセス・リエンジニアリングをインプリメンテーションするためのマイルストーンが…」なんていう「ルー語」にあふれるトークを期待してしまいますが、実はこれはダメだ、というのが著者の主張。いわく、

実際には聞き手の前で完璧を目指そうとすればするほど私たちは人間らしさをなくしてしまう。なぜなら人間であるということは元来、不完全であることを意味するからだ。現実を直視しよう。完璧な人間ばかりで試合をしたらバスケットボールは随分つまらないものになるに違いない。

とのこと。

プレゼンテーション・チェックリスト

状況を明確にする

  • 目的を特定する
    • なぜこのプレゼンテーションを行おうとしているのか
    • 何を達成したいと望むのか
    • プレゼンテーションの結果、聞き手に何をして欲しい、あるいは理解して欲しいのか
  • 聞き手を分析する
    • 意志決定者は誰か
    • 彼らは議題についてどの程度詳しいか
    • 彼らは議題についてどの程度興味を持っているか
    • もしイエスといったら、彼らは何を得るか、また失うか
    • なぜ彼らはノーといいそうなのか
    • 聞き手から投げかけられそうなもっとも厳しい3つの質問はなんだろうか
  • 見通しを明確にする
    • 与えられた時間内に目的は達成できそうか
  • 機材・媒体を選ぶ
    • インフォーマルなディスカッション、事実関係を見極める会議、双方向のミーティング向けとしては、フリップボード、ホワイトボードを用意する
    • セミフォーマルなミーティング、および進捗状況の確認としては、OHP、オンスクリーン/液晶プロジェクターを用意する
    • フォーマル、かつ、仕上げのプレゼンテーション用としては、オンスクリーン/液晶プロジェクター、35ミリスライド、マルチメディア、ビデオを用意する

プレゼンテーションを設計する

  • メッセージを確定する
    • もし、30秒しか与えられていなかったら、プレゼンテーションをいかに要約するか
  • ストーリーラインを念入りに作成する
    • オープニング
      • 目的
      • 重要さ
      • 予告
    • プレゼンテーションの中身
      • 理解力の高い聞き手の場合いは結論と提言を先に
      • 理解力の低い聞き手の場合は結論を章ごと、または最後に
    • エンディング
      • サマリー
      • 提言(複数)
      • アクションプログラム
      • 次のステップ
    • ストーリーボードを作成する
      • 資料をデザインする
        • Whatを示す→文章、絵、モデル
        • Whereを示す→マップ、プラン
        • Whoを示す→組織表、写真
        • Whenを示す→カレンダー、ガントチャート
        • Howを示す→ダイアグラム
        • How Muchを示す→表、チャート
        • Whyを示す→文章
      • 資料に順番ずけする。何をいうかを決め、移行に際して言うことを作成する

プレゼンテーションを実施する

  • 第1段階のリハーサルを行う
    • ストーリーと資料に精通する
    • メモを作成する
    • 録音して練習する
  • 第2段階のリハーサルを行う
    • 感性豊かで建設的で客観性を持った同僚に練習の相手をしてもらう
    • 質問を想定する
    • 自分のリハーサルの様子をビデオに撮影してチェックする
  • 組織機材のセットアップ
    • 遅くとも40分前には会場に到着し、責任を持って機材の設営をする
  • 実行するための技術を利用する
    • 深呼吸 深呼吸 深呼吸
    • アイコンタクトを確立する
    • 自然に話す
    • 声の強弱をフルに使う
    • 両足に体重をかける
    • 腕は腰の位置に置く
    • スクリーンの脇に立つ
  • 図表を活用する
    • 資料を取りかえる前の移行の段取りを確立する
    • 資料を見せる
    • 各資料について聞き手をリードする
    • 資料を片づける
  • 質問に対応する
    • アイコンタクトを確立する
    • 忍耐強く傾聴する
    • 答える前にしばし沈黙する
    • 質問されたことだけに答える
    • プレゼンテーションに戻るために移行の段取りを忘れない

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長沢 朋哉著、新人広告プランナーが入社時に叩き込まれる 「プレゼンテーション」基礎講座 を読む
 
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プレゼンテーション誌上セミナー第38回 長沢朋哉著、新人広告プランナーが入社時に叩き込まれる 「プレゼンテーション」基礎講座

広告代理店と言えば多くのビジネスパーソンのあこがれでしょう。そこで働く人が、クライアントに対してどのようなプレゼンテーションをやっているかはイヤでも興味が高まりますよね。

ドラマとは言え、ネスレさんが展開している「踊る大宣伝会議」では、プレゼン一発で大逆転が描かれていて、その力を改めて実感します。

そんな広告代理店のプレゼンテーションの基礎が説明されているのが、こちらの本です。

長沢 朋哉著、新人広告プランナーが入社時に叩き込まれる 「プレゼンテーション」基礎講座

著者は名門広告代理店電通ヤング・アンド・ルビカムにてマーケティング戦略などを担う方。サブタイトルにもあるとおり、「新人広告プランナー」向けで、そのためか見開き2ページで完結しているスタイルになっています。本書は横書きですが、左側にはパワーポイントのスライド風の図解(コンセプト・チャート)、右側は文字による説明 、と。

「おわりに」で筆者は制作過程の裏話も披露してくれていて、それが、

筆者である私は、まず図版を作ります。そして全体の構成がある程度できあがってから、「図版」に添付する「文章」を書いていました。2つはどちらが主でも従でもなく、私の中ではまったく均等です。

というもの。

これは成功したようで、筆者の勤務先の20代の若手社員に見せたところ、

横書きで文字数が少ないのが、読みやすくてよいです

との評価だったそうです。

ただ、一方で、その分だけ文字の量が少なくなってしまったせいか、「このポイントをもっと知りたい」というところが何カ所かありました。たとえば、

「自信」とは、成功のために持つべきもの。そのためには徹底したリハーサル。(81p)

と主張していますが、そのリハーサルの方法はもっとバリエーションを持って、それこそ徹底的にやることを示した方が初心者には親切だったのではないでしょうか。もちろん、著者の主張するメンタル・リハーサルも良いのですが、他にも

実際の会場に近いセッティングのリハーサル

ビデオ撮影をして後でチェックするリハーサル

歩きながら頭の中で行うリハーサル

など、いろいろありますからね。

以下、ポイントをまとめました。

●プレゼンの本質

「主張」を伝えること

「目と耳」に訴えること

●プレゼンの類型

  • 目的(提案か報告か)
  • 課題(自由回答か選択肢か)
  • 人数(個人かチームか)
  • 機材・資材(プロジェクタかペーパーか)
  • 形態(起立か着席か)

●ストーリーの基本構造は、シンプル突き詰めれば「分析→主張」の形

●キー・ファインディングスは、ストーリーの中核の一つ。聞き手に「驚き」や「感銘」を感じさせること。たとえば、

  • 解決すべき真の問題点
  • 問題点の根本的な原因
  • 他社が見つけていなかった隠された機会(チャンス)
  • 市場環境変化に対応した事業の成功要因
  • 多くの人が気付いていない人間の深層心理

●中表紙は、聞き手の頭の中を整理するページ(ナビゲーター役)

●ページ作りの原則

  • 基本的レイアウト
  • 山場ページのレイアウト
  • Z字型アイフロー
  • 1行の文字数
  • ボックスと矢印
  • 数字
  • キーワード
  • ビジュアル・エイド

●導入では、まず全体の流れを理解してもらう。その上で、期待感を持ってもらう

●基本的チェック項目

  • キックオフ(準備開始時点)
    1. プレゼンの目的
    2. 聞き手(聴衆)
    3. 期日
    4. 時間
    5. 資料のタイプ
    6. 使用できるリソース
  • 中間地点
    1. 全体の進行度合(完成度)
    2. 目的との合致性
    3. 聞き手に関する新情報
    4. 不足している要素
    5. 日程や会場についての変更点
  • 直前期(1-3日前)
    1. 全体の進行度合(完成度)
    2. 資料のブラッシュ・アップ、ディティールの確認
    3. 聞き手に関する新情報
    4. 日程や会場についての確認・変更点
  • 当日・現場
    1. 重要な三枚
    2. 緊張の度合
    3. キー・パーソン
    4. 時計の位置(タイム・マネジメント)

【目次】

Part1:プレゼンの本質
Chapter1:本質の理解
Chapter2:類型の理解
Chapter3:学びのフレーム
Section1 何を伝えるか?
Section2 どう資料にするか?
Section3 どう話し、どう見せるか?
Section4 まとめとOne More Thing
Part2:プレゼンの技術
Chapter4:資料を作る技術
Section1 ストーリーを作る技術
Section2 ページを作る技術
Chapter5:話し、見せる技術
Section1 話す技術
Section2 見せる技術
Part3:実務における確認項目
Chapter6:プレゼン準備の流れ
Chapter7:基本的チェック項目

    プレゼンテーション誌上セミナー第37回 佐藤綾子著、安倍晋三プレゼンテーション 進化・成功の極意

    プレゼンテーションが上手な有名人と聴くと、スティーブ・ジョブズ氏や孫正義さんなどの経営者がまず頭に思い浮かびますが、実は安倍首相も上手なんですってね。

    「え~、ホントかよ」とツッコミたくなった人も、まあ聴いてください。この「プレゼンテーションが上手か下手か」は客観的な指標で証明されているのです。「ASコーディングシート」という、顔の表情筋の動きやまばたき回数、アイコンタクトの長さなどのチェック項目の一覧表によると、なんと、安倍首相はオバマ米大統領よりもプレゼンが上手とのこと。

    プレゼン上手は表情で分かる

    具体的に見てみましょう。題材は、安倍首相オリンピック誘致プレゼンテーション(2013年9月7日)とオバマ米大統領就任演説(2009年1月20日)。なお、安倍首相自身のプレゼンスキルアップを見るため、第1次安倍政権所信表明演説 (2006年9月29日)も付記しています。


    安倍首相オリンピック誘致プレゼンテーション(2013年9月7日) 第1次安倍政権所信表明演説 (2006年9月29日) オバマ米大統領就任演説(2009年1月20日)
    演説全体時間 312秒(5分12秒) 2027秒(33分47秒) 1160秒(19分20秒)
    計測時間 224秒(3分44秒) 224秒(3分44秒) 864秒(14分24秒)
    ヘッドムーブメント(中央から右への顔の向き) 5.9回 4.3回 4.4回
    ヘッドムーブメント(中央から左への顔の向き) 5.9回 4.3回 4.3回
    アームムーブメント(腕の振り上げ) 20.4回 0回 13.5回
    まばたき※1 29.2回 23.8回 27.4回
    アイコンタクト(視線の接触) 55.6秒 16.6秒 30.2秒
    眼輪筋の動き 59.6秒 20.3秒 47.7秒
    口輪筋の動き 54.5秒 48.1秒 47.7秒
    唇をなめる動作 3.5回 6.1回

    各指標の数値は1分あたりに換算
    ※1まばたき回数は、数値が小さい方が良いプレゼンとされる

    ただ、ここまで来ると、「ではどうやったらプレゼン上手になれるの?」という疑問も湧いてくるでしょう。それを解説しているのがこちらの本です。冒頭で紹介したASコーディングシートも、ひょっとしたら著者の佐藤綾子先生の頭文字を取ったものでしょうか?

    佐藤綾子著、安倍晋三プレゼンテーション 進化・成功の極意

    プレゼンテーションに力を与える「非言語表現」トレーニング

    とくに読むべきだと感じたのは、第5章の「プレゼンに決定的な力を与える「非言語表現」トレーニング」です。

    • グリンプスバイトとサウンドバイト
      相手の視覚に一瞬で飛び込んでいくのがグリンプスバイト、耳から聴覚に飛び込むのがサウンドバイト
    • あなたは15m先から認識されている
    • 歩幅は60cmを目安に歩く
    • 頸椎、胸椎、腰椎を立てる
    • 第1印象は2秒で形成される
      • 日頃から自分の顔を鏡に映し、表情を意識する
      • 明るく、元気で、誠実で、頼れる印象の自分の顔を思い浮かべ、その表情をモデルにして練習してみてください
    • 口角を2mm上げてスマイルを
    • まばたきは37回以下にする
    • 聞き手1人ずつに視線を配る
    • 1分間に266文字が目安

    第1次安倍政権所信表明演説 (2006年9月29日)

    安倍首相オリンピック誘致プレゼンテーション(2013年9月7日)

    オバマ米大統領就任演説(2009年1月20日)

    プレゼンテーション誌上セミナー第36回 福岡女学院大学浮田ゼミ著、心をつかむビジュアル・ストーリー型プレゼンテーション―ふつうの女子大生たちが身につけた抜群のプレゼン力の秘密

    プレゼンテーションは自分が上手くなるのも難しいものですが、人に教えるのもまた難しいものです。

    部下・後輩に指導しながら、「何をどう言ったら、プレゼンが上手になってもらえるんだろう?」と悩む人も多いのではないでしょうか。

    プレゼンテーションを女子大生に教えてみた

    そんな方にお薦めの書籍がこちら。
    福岡女学院大学浮田ゼミ著、心をつかむビジュアル・ストーリー型プレゼンテーション―ふつうの女子大生たちが身につけた抜群のプレゼン力の秘密

    読むべきところは172pからの「ワークショップでグループからチームへ」というところ。ここは、浮田ゼミの浮田先生の視点で、どのように学生に指導するかが微に入り細にわたって解説されています。

    たとえば、指導のスタートはこんな風に始まります。

    まず授業の始まりに自分の気付いたことを3人程度選びスピーチさせます。気づきのスピーチなのでテーマは何でも構いません。スピーチが終わったらタイムを伝えます。だいたい1分30秒くらいが多いようです。2分以上話すのは大変なことを時間的な感覚として自覚させ、話す内容を上手に構成しないとうまくいかないことを初期段階で体験させます。

    このように受講者が「知らないこと、できないこと」に気付かせるのは「クリアリング」というテクニックですが、プレゼンテーションに限らずセミナーでスキルアップを指導する際にはとても重要なことです。

    そして、浮田先生の授業はこうつづきます。

    ここで少し緊張感を解いていきます。あまり緊張感が強すぎると、次の発言に対して気後れしてしまう生徒・学生がでるからです。ワークショップとは参加者の考えなどを効果的に引き出すための授業です。緊張感を高めたり、ゆるめたりして教室を活性化させなければなりません。

    これまたプレゼンテーションのセミナーで言えることですが、「ここでは失敗しても大丈夫だ、だからどんどんトライしよう」と思わせることが重要なのは言うまでもありません。

    なお、上記の指導のポイントは、かなり省略して引用していますので、詳しく知りたい方はぜひ本書を手にとって下さい。

    女子大生式プレゼンテーション22のステップ

    肝心のプレゼンテーションのやり方ですが、浮田先生の指導を受けた女子大生たちは下記の22のステップを踏んでいるとのこと。最初は粗原稿から入ってスピーチを行う。そしてだんだん原稿を仕上げていき、その後のプレゼンでは原稿読みの度合を下げていくというのは、面白いアプローチです。

    1. 発表者の選定
    2. 発表者が粗原稿を作る
    3. スピーチを行う
    4. スピーチを観て聴いて パワポ班がスライド案を組み立てる
    5. マーケ班が推敲する 文書表現のチェックや要約を行う
    6. スピーチを行う
    7. スライドと合わせてスピーチ
    8. 原稿の推敲
    9. スピーチを行う
    10. 原稿推敲とストーリー性を組み立てる
    11. スピーチからプレゼンテーションに変更 役割の修正 まだ原稿は手元に
    12. プレゼンテーション タイムはいる 原稿読み60%に修正
    13. プレゼンテーション ジャッジはいる 原稿読み30%に修正
    14. プレゼンテーション 質疑応答はいる 原稿読み10%に修正
    15. プレゼンテーション 録画はいる 以後録画でチェック 原稿は読まない
    16. 発表者は原稿を自らの言葉に修正
    17. プレゼンテーション 会場環境設定 同様な環境で行う
    18. プレゼンテーション 外部者よりジャッジを受ける
    19. リハーサル→改善
    20. リハーサル→改善 公開リハーサル
    21. リハーサル→改善
    22. 本番
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