Zoomの連携サービスを紹介します。第180回はZoomとPractera (プラクテラ)との連携です。なお、そもそも「Zoomの連携サービスって何?」という方は、第1回をご覧下さい。
仕事を通じた経験学習
「経験学習」という言葉をご存じでしょうか?主にビジネスパーソンの育成に使われますが、実務経験から自身の成長につながる学びや気づきを得ようというものです。多くの人が心当たりあると思いますが、たいへんな仕事を乗り越えたとき、ビジネスパーソンとして成長が実感できます。もちろん、研修や自身による好きアップもいいのですが、経験学習こそが重要であるとの説は納得感があります。
一方で、経験学習にも「うまい、下手」があります。つまり、大きな仕事を乗り越えたとき、「ふぅ~、終わった。やれやれ」と何も考えない人と、「この仕事から学べたのは何だろう?」と内省できる人では、経験学習から得られるものに大きな違いが出るのです。したがって、経験学習を重要視するならば、上司のかかわりが重要になります。部下を上手に導いて、仕事の後に振り返らせる、そして教訓を引き出すように誘導するのが部下育成においては重要です。
そして、より戦略的にこの経験学習を使うならば、仕事のアサイン(割り振り)にも気を遣うべきです。つまり、「彼には、このような能力を伸ばして欲しい。だとしたら、このようなタイプの仕事を割り振ろう」。そう考えると、より経験学習が加速します。ちなみに、この分野の第一人者、松尾先生のご著書「部下の強みを引き出す 経験学習リーダーシップ」から、リーダーシップが学べる仕事のタイプを本稿末尾に掲載しましたので、ご興味がある方はぜひチェックして下さい。
そして、今回紹介するZoom連携サービスのPracteraは、この経験学習に関連するものです。
インターンシップ探しのプラットフォーム、Practera
では、ホームページを見てみましょう。
An experiential learning platform that powers employability skills & future careers.
エンプロイアビリティと将来のキャリアを加速する経験学習プラットフォーム
というキャッチフレーズが掲載されています。これだけだとよく分かりませんが、次に掲載されているのがこちら。
Authentic industry projects, internships & experiences for students.
本物のビジネスのプロジェクトとインターンシップの経験を学生に提供する
これを聞くとピンとくる方も多いでしょう。Practeraは、学生向けにインターンの機会を提供している企業と学生をマッチングするためのプラットフォームなのです。これによって、学生は本物の実務経験を積むことができ、上述の経験学習が進むことになります。
なお、補足ですが、上記の説明の中のemployabilityはemploy (雇用)、ability(能力)という単語からなる造語で、「雇用されるにたるだけの能力」とでもいうべき言葉です。最近は日本語でも「エンプロイアビリティ」というのが広まってきたので、そのように翻訳しました。
Zoomでリモートインターンシップも可能に
では、ZoomとPracteraの連携を見てみましょう。
Use Zoom to enable experiential learning form a distance and easily schedule, join and manage online meetings from Practera.
PracteraからZoomを使うことで、オンライン会議を簡単に設定、参加することができ、リモートでも経験学習が可能になります。
インターンシップというのは、もちろん経験学習のためでもありますが、同時に就職活動の一環としても機能しています。ところが、コロナウィルスの影響でこれが十分にできない場合も多いでしょう。そのようなときは、Zoomを使った「リモートインターンシップ」を使えば、経験学習も就職活動もできるということです。
考えてみれば、就職活動を経て実際に入社したとしても、そのままリモートワークという状況も普通にあり得ます。であれば、入社前からリモートインターンシップをすることで、実務に近い経験を味わえるのでしょう。あるいは、一歩深読みすると、このようなリモート環境を提供できる企業こそが、従業員に優しい環境を提供していると言うことで、学生からは人気になるのかもしれません。
S | 大項目 | 小項目 |
1 | 小規模プロジェクトや立ち上げ業務 | 緊急を要するビジネス上の課題に対応するプロジェクトチームに加わる |
2 | 社外の関係者を含めたあるいは部署組織をまたいだミーティングや会議を企画する | |
3 | 顧客や取引先など社会の利害関係者との交渉折衝をリードする | |
4 | 会社の情報業務システムを構築統合する仕事に関わる | |
5 | 経営に関する企画書を作成して人に提案する | |
6 | 顧客や取引先からのクレームなど職場外でのトラブルに対応する | |
7 | ビジネス上の重要問題の解決のために編成されたプロジェクトチームを管理運営する | |
8 | 組織の代表者として社外で講演やスピーチをする | |
9 | 新しい情報業務システムを評価し導入するまでの一連の流れを担当する | |
10 | 工場・支店・店舗などビジネスをたたむ仕事に関わる | |
11 | 職場の課題を検討する推進リーダーになる | |
12 | 飲み会や旅行など社内レクリエーション企画運営する | |
13 | 事務所を離れて一時的に関連する部署で働いたりサポートする | |
14 | 部門横断的なプロジェクトや他部門と共同で実施するプロジェクトに参加する | |
15 | 新商品サービスプログラムを立ち上げるチームをリードする | |
16 | 新しい製品システムの企画開発運用に関わる | |
17 | 一般社員と経営陣の間に立ち現場の声を上層部に伝える | |
18 | 締め切りまでに時間が切迫しているプロジェクトに関わる | |
19 | 会社を代表して重要人物の訪問を取り仕切る | |
20 | 業務範囲の拡大と改善活動 | 経験不足のメンバーが多いグループのリーダーとなる |
21 | 能力的に劣るメンバーが多いグループのリーダーとなる | |
22 | クレームやリコールなどビジネス上のトラブルに関わる | |
23 | 要求水準が厳しいタスクと難易度が高いプロジェクトに関わる | |
24 | コスト削減プロジェクトチームのリーダーになる | |
25 | 苦手な人物や利害が対立する相手との交渉や共同に関わる | |
26 | 部門内の変革実行のためのビジョンやスローガンを作る中心メンバーとなる | |
27 | 問題があるメンバーで構成されるグループのリーダーとなる | |
28 | 当該業務の専門知識ノウハウを有するメンバーがいないグループのリーダーとなる | |
29 | 専門家集団の色合いが強いグループのリーダーとなる | |
30 | 定型業務が主体のグループのリーダーとなる | |
31 | 業務量や業績が急速に拡大しているグループのリーダーとなる | |
32 | 構成メンバーを選抜したり絞ったりすることに関わる | |
33 | 社外への出向転籍を図るプロジェクトに関わる | |
34 | 誰もが敬遠するような業務に取り組む | |
35 | 戦略的な業務 | 特定市場の競合情報まとめ競合する他社の分析を行う |
36 | 全社の部門のビジョンや事業計画を作成する | |
37 | 重要顧客のニーズを収集分析し企画書にまとめる | |
38 | 失敗した業務やプロジェクトの原因分析をし共有する | |
39 | 問題の再発防止に向けた施策を練る | |
40 | 顧客や同業他社による革新的活動や成果を研究し共有する | |
41 | 業務や技術の最新トレンドを敏感に掴み社内外でプレゼンする | |
42 | 新しい製品サービスシステムの提案書を起案する | |
43 | 上司のプレゼンテーションの資料を作成する | |
44 | 社外の人から当社についての評価をヒアリングする | |
45 | 会社や事業の将来を予測し状況別のシナリオを作成する | |
46 | 教育コーチングに関わる業務 | アルバイト新人若手社員への教育訓練プログラムで指導役を担当する |
47 | 優れた上司あるいはそりが合わない上司と仕事をする | |
48 | 他者にその人の専門外の仕事を教える | |
49 | 他者にその人の専門である仕事を教える | |
50 | 組織の課題に適した教育研修プログラムを設計する | |
51 | 自己啓発自己認識プログラムに参加する | |
52 | 特定の仕事に関して専門家と協働する | |
53 | 新しい専門領域を勉強する |