「プレゼンで緊張しちゃうんですけど…解決するために心理学を使えないか」。そう思った時に手にとってしまうかもしれないのが下野孝一、吉田竜彦両先生のご著書「プレゼン基本の基本: 心理学者が提案するプレゼンリテラシー」です。
プレゼンの緊張防止には「知性化」
著者の下野、吉田両先生が提唱しているプレゼン緊張防止の方法論が、
プレゼンに緊張するのは当たり前ですから、あえて自分で自分を見つめてみて、「自分は緊張しているのだな」と再確認してみるのです。これは緊張した自分を意識しすぎて、さらに緊張してしまうという悪循環を防ぎ、自分を客観的に眺める「知性化」と呼ばれる方法です。
というもの。さすがに心理学の先生だけに、説得力があります。ただ、この「知性化」、具体的な方法論がないのが残念なところ。というのは、客観的に自分を見直すことで緊張を抑えることができるというのは、多くのプレゼンターは理解しているところ。問題は、これができないことにあります。「客観的に自分を眺めるといっても…、どうやって?」と言う悩みへの、心理学的な観点からの示唆があると本書の価値が上がると感じました。
破壊的リーダーとプレゼン
本書には、ところどころに「心理学ミニ知識」挟まれていて、興味をかき立てられます。その一覧が下記です。
- 目標設定理論と自己効力感
- 記憶の体制化
- 笑顔とプレゼン
- 破壊的リーダーシップ行動とプレゼン
- 記憶の構成要素
- 分配構成
この中から、「破壊的リーダーシップ行動とプレゼン」を見てみましょう。まず、破壊的リーダーとは、部下の意欲を奪いストレスを与え、精神的に追い込むというネガティブなリーダーです。ところが、このような人たちは自分の実力以上によく見せるのが得意で、結果としてプレゼンテーションが上手だという説があるのです。しかも、そのような人は人から賞賛することが好きですから、プレゼンの練習も熱心に行い、ますますプレゼン上手に。ということは、プレゼンの上手、ヘタだけでリーダーとして的確かどうかを決め手はいけないということでしょう。
薄い冊子にプレゼンの多くを網羅
本書は110ページぐらいの薄さに、プレゼンテーションの多くの要素を盛り込んでいます。下記、目次を記載するので見ていただければ、幅広くプレゼンに必要な要素がカバーされているのが分かるでしょう。
- プレゼンリテラシー:基礎編
- プレゼンの目的をはっきりさせる
- 材料を準備し、脚本を考える
- 論理的なプレゼンをつくる
- プレゼンのテクニック:技術編
- グラフ・表・イラストの基本的な使い方
- 文の書き方
- プレゼンターの心得
- プレゼンへの第一歩:挑戦編
- 脚本と枠組み
- スライド
- プレゼン以前の基本知識
画像はアマゾンさんからお借りしました。
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