プレゼンテーションの目的は「聞き手に期待した行動をとってもらうこと」であるというLeADER原則はに納得したら、次に来るのはHOW、つまりどうやったら聞き手の行動を変えることができるのか、です。というか、このHOWが分からないからこそ、多くの人が話すことそのものが目的化する「ご静聴ありがとうございましたの罠」に陥ってしまうかもしれません。
これを乗り越えるためのフレームワークが「人材育成ピラミッドモデル」です。その名の通り、もともとは人材育成で使われるものですが、プレゼンテーションでも役立つものですので、まずは全体像を見てみましょう。
プレゼンテーションでも使える人材育成ピラミッドモデル
人材育成ピラミッドモデルの基本的な考え方は、人間の行動の背後にはどのようなものがあるかを説明することです。たとえばセールスのプレゼンテーションで考えるならば、お客さまが「イエス」という行動をとってくれるのはなぜ?を考えることになりますね。
ピラミッドの一番上にある行動のすぐ下は、「知識」です。たとえば、製品の知識、業界動向に関する知識、競合他社の活用事例の知識…。プレゼンテーションでお客さまに説明することで、お客さまの「買おう」と言う気持ちをかき立てるのは、まさにセールスっぽくてイメージがつきやすいのではないでしょうか。
ただ、実際のところは、知識「だけ」では人は動きません。これが、先ほどのフレームワークがピラミッド型になっている理由で、下に行けばいくほどその人の行動に与えるインパクトが大きいことを意味します。つまり、知識よりもマインドと呼ばれるその人の考え方を変えた方がいいし、あるいは一番下のパーソナリティーと呼ばれる価値観に則した説明の方が聞き手の行動を変えるLeADERトリガーになります。
デキる営業マンのプレゼンには型がある
実際にセールスにたずさわっている方は、新たな知識を説明しただけではお客さまの行動は変わらないのはイヤという程経験済みでしょう。できる営業マンは、知識の説明をしつつも、お客さまのマインドを変える問いかけをしたり、お客さまの価値観を見抜いてそれに合わせた説明ができる人です。
ただし、ピラミッド型にはもう一つ意味合いがあって、下に行けばいくほど「外からは見えにくい、変えにくい」ことになります。たとえば、ある知識がお客さまに伝わったかどうかは、比較的簡単に見分けられるでしょう。でも、そのお客さまのマインドはどのようなものか、あるいはそもそもの価値観が何かはパッと見ただけでは分かりません。仮にお客さまに聞いてみたところで、まともな答えが返ってくるわけではありませんしね。
プレゼンテーションとは、聞き手の頭の中の仮説を立てること
ここまで来ると上手なプレゼンターの秘訣がお分かりでしょう。聞き手の気持ちを動かして期待した行動に促すのが上手な話し手は、表面上は知識を伝えながらも、同時にお客さまのことを観察し、その人のマインドやパーソナリティの仮説をすばやく立てる人です。そして、その仮説に基づいて知識以外のところで聞き手に刺激を与えるからこそ、その気持ちを動かすことができるのです。
前ページ プレゼンテーション事例:外資系コンサル パワースライド社を読む |
次ページ プレゼンで聞き手を動かす「痛み」と「喜び」を読む |
|
---|---|---|
プレゼンテーションセミナーのページに戻る |