スピーチや講演からも、プレゼンテーションの学びがあるのではないか?

そんな風に思う方に手にとって欲しいのが、鴨頭嘉人先生のご著書、「今まで誰も教えてくれなかった人前で話す極意 〜年間330講演 プロの講演家が語るスピーチのコツ〜」です。

著者は講演のプロフェッショナル

まずは、著者の鴨頭先生のご経歴。19歳でマクドナルドにアルバイトとして入社されて、店長まで昇進。32歳の時に、マクドナルド3300店舗中、お客様満足度・従業員満足度・セールス伸び率全国1位を達成されたとの事。その後講演活動に転じて、現在は本の副題にもあるとおり、年間で330日、つまりは毎日のように講演されている方です。

ただ、面白いのは、「日本一最低な店長」だったという黒歴史もあるとか。青森県弘前市のマクドナルドで、前々お客様が来てくれず赤字続きだったのを大逆転したというストーリーもお持ちで、そこら辺が講演活動に転じた原動力なのかとも想像しました。

youtubeのプレゼン動画連動で理解が深まる

注目すべきは本書の仕立て。というのは、youtubeと連動していて、その章で解説されていることが、実際のyoutube動画で見ることができます。題材がスピーチなので、これはとてもわかりやすい構成だと思います。

たとえば、スピーチの原稿をどう用意するかを説明した第2章9節。そもそもが、スピーチを5分以内のショートスピーチと5分以上のロングスピーチに分けたうえで、ショートスピーチの場合はフル原稿を、ロングスピーチの場合はトリガー原稿を作ることを推奨されています。

そして、それを解説したのが下記の動画。

尺が3分ちょっとですから、今風に言うとマイクロラーニングで、ピンポイントで知りたいことだけ学ぶことができて便利です。

このような動画へのリンクが40個以上盛り込まれていますから、本よをんで動画を見る、動画を見て本を読み返す、と往復運動でスピーチ力が上がりそう。

聞き手に共感してもらうためには相手に思いをはせる

具体的なテクニックで面白いと感じたのが、聞き手に共感してもらう方法論です。大前提としては、聞き手に共感してもらうためには、相手の立場を考えた話をする必要があります。その際、聞き手がどんな人なのか、創造力を働かせるのが大切だとのこと。

人前で話す機会がある方は、聞き手の方の日常を想像する力を養う事によって、忘れられない珠玉のメッセージを届ける事ができるようになるのです。

というポイントは、なるほどと思わされました(144p)。

これを実践するために、鴨頭先生は自身が主催する話し方の学校の生徒さんに、

通勤電車の中で、目の前の乗客の日常生活を想像してみよう

と言う宿題を出されるのだとか。もちろん、実際のところは分かりません。しかし、服装、持ち物、動作、肌の色艶などから、その人の仕事や性格、悩みや喜びを想像するのです。

そのようなトレーニングを繰り返す事により、聞き手を想像する力が高まり、結果としてどのような聞き手からも、「これは私たちの話だ」と思ってもらえるのだとか。印象的なエピソードでは、鴨頭先生がタクシー業界に招かれて講演したとき。業界の事はご存じなくても、

タクシードライバーの人がいなかったら、今自分はどれだけ困っただろう?

と思いをはせる事で、

タクシードライバーの方は世の中の困っている人を、1年365日24時間探して探して助け続けているスーパーヒーローなんです

と言うメッセージにたどり着いたとの事です。

微妙に異なるプレゼンと講演

プレゼンと講演(スピーチ)は、同じ人前で話すと言っても目的が異なります。講演やスピーチの場合、話して聞き手に共感してもらい、満足してもらえばそれで成功でしょう。しかし、プレゼンの場合には、LeADER原則、すなわち

聞き手に期待した行動をとってもらう事

が目的です。ところが、これがピンときていなため、プレゼンで失敗する人があまりにも多すぎます。

自分が話したい事を話すのではなく、聞き手が聞きたい事を話してイエスを引き出すのがプレゼンです。そのためには、上記の聞き手に思いをはせるというのは、とても役立つと感じます。

ましてや、プレゼンの場合、講演とは違って聞き手はある程度絞られています。営業だったらアタック先の意志決定者、社内の会議だったら具体的に○○さんという名前まで分かるでしょう。

そのうえで、聞き手の方に思いをはせて、この人が今解決したいと思っている問題は何かを考えれば、それだけでプレゼンの成功につながるというものです。

画像はアマゾンさんからお借りしました