追記:心理学的にはビッグファイブと呼ばれる性格特性が一般的には受け入れられています。ただ、本稿で紹介したEPPSも納得度が高いものです。
Zoomを使ったリモートワークでコミュニケーションをよくしたい…。そんなときに手にとりたいのが佐藤綾子先生の「オンラインでズバリ伝える力 」です。
Zoomで伝えるには顔の表情が大事
まずは顔の表情の重要性から。
パッと画面に現れた顔の表情がよいと相手への印象が格段に上がります。ところが、残念なことに、対面よりもオンラインの方が顔の表情が伝わりにくい。従ってどうするかと言えば、自分の顔の表情をカメラの中でより鮮明に写すように工夫しましょう。
とのこと。この根拠として、著者の佐藤綾子先生はご自身がされた実験結果を紹介しています。具体的には、学生さんに「どうぞ」、「どうも」、「ありがとう」という3つの単語を言ってもらいます。その際、よい声・悪い声、よい顔(表情)・悪い顔に分けていったもらったそうです。その動画を1,000人以上の人に見せて、言葉・声・顔の表情から、どの割合で伝わるかを計測したというものです。結果、
- 言葉:8%
- 声:32%
- 顔の表情:60%
だそうです。すなわち、好意が伝わるかどうかの過半以上は顔の表情で決まる、と。
ちなみにこれは、アメリカの心理学者のメラビアン先生の実験法を日本人向けにアレンジしたモノとのこと。メラビアン先生の実験では、もともとの単語は”well”、”please”、”thank you”だったとのことです。結果は、顔の表情が58%ですから、佐藤綾子先生の日本における追試とほぼ同じ結果が出ています。
アイコンタクトが強い人の背後にある心理
次はアイコンタクトです。これに関して著者の佐藤綾子先生は面白い実験をされていて、それが「アイコンタクトが強い人はどのような心理的な傾向があるか」というものです。結論としては、男女で違いがいあり、
- 男性でアイコンタクトが強い人は顕示欲求、変化欲求が強い
- 女性でアイコンタクトが強い人は養護欲求、異性愛欲求、顕示欲求が強い
とのことです。
実験のダンドリはこうなります。2者の対話場面という設定で、男女取り混ぜた学生100人に話してもらう。その上で、心理テストの1つであるEPSS性格テストを受験してもらい、書き15の性格傾向の強さを測定する。そして、アイコンタクトが強かった男性5人、女性5人の性格スコアの中で、他の人たちと異なっているものをピックアップする、と言う流れです。
- 達成欲求 Achievement : A need to accomplish tasks well
- 追従欲求 Deference: A need to conform to customs and defer to others
- 秩序欲求 Order: A need to plan well and be organized
- 顕示欲求 Exhibition: A need to be the center of attention in a group
- 自律欲求 Autonomy: A need to be free of responsibilities and obligations
- 親和欲求 Affiliation: A need to form strong friendships and attachments
- 他社認知欲求 Intraception: A need to analyze behaviors and feelings of others
- 救護欲求 Succorance: A need to receive support and attention from others
- 支配欲求 Dominance: A need to be a leader and influence others
- 内罰欲求 Degradation: A need to accept blame for problems and confess errors to others
- 養護欲求 Nurturance: A need to be of assistance to others
- 変化欲求 Change: A need to seek new experiences and avoid routine
- 持久欲求 Endurance: A need to follow through on tasks and complete assignments
- 異性愛欲求 Heterosexuality: A need to be associated with and attractive to members of the opposite sex
- 攻撃欲求 Aggression: A need to express one’s opinion and be critical of others
ちなみに、EPPSは、Edwards Personal Preference Scheduleの頭文字をとったもの。テストの考案者はアレン・L・エドワーズで、ヘンリー・A・マレーの考えに基づいているとのことです。
ただ、このアイコンタクトの話はどちらかというと「プレゼンを聞く側」にフォーカスを当てたものでしょう。プレゼンをする側にとっては、「私、顕示欲求が高くないからアイコンタクトはできない」ではダメ。Zoomプレゼンでは、カメラのレンズをのぞき込みながら「向こう側」にいる人を想像すべきでしょう。
心理学の実験にもとづいたZoomプレゼンの提言
なお、著者の佐藤綾子先生は、「安倍晋三プレゼンテーション 進化・成功の極意」などの著書もお持ちのパフォーマンス心理学の第一人者だそうです。上記のような心理学の実験結果に基づいた提言がされているのもそのせいですね。
他にも、話すスピードの基本は1分間に266語と言う提言もされています。これも、著者の佐藤綾子先生が1,000人のスピーチ実験でとった聞きやすい速度だそうです。ただ、これは対面の場なので、Zoomではこれの8割である213語がおすすめとのこと。
他にも様々な実験にもとづいた発見があるので、ご興味がある方?にとってはいかがでしょうか?
画像はアマゾンさんからお借りしました。
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