ファシリテーションって、実際の現場で「どうやるか」が分からないと使えないことがあります。そんな時に参考になる「ケース」が収録されている本がこちら。

名倉 広明著、実務入門 会議、ミーティングが驚くほどうまくいくファシリテーションの教科書

「ビジョン作りを目的としたファシリテーション」を題材に、本書で示されたファシリテーションのプロセスに沿って「どうやるか」が示されています。このパートを読むだけでも本書の価値はあるかと。

シーン1 論点の明確化
シーン2 巻き込み1論点に対する各人の意見確認
シーン3 巻き込み2成長の限界に対する各人の問題意識
シーン4 巻き込み3将来の事業コンセプトのイメージすりあわせ
シーン5 巻き込み4事業コンセプトに向けた課題抽出
シーン6 ぶつかり コンセプト実現に向けた体制案だし1
シーン7 意味づけ コンセプト実現に向けた体制案だし2
シーン8 軸だし コンセプト実現に向けた体制案だし2
シーン9 結び 全体のまとめと今後のアクション

ただ、これ、「ビジョン作り」ですから比較的大きいお題で、いわゆる組織開発をテーマにしています。結果として、ファシリテーターは中立であるべきというのが本書のスタンス。もう少し日常よりの、マネージャーとしてミーティングなどのコミュニケーションを効率的におこなうという題材もあると、さらにうれしいな、と思いました。

たとえば、「ファシリテーションが通常の会議と異なるのは、意志決定者とファシリテーターが別の存在である」と著者は書いていますが(46p)、日常業務においては現実的ではないと感じます。仮にマネージャーが意志決定者になるとして、部下に中立的なファシリテーターを任せるとするじゃないですか?ところが、その部下が「中立的」であることはあまり期待できませんよね。サラリーマンであれば、多かれ少なかれ、上司に顔色をうかがうところはありますから。あるいは、しばしばマネージャーが一番ファシリテーションのスキルが高いわけで、部下にファシリテーションを任せてもうまく行かず、「えぇい、もういい。オレが場を仕切る」と上司自身が乗り出さなければならないことも想像できます。

したがって、ファシリテーターと意志決定者を兼任する、「ファシリテーションスタイルのリーダーシップ」の方がむしろ現場に合うと思います。

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