Zoomの連携サービスを紹介します。第91回はZoomとPhilPapers Foundation (フィルパイパーズファウンデーション)との連携です。なお、そもそも「Zoomの連携サービスって何?」という方は、第1回をご覧下さい。
ITとは関係なさげに見える哲学
「哲学」と聞くとどんなイメージが思い浮かぶでしょうか?何やら小難しいことを考える人?はたまた、マイケル・サンデル教授による「白熱教室」の1シーン?あるいは、「トロッコ問題」のような悩ましい状況?いずれにしても、コンピュータやIT技術とはつながらなさそうです。
ところが。実は哲学とITは相性がいいのだとか。というのは、哲学はそれこそアリストテレスの時代から2000年を超える年月に、様々な人が様々なことを提唱しています。それをITの力でデータベースにしたら、「真実」が見えてくるのではないかという説があります。これを実現したのがPhilPapersです。
哲学書のデータベースPhilPapers
まずは日本語のWikipediaでPhilPapersの説明を見てみましょう。
PhilPapers(ふぃるぺーぱーず)は、哲学者デイヴィッド・チャーマーズが管理する、哲学分野全般を対象とした文献データベース。2009年10月現在、オンライン文献・オフライン文献あわせて約180,000点の文献情報が収録されている。哲学分野の文献データベースとして世界最大。
とのこと。18万点の文献情報ですからね。哲学に関する本はほとんど網羅されているのではないでしょうか。
英語でのホームページを見てみましょう。
PhilPapers is a comprehensive index and bibliography of philosophy maintained by the community of philosophers.
PhilPapersは哲学に関する書誌の網羅的なデータベースです。哲学者のコミュニティによって運営されています。
とのこと。その分野は、
- Epistemology(認識学)
- Metaphysics(形而上学)
- Aesthetics(新美学)
など多岐にわたっています。
哲学者もZoomミーティングで問答する時代
では、ZoomとPhilpPapersの連携を見てみましょう。
PhilPeople Chat is the latest feature to PhilPeople; it is a tool to make it easier for philosophers to use Zoom to create and host conferences. It consists of a chat room where users can easily embed a Zoom meeting and invite other users to join the meeting.
PhilPeople ChatはPhilPeopleの最新機能です。これによって、哲学者はZoomを使って簡単に会議を主催することができます。基本はチャットルームですが、簡単にZoomミーティングを設定し、他の哲学者を招待することができます。
まず、PhilPeopleですが、これはPhilPapersの人バージョンです。つまり、世界中の哲学者を網羅したデータベース。これをプラットフォームとして、Zoomミーティングを簡単に作成できるというのがこの連携のメリットです。
考えてみれば、アリストテレスの時代から哲学は「対話」とセットになっていました。つまり、考えのことなる人とディスカッションすることで哲学の本質が明らかになるとの発想です。この哲学の方法論は「問答法」というキーワードでまとめられています。
このPhilPeopleに登録されているのは世界中の哲学者のわけですから、必然的に「問答」もオンラインで行われるのでしょう。ITの力によって問答が進み、そのおかげで哲学の研究が進むとしたら、実はITと哲学というのは相性がいいのかもしれません。
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