プレゼンテーションが上手な有名人と聴くと、スティーブ・ジョブズ氏や孫正義さんなどの経営者がまず頭に思い浮かびますが、実は安倍首相も上手なんですってね。

「え~、ホントかよ」とツッコミたくなった人も、まあ聴いてください。この「プレゼンテーションが上手か下手か」は客観的な指標で証明されているのです。「ASコーディングシート」という、顔の表情筋の動きやまばたき回数、アイコンタクトの長さなどのチェック項目の一覧表によると、なんと、安倍首相はオバマ米大統領よりもプレゼンが上手とのこと。

プレゼン上手は表情で分かる

具体的に見てみましょう。題材は、安倍首相オリンピック誘致プレゼンテーション(2013年9月7日)とオバマ米大統領就任演説(2009年1月20日)。なお、安倍首相自身のプレゼンスキルアップを見るため、第1次安倍政権所信表明演説 (2006年9月29日)も付記しています。

安倍首相オリンピック誘致プレゼンテーション(2013年9月7日) 第1次安倍政権所信表明演説 (2006年9月29日) オバマ米大統領就任演説(2009年1月20日)
演説全体時間 312秒(5分12秒) 2027秒(33分47秒) 1160秒(19分20秒)
計測時間 224秒(3分44秒) 224秒(3分44秒) 864秒(14分24秒)
ヘッドムーブメント(中央から右への顔の向き) 5.9回 4.3回 4.4回
ヘッドムーブメント(中央から左への顔の向き) 5.9回 4.3回 4.3回
アームムーブメント(腕の振り上げ) 20.4回 0回 13.5回
まばたき※1 29.2回 23.8回 27.4回
アイコンタクト(視線の接触) 55.6秒 16.6秒 30.2秒
眼輪筋の動き 59.6秒 20.3秒 47.7秒
口輪筋の動き 54.5秒 48.1秒 47.7秒
唇をなめる動作 3.5回 6.1回

各指標の数値は1分あたりに換算
※1まばたき回数は、数値が小さい方が良いプレゼンとされる

ただ、ここまで来ると、「ではどうやったらプレゼン上手になれるの?」という疑問も湧いてくるでしょう。それを解説しているのがこちらの本です。冒頭で紹介したASコーディングシートも、ひょっとしたら著者の佐藤綾子先生の頭文字を取ったものでしょうか?

佐藤綾子著、安倍晋三プレゼンテーション 進化・成功の極意

プレゼンテーションに力を与える「非言語表現」トレーニング

とくに読むべきだと感じたのは、第5章の「プレゼンに決定的な力を与える「非言語表現」トレーニング」です。

  • グリンプスバイトとサウンドバイト
    相手の視覚に一瞬で飛び込んでいくのがグリンプスバイト、耳から聴覚に飛び込むのがサウンドバイト
  • あなたは15m先から認識されている
  • 歩幅は60cmを目安に歩く
  • 頸椎、胸椎、腰椎を立てる
  • 第1印象は2秒で形成される
    • 日頃から自分の顔を鏡に映し、表情を意識する
    • 明るく、元気で、誠実で、頼れる印象の自分の顔を思い浮かべ、その表情をモデルにして練習してみてください
  • 口角を2mm上げてスマイルを
  • まばたきは37回以下にする
  • 聞き手1人ずつに視線を配る
  • 1分間に266文字が目安

第1次安倍政権所信表明演説 (2006年9月29日)

安倍首相オリンピック誘致プレゼンテーション(2013年9月7日)

オバマ米大統領就任演説(2009年1月20日)

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