マッキンゼー流図解の技術ワークブック著者ジーン・ゼラズニー先生によるプレゼンテーションの全体像を示した本がこちら。
ジーン・ゼラズニー著、マッキンゼー流 プレゼンテーションの技術
原著(Say It With Presentation)の出版が2000年と若干古いのでパワーポイントに対応しているわけではありませんが、それでも外資系コンサルの代表格とも言えるマッキンゼー流のプレゼンテーションを知りたい人には参考になるところがあるのではないでしょうか。
ただ、先に言ってしまうと、84p~108pの演習問題は不要かと思います。これって結局「図解の技術」で取り上げているトピックであって、わざわざこの本で解説(というか、解説すらほとんどないのですが)する必然性はないのではないかと。
むしろ、巻末にあるチェックリストのようにプレゼンの準備からクロージングまでの一連の流れを、マッキンゼーの人はどのように行っているかの解説の方が読者が知りたいところでしょう。たとえば、リハーサルは2回行うのが理想的(まずは一人で行う、2回目は3-4人の前で行う)とか、会場には40分前に到着するなどの方が、具体的かつ有用なアドバイスだと感じました。
同様に、156pで取り上げられている「自然に話す」というのも、目からうろこです。外資系コンサルのプレゼンテーションと聞くと、「ビジネス・プロセス・リエンジニアリングをインプリメンテーションするためのマイルストーンが…」なんていう「ルー語」にあふれるトークを期待してしまいますが、実はこれはダメだ、というのが著者の主張。いわく、
実際には聞き手の前で完璧を目指そうとすればするほど私たちは人間らしさをなくしてしまう。なぜなら人間であるということは元来、不完全であることを意味するからだ。現実を直視しよう。完璧な人間ばかりで試合をしたらバスケットボールは随分つまらないものになるに違いない。
とのこと。
プレゼンテーション・チェックリスト
状況を明確にする
- 目的を特定する
- なぜこのプレゼンテーションを行おうとしているのか
- 何を達成したいと望むのか
- プレゼンテーションの結果、聞き手に何をして欲しい、あるいは理解して欲しいのか
- 聞き手を分析する
- 意志決定者は誰か
- 彼らは議題についてどの程度詳しいか
- 彼らは議題についてどの程度興味を持っているか
- もしイエスといったら、彼らは何を得るか、また失うか
- なぜ彼らはノーといいそうなのか
- 聞き手から投げかけられそうなもっとも厳しい3つの質問はなんだろうか
- 見通しを明確にする
- 与えられた時間内に目的は達成できそうか
- 機材・媒体を選ぶ
- インフォーマルなディスカッション、事実関係を見極める会議、双方向のミーティング向けとしては、フリップボード、ホワイトボードを用意する
- セミフォーマルなミーティング、および進捗状況の確認としては、OHP、オンスクリーン/液晶プロジェクターを用意する
- フォーマル、かつ、仕上げのプレゼンテーション用としては、オンスクリーン/液晶プロジェクター、35ミリスライド、マルチメディア、ビデオを用意する
プレゼンテーションを設計する
- メッセージを確定する
- もし、30秒しか与えられていなかったら、プレゼンテーションをいかに要約するか
- ストーリーラインを念入りに作成する
- オープニング
- 目的
- 重要さ
- 予告
- プレゼンテーションの中身
- 理解力の高い聞き手の場合いは結論と提言を先に
- 理解力の低い聞き手の場合は結論を章ごと、または最後に
- エンディング
- サマリー
- 提言(複数)
- アクションプログラム
- 次のステップ
- オープニング
- ストーリーボードを作成する
- 資料をデザインする
- Whatを示す→文章、絵、モデル
- Whereを示す→マップ、プラン
- Whoを示す→組織表、写真
- Whenを示す→カレンダー、ガントチャート
- Howを示す→ダイアグラム
- How Muchを示す→表、チャート
- Whyを示す→文章
- 資料に順番ずけする。何をいうかを決め、移行に際して言うことを作成する
- 資料をデザインする
プレゼンテーションを実施する
- 第1段階のリハーサルを行う
- ストーリーと資料に精通する
- メモを作成する
- 録音して練習する
- 第2段階のリハーサルを行う
- 感性豊かで建設的で客観性を持った同僚に練習の相手をしてもらう
- 質問を想定する
- 自分のリハーサルの様子をビデオに撮影してチェックする
- 組織機材のセットアップ
- 遅くとも40分前には会場に到着し、責任を持って機材の設営をする
- 実行するための技術を利用する
- 深呼吸 深呼吸 深呼吸
- アイコンタクトを確立する
- 自然に話す
- 声の強弱をフルに使う
- 両足に体重をかける
- 腕は腰の位置に置く
- スクリーンの脇に立つ
- 図表を活用する
- 資料を取りかえる前の移行の段取りを確立する
- 資料を見せる
- 各資料について聞き手をリードする
- 資料を片づける
- 質問に対応する
- アイコンタクトを確立する
- 忍耐強く傾聴する
- 答える前にしばし沈黙する
- 質問されたことだけに答える
- プレゼンテーションに戻るために移行の段取りを忘れない
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