英語プレゼンは言語運用能力

英語の通訳の方々ってすごいですよね。英語の意味を瞬時に読み取って日本語に変えるというのは、よっぽど訓練をしなければ身につかない能力だと思います。ということは、逆に普段通訳がやっている訓練を真似すれば、英語のプレゼンテーションもうまくなるのでは?というのがテーマの本が石塚浩之先生の著書「ビジネスパーソンのための英語発信力強化演習 通訳訓練法でプレゼンテーションを成功させる」です。

基本的な問題意識としては、

(英語のプレゼンは)言語以外の要素の大部分は日本語のプレゼンテーションにも共通するものです。言語が英語に変わったからといって格別に意識することはありません。

というもの。これを念頭に、プレゼンテーションに必要な言語運用能力を

事前の準備に基づき、できごとや状況について筋道を立てて口頭で説明し、特定の主題について論理的な意見を述べる能力

と定義し、徹底的にトレーニングするための方法論が述べられています。

通訳の英語トレーニング法

具体的な方法論は、インプット、すなわち知識の習得に始まりアウトプットという方向で、下記のステップが提唱されています。

  • クイック・レスポンス
    • 知識チェック
    • リピーティング
    • クイック・レスポンス
  • シャドーイング
    • 素材確認
    • リスニング&音読
    • シンクロリーディング
    • 音にこだわるシャドーイング
    • 意味にこだわるシャドーイング
    • 録音&チェック
  • リプロダクション
    • 表現チェック
    • 忠実なリプロダクション
    • 自分流のリプロダクション
  • プレゼンテーション
    • 内容把握
    • 表現準備
    • プレゼンテーション

念のために補足すると、「クイック・レスポンス」は、英単語(英語表現)を聞いたらそれに対応する日本語を素早く言うというもので、これによって日本語と英語の対応付を強化できるとのこと。「シャドーイング」はダウンロードした英語の音声を聞きながら、それに少し遅れて全く同じセリフを言うというもの。「リプロダクション」は、先ほどのシャドーイングで学んだ基本表現を使って別の題材にトライするもの。音声を聞き終わってから自分で同じことを言うことになります。最後の「プレゼンテーション」は、スライドだけ掲載されているページを見ながら、自分なりのプレゼンテーションを構築しようというものです。

これだけ念入りにトレーニングすれば、プレゼンテーションの場でも落ち着いて堂々と話せそう。

数字を扱うプレゼンにも使える

というか、シャドーイングは一般的な英語の訓練として知られていると思いますが、それを「ここまでやるか!」というのが本書を読んでの一番の発見でした。音にこだわるシャドーイング、そして意味にこだわるシャドーイング、意味合いを変えてやればそれぞれ別の訓練になります。それはリプロダクションも同じで、忠実なリプロダクション、自分流のリプロダクションと進めば、最初は単なる「ものまね」から始まったものでも、自分のものとして身につきそうです。

さらに、本書のプレゼンテーションの題材が、簡単なものから難易度が高いものへと並んでいるところも親切だと感じました。最初は刺身の食べ方や味噌汁の作り方から始まりますが、最後の方は数字に関するものが出てきて、実際のビジネスの場でも使えそうです。著者曰く、

日本語と英語では数字の桁の数え方が異なるため、英語上級者であっても桁の大きな数字の取り扱いには苦労するものです。数字のトレーニングは通訳訓練でも定番のメニューの1つです。ビジネスのプレゼンテーションとなれば、数字の取り扱いは不可欠です。

とあり、これはなるほどと思いました。

ということで、英語のプレゼンテーションをする方はもちろん、ビジネスで英語を使う機会の多い方はぜひこの本で「トレーニング」を積んではいかがでしょうか。

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