「プレゼンで使うパワーポイントに、もっと慣れたいんだけど…」というときに手にとりたいのが渡辺克之先生のご著書、「世界一やさしい プレゼン・資料作成の教科書 1年生」です。
結論から言うと、パワーポイント初心者向けです。逆に、パワーポイントはある程度使える人が、プレゼンテーションの資料作成のノウハウを知りたいと読むと、期待外れでしょう。
箇条書きのプレゼンテーション資料の作り方
箇条書きはプレゼンテーションでよく見るスタイルですが、「どうやってつくるのか」を初心者向けに改めて説明した本は少ないように思います。その点で本書は親切で、懇切丁寧に解説してくれています。それが148pの「箇条書きのつくり方」で、
- 簡単な一文にする
- 文字数をそろえる
- 情報の性質を正しく扱う
というもの。3番目の「正しく扱う」というのは、
内容が並列なら中黒(・)、順番なら①②などの行頭文字を使って表す。
と言うこと。そして、これを実際にパワーポイントでつくるやり方が解説されています。とくに、Shift+Enterキーで段落内改行を解説しているところは親切だと思います。
図解プレゼンテーションの注意点
プレゼンテーションでよくある図解についても詳しく解説されています。基本としては、
図形を説明する文字は、テキストボックスの文字を重ねることをお勧めします。この方法は、図形の形状と大きさにさほど制約を受けず、自由な位置に文字を置くことが出来ます。
とのこと。たしかに、見栄えに徹底的にこだわるのであれば、こちらの方が正解です。ただ、このやり方だと作成するのに時間がかかるうえ、スライドの使い回しの際に思わぬ調整が発生して時間がかかるものです。そこで、図形内に文字を入れる方法も紹介されています。その際に見栄えを良くするための工夫が下記の3点です。
- 図形内の文字を折り返さないようにする
- 図形内部の余白を小さくする
- 文字サイズを小さくする
これ、実はすごく実用的なアドバイスです。というのは、多くの人は図形内で文字を折り返すという設定のままパワーポイントを使っているから。これだと文字を臨んだ位置に配置できずに、微妙な見にくさが出てしまいます。しかし、文字を自動では折り返さない設定にして、上述のShift + Enterで自分で折り返すようにすれば、それだけで見栄えアップです。
プレゼンの内容面では物足りなさも
初心者向けにパワーポイントの使い方を解説するという本書の趣旨を踏まえると、やむを得ないところではありますが、プレゼンの内容面に関してはもう少し詳しい解説が聞きたかったところです。たとえば、33pの「必ずストーリーを描こう」というところ。この提言自体は正しいものですし、起承転結を否定しているところも妥当です。
とはいえ、読者としてはそのストーリーが描けないから悩んでいるわけであって、「どうやったら説得力のあるストーリーが作れるのか」の解説があるとより親切でしょう。もちろん、著者の渡辺克之先生も、
- ホールパート法:結論・全体→各論→結論・まとめ
- プレップ法:結論→理由→具体例→結論
という「型」を示していいますが、これはモノゴトの説明の順番であって、「ストーリー」ではありません。むしろ、33pに記載されている目的→根拠→お願い、をより詳しく知りたいと思いました。
画像はアマゾンさんからお借りしました。
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