TEDなどをみると、欧米人はプレゼンテーションが本当に上手だな、と感じます。ところが、実際のところは「すべての」欧米人がプレゼン上手とは限らないそう。そんな前提を踏まえつつ、プレゼンテーション(もしくはパブリックスピーキング)のコツをまとめているのが、Scott Berkun先生のご著書、「パブリックスピーカーの告白 ―効果的な講演、プレゼンテーション、講義への心構えと話し方」です。

欧米人もプレゼンが「死ぬより怖い」 

内容も語り口もちょっとマニアックなので万人向けの本ではありません。ただ、出版社が「あの」オライリー・ジャパンと聞けば、思わずニヤリとするのではないでしょうか。そう、実はオライリー社はエンジニア向けの書籍をだくさん出している出版社。なので、本書もエンジニア向けと言うところもあるでしょう。実際、著者はもともとはマイクロソフトでエンジニアだったのですが、その後一念発起してプロの講演家になったとのこと。

では、冒頭にも紹介した、欧米人にとってもプレゼンは恐怖の的ということを改めて紹介しましょう。

たとえば、デビッド・ウォレチンクシィ氏による”The Book of Lists”という本によると、「人類最大の恐怖」が下記の順序とのこと。

  1. 人前で話す
  2. 高いところ
  3. 虫、虫、そして虫
  4. お金の問題
  5. 底なしの水
  6. 病気
  7. 飛ぶこと
  8. 孤独
  9. 車を運転すること、車に乗ること
  10. 暗闇
  11. エレベータ
  12. エスカレータ

死ぬよりも人前で話すことの方が順位が高いわけですから、まさにプレゼンは「死ぬより怖い」と言うことになります。

プレゼンでは確かな立場を示せ

では、この怖さを乗り越えてプレゼン上手になるには?著者は準備に関して、下記を提唱しています。 

  1. 講演のタイトルに対して確かな立場を示す
  2. 目の前の聴衆について注意深く考える
  3. 具体的な論点をできるだけ簡潔に表現する
  4. 知的な専門家の聴衆からのありえそうな反論を知っておく

この中から、一番目の「講演のタイトルに対して確かな立場を示す」をみてみましょう。そもそもとしては、

すべてのスピーチやプレゼンテーションには意見が含まれています。したがって、あなたはあなたの意見が何かを知る必要があります。(中略) 「これが私の好きな5つのことです」と言うだけでも、それは確かな立場を示しています。

ところが、日本人のプレゼンテーションでは、これが欠落していることがしばしばあります。「Aという意見もあります、もちろん、意見はBでもCでもいいのですが…」と、中立の立場のプレゼンはあり得ないことを著者は強調しているのでしょう。

プレゼンで聴衆を巻き込む方法

実際にプレゼンの場では、著者は聴衆を巻き込むことを提唱しています。具体的には、

  • 手を挙げてもらう
  • 簡単な質問をして、答を受講者に叫ばせる
  • 受講者が答えられる問題を出してみる

などの方法です。

さらにお得な情報として、参考文献もちょっと面白くて、役に立った順番で並んでいます。日本語に訳されているもので面白そうなものといえば、

  • ブレインルール
  • 達人のサイエンス

あたりでしょうか。

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