プレゼンテーションの資料作りって、実は料理に例えられるそうですね。

というのは、料理もどれだけおいしいものでも、その日の気分にマッチしていなければ喜ばれないじゃないですか。プレゼンも同じで、「情報の質と量が適切で脳に納めやすい」のは当然として、それが聞き手にとって「論理的/感情的に受け入れやすい」かどうかも大事だから。

料理でいうと、「メニューがその時の状況や体の状態にふさわしい」かを考える必要があるのと同じです。こんなたとえ話でプレゼンの資料作成を解説しているのが、清水先生の、「プロの資料作成力 意思決定者を動かすテクニックとおもてなしの心」です。

キーになっているコンセプトは、「おもてなし」。

なので先ほどの料理の例が出てくるわけですし、聞き手の気持ちにも目配りを忘れない視点は「なるほど」と思いました。

ただ、おもてなしが前面に出ているせいか、ロジック(論理性)の説明が弱くなってしまったのがちょっと残念。ちなみに著者の清水先生は「ロジカル・ライティング」のご著者でもあり、どちらかというとロジカルな文章がお得意領域かと思いますので、そっちの話も本書で詳しく教えて欲しかったです。正直、プレゼン資料で「相手に感動を与える」まで考えちゃうとキツくて、料理で言えば「お腹いっぱい」とでも言うか。

プレゼン資料作成の3つの要件と5つのステップ

さて、内容に関しては、まずは「プロフェッショナルな資料の3つの要件」として下記の3点が挙げられます(ここで「感動」が出てくるわけです)。

  • 期待値を理解している
  • 達成基準が高い
  • 安心・満足・感動を与える

さらに、そのためのアプローチとしては、

  1. 目的
  2. ターゲット
  3. メッセージ
  4. 構成
  5. ビジュアル化

と言う5ステップが提唱されています。ちなみに、最初の3つの順番は、

必ずしもこの順番でなければならないというものではありませんが、基本的には「目的」が最初になります。場合によっては、たとえばカリスマ性がある方の講演などの場合には、メッセージが先になってもかまわないというケースもないわけではありません。しかし一般的には「目的」-なんのために資料を作ろうとしているのか、今回の資料で誰にどういうアクションをとってほしいのか、がスタート地点になります。

とのことで、これは確かにそのとおりな気がします。

プレゼンはロジックを練り込む

一方で、最初にも書きましたが、「論理的整合性」に関してはイマイチと感じてしまって、本書で示されているスライドのサンプルは、読者が改めて「その次」を考えるためのヒントと割り切って読んだ方が良さそう。例えば、111pに掲載の「インターネット閲覧制御ソフトニーズ調査」のAfterのスライドは、メッセージが、

インターネットの有害性に対して、約90%の親が何かしらの対応を行っており、特に低学年の子供を持つ親はその危険性を強く感じている。しかし、制御ソフトの使用率は依然低く、浸透しておらず、閲覧制御ソフト販売には、潜在的なニーズがある。

ですが、

  • スライドメッセージに様々な要素が盛り込まれて文章が長すぎる
  • この情報からは「制御ソフトの使用率が依然低く」は論理的整合性を持っては言えない (時系列による比較がないと「依然」という言葉は使えないし、「低い」を言うためには他国の事例や似たようなソフトの利用率など他の判断軸が必要)
  • この情報からは「閲覧制御ソフト販売には、潜在的なニーズがある」は論理的整合性を持っては言えない (常識的に考えて、危険性を認識しているのに制御ソフトの使用率が低いと言うことは、ニーズがないのでは?)
  • 図の右側の「平均」が何を意味しているかわかりにくい

などの改善点がパッと思いつきます。

同様に、121pに掲載の「高齢化の今後の傾向」というスライドのAfterも、メッセージが

1990年代半ばに、老年人口と年少人口が逆転し、老人1人を支えるために必要な生産年齢人口は年々減っており、今後は老後保障は自助努力で準備する必要が高まると言える。

ですが、

  • 老年人口、年少人口、生産年齢人口の関係がわかりにくい (メッセージにもデータにも、年少人口を掲載する必然性はないのでは?)
  • スライド下部にある「10人で一人の老人を支えていた」…があれば、メッセージの根拠としては十分であり、グラフは添付資料に回すべきでは?

などの改善点が思いつきます。

以下、最初にも書いた5ステップに沿ってのポイントをまとめました。

1. 目的

 どんな行動をとってもらいたいのか

 そのために何を理解してもらいたいのか

 そのためにどのような状態にするべきか

ターゲット

 プロファイリング

  メインターゲットとサブターゲットを決める

  人物像

  期待-把握した上で、いい意味で裏切る

  情報-Why, What, Howのカテゴリーそれぞれの保有情報量を3段階で評価

  理解-相手の使用言語にあわせる

  仮説-プロファイリングのゴール

メッセージ

 メッセージ=主張x根拠

  要件1ロジックエラーがない

  要件2「5回以上の”なぜ?”に耐えうる」

  要件3 感情に染み入る

構成

 資料全体の構成

 スライド内構成のチェックポイント(バランス-左右対称、視線の流れ-上から下・左から右、余白-30%程度)

ビジュアル化

 情報の質を高める

  使う言葉を選び意味を定義する

  具体と抽象のバランスをとる

  タイトル・見出しと内容の食い違いをなくす

 情報の量を適切にする

  まずは減らす

  因数分解する

  量を制限する

 表を加工する

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