今やプレゼンの定番とも言えるPower Point (パワーポイント)。その、ちょっと変わった使い方を解説しているのが小湊先生の「半分の時間で3倍の説得力に仕上げる PowerPoint活用 企画書作成術」です。ちなみに、小湊先生ご自身は、グラフィックデザイナーが本業とのこと。そのせいか、やたらと凝った技が紹介されています。なので、副題も「半分の時間で3倍の説得力」は正しくなく、「もしグラフィックデザイナーがパワーポイントを使ったら」とでも言いたくなる内容です。
グラフィックデザイナーのパワーポイントの使い方に脱帽
真っ先に注目したいのは第7章の「プロ並みの表現も?画像加工のテクニック」というところ。人物写真の人物だけ切り抜くテクニックが紹介されていて、びっくりしました(94p)。こう言うのって画像加工ソフトでしかできないと思っていたのですが、パワーポイントでもここまでできるんですね。同様に、「画像を半透明にして合成する」と言うパートでも、これまで画像加工ソフトでやってきたことがパワーポイントでもできることが紹介されています。
同様に、第9章「印刷、プレゼン時に役立つ表示」では、画像をたっぷり使った資料をモノクロでキレイに印刷するための方法が解説されています。たしかに、カラーの画面で作成したパワーポイントの資料がモノクロで印刷するとやたらと見にくくなると言うことはあるので、これもグラフィックデザイナーの著者だからこそ見つけられたテクニックではないかと思いました。
さらに、第12章の「PowerPointで絵が描ける!結合の使い方」は、規定のオブジェクト(四角とか丸とか三角とか)を使って、思い通りの図形を描く方法が解説されていて、これは保存番としても便利ですね。141pに掲載されているトランペットの絵などは、職人技と言っても良いもので、脱帽です。
プレゼン資料の本なのに見にくいのが残念
ただ、残念なのは、本書自体がやたらと見にくいこと。この手の本って、パワーポイントの画面イメージも大たいてい上から下に、視線の流れに沿って掲載されているじゃないですか?ところが本書は、画面イメージが右、下、左のようにランダムに流れているので、どのように情報を目で追っていけばいいか迷ってしまうのです。
また、文章が分かりにくいのも本書の難点で、たとえば冒頭の「はじめに」にある下記の文章なんかも、編集者が句読点の使い方を指導してあげたらよかったのに、と残念に感じてしまいました。
私自身、グラフィックデザイナーとして25年以上の経験の中で、PowerPointは、扱いにくいという先入観もあり、長い間使ったことのないツールでした。しかし、使えば使うほど、その機能は豊富で、様々なデータ形式への展開性など、Power Pointは魅力にあふれています。
なので、冒頭の話に戻りますが、本書はグラフィックデザイナー的にパワーポイントの使い方を知るために割り切った読み方をするのが正解なんだと思います。その観点では、類書にない新たな発見がありました。
画像はアマゾンさんからお借りしました
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