広告代理店と言えば多くのビジネスパーソンのあこがれでしょう。そこで働く人が、クライアントに対してどのようなプレゼンテーションをやっているかはイヤでも興味が高まりますよね。
ドラマとは言え、ネスレさんが展開している「踊る大宣伝会議」では、プレゼン一発で大逆転が描かれていて、その力を改めて実感します。
そんな広告代理店のプレゼンテーションの基礎が説明されているのが、こちらの本です。
長沢 朋哉著、新人広告プランナーが入社時に叩き込まれる 「プレゼンテーション」基礎講座
著者は名門広告代理店電通ヤング・アンド・ルビカムにてマーケティング戦略などを担う方。サブタイトルにもあるとおり、「新人広告プランナー」向けで、そのためか見開き2ページで完結しているスタイルになっています。本書は横書きですが、左側にはパワーポイントのスライド風の図解(コンセプト・チャート)、右側は文字による説明 、と。
「おわりに」で筆者は制作過程の裏話も披露してくれていて、それが、
筆者である私は、まず図版を作ります。そして全体の構成がある程度できあがってから、「図版」に添付する「文章」を書いていました。2つはどちらが主でも従でもなく、私の中ではまったく均等です。
というもの。
これは成功したようで、筆者の勤務先の20代の若手社員に見せたところ、
横書きで文字数が少ないのが、読みやすくてよいです
との評価だったそうです。
ただ、一方で、その分だけ文字の量が少なくなってしまったせいか、「このポイントをもっと知りたい」というところが何カ所かありました。たとえば、
「自信」とは、成功のために持つべきもの。そのためには徹底したリハーサル。(81p)
と主張していますが、そのリハーサルの方法はもっとバリエーションを持って、それこそ徹底的にやることを示した方が初心者には親切だったのではないでしょうか。もちろん、著者の主張するメンタル・リハーサルも良いのですが、他にも
実際の会場に近いセッティングのリハーサル
ビデオ撮影をして後でチェックするリハーサル
歩きながら頭の中で行うリハーサル
など、いろいろありますからね。
以下、ポイントをまとめました。
●プレゼンの本質
「主張」を伝えること
「目と耳」に訴えること
●プレゼンの類型
- 目的(提案か報告か)
- 課題(自由回答か選択肢か)
- 人数(個人かチームか)
- 機材・資材(プロジェクタかペーパーか)
- 形態(起立か着席か)
●ストーリーの基本構造は、シンプル突き詰めれば「分析→主張」の形
●キー・ファインディングスは、ストーリーの中核の一つ。聞き手に「驚き」や「感銘」を感じさせること。たとえば、
- 解決すべき真の問題点
- 問題点の根本的な原因
- 他社が見つけていなかった隠された機会(チャンス)
- 市場環境変化に対応した事業の成功要因
- 多くの人が気付いていない人間の深層心理
●中表紙は、聞き手の頭の中を整理するページ(ナビゲーター役)
●ページ作りの原則
- 基本的レイアウト
- 山場ページのレイアウト
- Z字型アイフロー
- 1行の文字数
- ボックスと矢印
- 数字
- キーワード
- ビジュアル・エイド
●導入では、まず全体の流れを理解してもらう。その上で、期待感を持ってもらう
●基本的チェック項目
- キックオフ(準備開始時点)
- プレゼンの目的
- 聞き手(聴衆)
- 期日
- 時間
- 資料のタイプ
- 使用できるリソース
- 中間地点
- 全体の進行度合(完成度)
- 目的との合致性
- 聞き手に関する新情報
- 不足している要素
- 日程や会場についての変更点
- 直前期(1-3日前)
- 全体の進行度合(完成度)
- 資料のブラッシュ・アップ、ディティールの確認
- 聞き手に関する新情報
- 日程や会場についての確認・変更点
- 当日・現場
- 重要な三枚
- 緊張の度合
- キー・パーソン
- 時計の位置(タイム・マネジメント)
【目次】
Part1:プレゼンの本質
Chapter1:本質の理解
Chapter2:類型の理解
Chapter3:学びのフレーム
Section1 何を伝えるか?
Section2 どう資料にするか?
Section3 どう話し、どう見せるか?
Section4 まとめとOne More Thing
Part2:プレゼンの技術
Chapter4:資料を作る技術
Section1 ストーリーを作る技術
Section2 ページを作る技術
Chapter5:話し、見せる技術
Section1 話す技術
Section2 見せる技術
Part3:実務における確認項目
Chapter6:プレゼン準備の流れ
Chapter7:基本的チェック項目
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