「課長 島耕作のプレゼンテーション」と聞くと、興味が湧きませんか?マンガの中ではありますが、巨大企業初芝電器産業のトップまで上り詰めたデキるサラリーマンですから、さぞやプレゼンもうまいはず。
そんな興味を満たしてくれるのが、作者の弘兼先生が書いたこちらの本。
弘兼 憲史著、知識ゼロからの会議・プレゼンテーション入門
それこそ「課長 島耕作」のシーンを盛り込みながら、
- 会議
- プレゼンテーション
- ファシリテーション
- 根回し
などが解説されています。
構成面では、見開き2ページで1問1答の形で解説されていて、書名の通り「知識ゼロから」の人には一見取っつきやすい見え方になっています。
たとえば、
「プレゼンを任された時、まずすべきことは何ですか?」
という問いに対しては、
「プレゼンの目的をハッキリさせ、売り込むべきデータを収集しよう」
との解答が示され、具体的には、
Who? (誰に)
What? (何を)
Why? (何のために)
を明確にすることを薦めています(40p)。
ただ、個々の解説になると若干首を傾げたくなるものもあります。たとえば上記のプレゼンの目的をハッキリさせるパートでは、
目的がはっきりしたら、プレゼンテーションの内容を組み立てるために、情報収集を行う。といっても特別に考える必要はない。商品のパンフレットや企画書、市場のデータなど、身の回りにある材料から集めるのが効率的だ。
という説明をしていますが、さすがにこれは乱暴では…?目的を決めたら、ストーリーの構成を決めて、個々のスライドに落とし込む。そして、1枚ごとのスライド・メッセージの根拠としてファクトを集める、という段取りが一般的かと思われますので。
同様に、
「予想外の質問にはどう答えるべきでしょうか?」
という問いに対して、
「理解を深める質問にのみ答えて本質に関わらない質問は流してかまわない」
という回答は、本質的には間違っていないのですが、さすがに「知識ゼロ」の人に誤解を与えてしまわないかと懸念します。
一方で、「プレゼンテーションの評価はどこを見るべきですか?」に対しては、「反省点のみならず評価できる点も明らかにして、次回に活かすこと」というしごく真っ当なアドバイスとともに、「プレゼンテーション評価シート」が添付されているので役立つところかと思いました。
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