米国人はおしなべてプレゼンテーションが上手な人が多い印象です。ところが、そんな米国にも社会人向けのプレゼンテーション・トレーニングのコースは数多くあり、逆に言えばそれだけ需要があると言うことでしょう。
その中から「正当派」とでも言うべきATDのプレゼンテーション・トレーニング講座を紹介します。ATDは、Association for Talent Developmentの略称で、米国における企業向け人材育成の総本山とでも言うべき団体です。というか、数年前まではASTD(American Society for Training & Development)として知られていたので、そちらの略称の方がなじみがある人が多いかもしれません。
このATDが提供しているプレゼンテーション・トレーニングですから、内容もオーソドックスなもので、受講後に下記の状態を達成することが目的となっています。
- Develop and structure an effective presentation based on your audience and purpose. (聞き手と目的にあわせた効果的なプレゼンテーションの構築)
- Create appropriate visual aids. (適切なプレゼンテーション資料の作成)
- Make your presentation memorable with the right kind of pizzazz. (適切な「ツカミ」でプレゼンを記憶に残す)
- Include facilitation techniques to engage your audience. (聞き手を巻き込むファシリテーションテクニックを身につける)
- Deliver a flawless presentation under any situation. (どんな状況下でも失敗しないプレゼン)
一方で、Topicsの項目に述べられているトレーニング内容は、ちょっと変わった説明になっています。
- Topic 1 – Introduction (イントロダクション)
- Topic 2 – Tell ‘em What You’re Going to Tell ‘em
- Topic 3 -Tell ‘em
- Topic 4 – Tell ‘em What You Told ‘em
- Topic 5 – Closing: Polishing Your Presentation Skills (まとめ:プレゼンスキルを磨き上げるために)
- Appendix (付録)
Topic2,3,4はなかなか一口に翻訳しにくいのですが、’emと省略されているのは”Them”で、たとえばTopic2だったら
Tell Them What You’re Going to Tell Them
となります。ここでのThemは聞き手を指し、翻訳すると
聞き手に対して、これから何を話すかを告げなさい
とでもなるでしょうか。ちなみに、これはさらに細分化され、下記の項目で構成されています。
- Topic Overview
- Presentation Purpose
- How do I Begin?
- Presentation Plan #2
- Presentation Planning Sheet
- Reflecting on My Presentation
- Presentation #2
- Effective Openings and Closings
- Identify Your Audience’s Needs
- Organizational Patterns
- Prepare the Environment
- Room Set Up Checklist
- Practice Techniques
- Using Notes
- Designing Visual Aids and Support Materials
- A PowerPoint Slide
- My Performance Tracker
要するにこのパートは、プレゼンテーションの全体像を示す概要として機能しているのがお分かりいただけるのではないでしょうか。
いずれにしても、誤解を恐れず言えば、「教科書」的なオーソドックスな内容を学ぶのがATDの講座の特徴とも言えます。
なお、費用の面で言うと、2日間の講座で1,450ドルですから、仮に1ドル=120円とすると174,000円とけっしてお安くはない値段です。前回紹介したロンドンのImpact Factoryは1日の講座で7万5千円ぐらいでしたから、欧米のプレゼンテーション・トレーニングの相場はこのぐらいなのでしょう。
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