「聞き手の共感を呼ぶプレゼンテーションをしたい…」。そう思った時に手にとってしまうかもしれないのが三輪開人先生のご著書「100%共感プレゼン 興味ゼロの聞き手の心を動かし味方にする話し方の極意」です。
プレゼンの新手法「パブリック・ナラティブ」
著者の三輪開人先生が勧めるプレゼンテーションの構成法が、「パブリック・ナラティブ」と呼ばれるものです。これは、
2008年の大統領選でオバマ前大統領の選挙参謀として活躍し、現在はハーバード大学ケネディスクール公共政策の上級講師を務めるマーシャル・ガンツ博士は、オバマ大統領のように「物語」を効果的に用いるプレゼン手法を「パブリック・ナラティブ」と名付け、学生をはじめ、世界のトップリーダーに教えています。
というものです。より具体的には、
なぜ行動する必要があるのか物語を通して伝えることで共感の輪が広がり、人々のアクションが変わってくるというものです。
とのこと。
- Story of SELF (私の物語)
- Story of US (私たちの物語)
- Story of NOW (今の物語)
の流れになります。
オバマ大統領のプレゼンテーション
上記の3ステップの中から「私の物語」を見てみましょう。オバマ大統領の演説を引用します。
私の父は、ケニアの小さな村で生まれ育った留学生でした。少年時代の父は、ヤギの世話をし(中略)祖父は、息子に、より大きい夢を託していました。私の父は努力と忍耐により、奨学金を得て、魅惑の土地、米国に留学しました。
となります。そしてこれを「私たちの物語」に繋げます。
私の両親は(中略)この国の可能性に対する揺るぎない信頼も共有していました。
と、私たち、つまりアメリカ国民の話に繋げるわけです。このような構成であれば、聞き手の共感を得ることができるのでしょう。より具体的には、下記の構造で「3つの壁」を乗り越えられるとのこと。
- 無関心の壁:そもそも興味がない←「私の物語」で聞き手に親近感を持ってもらう
- 他人事の壁:自分には関係ない←「私たちの物語」で聞き手に当事者になってもらう
- 保留の壁:今じゃなくていい←「今の物語」で具体的な行動を示す
ビジネスパーソンには向かない「私の物語」
一方で、上述のパブリック・ナラティブは、その名の通り「パブリック」、つまり公共の利益を向上するようなスピーチのためのものです。これは、多くのビジネスパーソンが行うプレゼンテーションとは、ねらいが異なると想像します。
たとえば、営業活動の一環でのプレゼンテーションで、「私の物語」からはじめたら、聞き手は「ちょっと待て。お前の話なんか聞きたくない」と思ってしまうでしょう。そのような場合はむしろ、「あなたの物語」、つまりお客様の企業はどんな状況で、どんな問題を解決するかを説明することが有効です。
このように、本書が取り上げているプレゼンテーションが特殊なのには理由があって、著者の三輪開人先生は、世界の社会問題を解決するNPO法人e-Educationの代表を務められているからです。従ってビジネスパーソンが読む時には、どうやって活用するかの工夫が必要です。
画像はアマゾンさんからお借りしました。
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