プレゼンテーションを学ぶための本はいろいろありますが、基本を押さえているという点で絶対的にお勧めしたいお勧めしてもいいかもしれないのがこちら。

富士通エフ・オー・エム株式会社著、よくわかる自信がつくプレゼンテーション―引きつけて離さないテクニック

悪く言ってしまえば、本書に書かれていることは「あたりまえ」のことばかりです。

でも、実際のところは、この「あたりまえ」すらできていないプレゼンテーションがいかに多いことか。

その意味では、巻末のチェックリストは極めて貴重なものです。ざっと流し読みするだけでなく、それこそ自分のプレゼンをキビシイ目でチェックする際の材料にしたいと思います。

(追記)チェックリストは上述の通り素晴らしいものですが、本文中で取り上げられている「設計シート」の中身はいただけません。序論→本論→結論でロジカルに展開したプレゼンテーションでは、本来の目的であるLeADER原則を達成することはできませんので要注意です。

【コンテンツ面のポイント】

プレゼンテーションの流れ

目的の明確化
聞き手の分析
情報の収集と整理
主張の明確化
ストーリーの組み立て
プレゼンテーション資料の作成
シナリオの作成
リハーサル
最終確認
プレゼンテーションの実施
フォロー

プレゼンテーション設計シートとは

設計シートとは、プレゼンテーション資料を作成する前に、収集してきた情報や組み立てたストーリーなどを一旦整理し、プレゼンテーションの全体像を把握するためのものです。設計シートを利用することで、情報の過不足を見直したり、検討の余地を発見したりして、より効果的なプレゼンテーションを目指すことができます。

●チェックシートで確認しよう

目的の明確化

–プレゼンテーションの目的が明確になっているか

聞き手の分析

–聞き手が主役であることを意識しているか
–聞き手の性別や年齢職業 役職 地域性などの属性を把握しているか
–プレゼンテーションの 内容に関する聞き手の前提知識を把握しているか
–プレゼンテーションの内容に対する聞き手の関心度合いを把握しているか
–聞き手の中のキーパーソンが 誰であるかを特定できているか

情報の収集

–聞き手のニーズを把握するために インタビューや アンケート 調査などを行い必要な情報を収集したか
–インタビューや アンケート 調査を通して 聞き手の顕在ニーズと潜在ニーズを 聞き出したか
–主張しようとしている内容を裏付けるための説得材料として インターネットや新聞 雑誌 インタビューなどから 適切な手段を選び 情報を収集したか
–主観に基づく個人的 な意見などではなく 信頼性の高い情報を収集できたか

情報の分析

–収集した情報の中から 聞き手のニーズを見つけ出すことができたか
–主張しようとしている内容が 利き手のニーズに合致しているか?合致していない場合 プレゼンテーションに盛り込むものと盛り込めないものを見極めたか
–一回のプレゼンテーションで聞き手のニーズ全てこたえることができない場合 どのニーズに焦点を当てて提案を行うかを明確にしたか
–収集した情報の中から プレゼンテーションで伝えるべき内容を吟味したか
–プレゼンテーションに盛り込む情報について どのような見せ方をすると効果的 に伝えられるかを検討したか

主張の明確化

–プレゼンテーションの目的を達成するまでの道筋を イメージできているか
–目的の達成をさまたげる要因ないかどうかを考え あるとすれば問題点を明確にし その解決策を検討したか
–目的を達成するために必要な解決策について 関係者間で様々な意見やアイデアを だしあったか
–発表者と聞き手の双方にとって利益となる主張を見いだすことができたか
–プレゼンテーションで伝えるべき内容について 訴求ポイント明確にしたか
–主張にブレや矛盾がなく一貫性が保たれているか

プレゼンテーションの構成

–プレゼンテーションが序論・本論 結論の三つで構成されているか
–序論は聞き手の関心を引き出し プレゼンテーションへの期待感を高める内容になっているか
–本論は論理的にストーリー展開されているか
–結論はプレゼンテーション内容をまとめ、聞き手に具体的な検討や意思決定を促しているか
–聞き手が頭の中を整理しやすいように一定の流れを作っているか
–事実と意見を明確に区分しているか
–客観的な視点で メリットとデメリット提示しているか
–聞き手が理解しやすいように 要点をコンパクトに提示しているか
–流れの中で 訴求ポイントを 適度に露出させているか
–発表の効果的な時間配分をイメージしながらストーリーを組み立てるか
–キーパーソンに訴えかける内容で プレゼンテーションを構成しているか

プレゼンテーション設計シートの作成

–プレゼンテーションの全体像を把握するための設計シートを作成したか
–設計シートには プレゼンテーションのタイトルや目的 訴求ポイント 構成だけでなく 出席者所要時間、実施方法、場などの情報も記入しているか
–作成した設計シートを利用して 情報の 過不足や検討の余地を発見し プレゼンテーションの内容について見直したか

プレゼンテーション資料の大原則

–表紙スライドは インパクトのあるデザインになっているか
–表紙スライドには タイトルだけでなく プレゼンテーションの実施日 会社名 所属 発表者氏名なども明記されているか
–すべてのスライドに簡潔でわかりやすい見出しをつけているか
–全体をとおして 統一感のあるデザインになっているか
–スライドは横長、横書きに なっているか
–人間の視覚原理にしたがって 聞き手の視線が自然に流れるように各要素を配置しているか
–プレゼンテーションの内容に合わせて適切なフォントを使っているか
–見出しと本文などの関係を考慮し 全体のバランスに注意しながら 適切なフォントサイズを選んでいるか
–プレゼンテーションの内容にあった色を選んでいるか
–文字色と背景色の組み合わせは適切か
–一枚のスライドに情報を詰め込みすぎず適当な空白部分を作っているか

箇条書きによる表現方法

–ひとつの箇条書きにひとつの要点をのべているか
–各項目はできるだけ1行以内で収められているか
–冗長な修飾語屋 接続詞は削除しているか
–文体は である 調または体言止めで統一しているか
–句読点の扱いを統一しているか
–重要な語句はカッコで囲むなとして強調しているか
–必要に応じて 情報のまとまりごとに階層化したり 重要度や時系列の順番に並べ替えたりしているか
–情報を大項目 中項目小項目に分類し それぞれの項目内で 内容をそろえて記述しているか
–箇条書きの各項目の先頭に 内容に合わせて適切な行頭記号をつけているか

表による表現方法

–説明すべきポイントを絞り込み表の項目はできるだけ減らしているか
–見出し行や明細行が見やすいよう文字の配置やフォントサイズ 背景色など工夫しているか
–項目同士の比較がしやすいように 文字の配置を工夫しているか
–強調したいセルに色をつけたり フォントサイズ 大きくしたりしてくしているか

グラフによる表現方法

–主張したい内容に応じて適切なグラフの種類を選んでいるか
–グラフの内容を表現した簡潔なタイトルをつけているか
–凡例や軸の名称の他、必要に応じて目盛り線や補足説明など入れているか

画像による表現方法

–本当に必要なイラストかどうかを考えて使っているか
–イラストの持つイメージ プレゼンテーションの内容に当たっているか
–複数のイラスト使う場合は全体をとおしてイラストのタッチを統一しているか
–写真でつたえた方が臨場感やリアリティがつたわる情報がにないかを吟味したか

図解による表現方法

–文字だけでは伝えにくい内容は図解などを作成し 直感的に理解してもらえるように工夫しているか
–複数の項目間の関係を示すのに 最適な図解パターンを選んでるか
–表現したい内容にあった 適切なアレンジをくわえてよりわかりやすい図解を作成しているか
–図形の配色を工夫したり重要なポイントを強調したりしているか
–陰・立体・グラデーションなどの装飾で 変化を付けるだけでなく それらの装飾はすべてのスライドを通して 統一しているか

色による表現方法

–プレゼンテーションの内容やターゲットに合わせて 適切な色を選んでいるか
–一枚のスライドの中で使う色数が 多すぎないか
–有彩色と無彩色のバランスを工夫しているか
–アクセントになる色 使って強調したいポイントを部分的に際だたせているか
–複数の色を使う場合は 調和のとれた色使いになっているか
–すべてのスライドを通して 色づかいに一貫性があるか

シナリオの作成

–聞き手にあった伝えかた を考え 内容に問題がないようにシナリオ作成したか
–重要なポイントにはマーカーで色つけたり下線を引いたりしているか
–シナリオだけでは不安を感じる場合は スピーチ原稿作成したか

伝えるための技術

–プレゼンテーションの最初は聞き手にとって効果的のアプローチになっているか
–プレゼンテーションの最後は自分の主張もう一度繰り返しているか
–予定していた通りの時間で進行しなかったときのために 時間調整する方法 検討したか

パーソナリティが与える影響

–人前で自然な笑顔を作ることができるか
–服装はビジネスでふさわしいものを選び清潔感を与える身だしなみになっているか
–美しい姿勢を保ち 堂々とした姿勢で話すことができるか

聞き手を引きつける話し方

–メリハリのある大きな声で語尾まではっきり聞こえるように話しているか
–説明の中に口癖が出ていないか
–聞き手を見下した出した言葉や 自分を否定するような言葉を使っていないか
–敬語を適切に使い分けているか
–適切な声のトーンやスピードで話ているか
–熱意と自信を持って 表現力豊に話ているか

聞き手の理解力と発表者の表現力

–聞き手の前提知識に配慮し 専門用語の使い方に注意しているか
–肯定的 な表現を使い出来ることを強調しているか

効果的な視線の配り方

–聞き手全員に語りかけるように視線を配っているか

リハーサル

–自己リハーサルをおこない見直すべき点を修正したか
–立会リハーサルをおこない見直すべき点を修正したか
–リハーサル時に出た質問を想定質問として その回答を準備したか

配布資料の事前準備

–必要に応じて プレゼンテーション 当日の配布資料用意したか
–出力した 配布資料が意図した通りの色合いになっているか
–聞き手がメモするスペースを考慮しページレイアウトを工夫したか
–頁数が多い場合は 各ページにページ番号入れたか
–誤字脱字や内容の間違いがないかを確認したか
–必要に応じて 著作権の所在や出典元を明記したか
–必要に応じて 会社案内や 商品サンプルなどが配布物を用意したか

実施環境の事前確認

–会場の広さだけでなく 机や椅子空調設備 照明 電源の位置 配線 会場外の設備など確認したか
–会場までの所要時間や交通機関、最寄り駅からの道順などを正確に把握しているか
–パソコンやプロジェクターなどのツールを使う場合は 会場にそれらの機器があるか ない場合は持ち込みが可能かを確認したか
–会場のパソコンを使う場合は プレゼンテーション用のデータに対応する アプリケーションがインストールされているかを確認したか
–当日使用する機器の接続 方法や操作方法を確実にマスターしているか

プレゼンテーションの実施

–本題に入る前に挨拶や自己紹介をし、予定時間や注意事項についての説明、配布物の確認をおこなったか
–余裕をもって会場に入りその場の雰囲気になれるようにしたか
–リラックスして本番に臨んだか
–聞き手の表情よく観察しながら話聞き手の反応に応じた適切な対処をしたか
–質疑応答では質問しやすい雰囲気を作るように工夫したか
–聞き手からの質問は復唱し質問の趣旨を確認したか
–質問されたことに焦点を当てて 的確な回答したか
–その場で回答できないような質問は後日回答することを約束したか
–どんな質問にも好意的に対応したか
–与えられた時間を 最大限に有効に使うように時間配分に注意しながらプレゼンテーションをすすめたか
–聞き手にプレゼンテーションを聞いてくれたことへのお礼を述べたか
–最後の聞き手が会場を退室するまでは出口の近くに立って見送り会場の後片付けなどはすべての聞き手が退室してからおこなったか
–あらかじめアンケートを用意し、プレゼンテーションの終了後に聞き手に記入してもらったか

フォロー

–プレゼンテーション終了後に反省会をおこない 自分自身で振り返るとともに 同席していた同僚や上司に意見や感想求めスキルアップにつとめているか
–聞き手から回収したアンケートは早急に集計したか
–アンケートの回答欄に質問があった聞き手に対してアプローチをおこなったか
–プレゼンテーションの当日欠席した人に対し 必要に応じてプレゼンテーションの場を別途設けたり 配布資料送付したりして 次のアプローチにつなげているか

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