Zoomの連携サービスを紹介します。第202回はZoomとKoya (コヤ)との連携です。なお、そもそも「Zoomの連携サービスって何?」という方は、第1回をご覧下さい。
野口悠紀雄先生の新刊リープフロッグ
「超整理法」で高名な野口悠紀雄先生の新刊をご存じでしょうか?「リープフロッグ 逆転勝ちの経済学」という書名です。リープフロッグは、その名の通り「蛙跳び」いわく、
後から来た者が、蛙の跳ぶがごとく先行者を追い越してしまう。それがリープフロッグだ。歴史を繙けば、大航海でヨーロッパが中国を凌駕し、イギリスがスペイン無敵艦隊を駆逐したように、大逆転の連続だった。
とのこと。ちなみに、中国でスマホやオンライン決済が進んでいるのもこのリープフロッグで説明できるそうです。固定電話が普及していなかったがゆえに、スマートフォンが一気に浸透したということですね。
これ、教育の分野でも起こるのではないでしょうか。理由はいくつかありますが、まずは「21世紀型スキル」に代表されるように、世の中で求められるスキルが変わりつつあるから。重要なのは、「知識」そのものではなく、それに基づいて思考すること。日本の従来型の教育のように「いい国つくろう鎌倉幕府」と年代を覚える必要は、21世紀においてはないという考え方です。だって、そんな知識は検索すれば簡単に手に入るわけですから。むしろ大事なのは、なぜその時代に武家政権が誕生したかを理解することであり、その理解に基づいて現代社会をより深く洞察することです。
教育の分野でリープフロッグが起こるのではないかというもう一つの理由が、学習方法の変化。スマホによって、パーソナライズされたマルチメディアコンテンツに触れるのが一気に簡単になりました。これもまた、クラスルームで先生の書いた板書をノートに写し取るという従来型の学習方法とは大きく異なります。加えてZoomをはじめとしたオンラインによる双方向教育も大きなインパクトがあります。コロナウィルスの影響というネガティブなところから始まりましたが、いまやオンラインで学ぶということは日常の一部になりつつあります。すなわち、学習目標でも学習方法でも変化が起こっているのが現代で、ここにリープフロッグの予感を感じるのです。
では、そのリープフロッグは世界のどの地域で起こるのか?という疑問への答が、今回紹介するZoom連携サービスKoyaです。
アフリカで起こる教育のリープフロッグ
Koyaはアフリカはナイジェリア発のラーニング・マネジメント・システム(LMS)です。それにしては、サイトの英語とかずいぶんこなれているなぁ…と思ったら、それもそのはず。実はナイジェリアの公用語は英語なのです。旧宗主国が英国であったためですね。もちろん部族語がありますが、それでもナイジェリアの人々は限りなく英語のネイティブに近いのでしょう。ちなみに、ナイジェリアにルーツを持つアーティスト、Tunde Baiyewuさんの英語が聞き取りやすいのも当然と言えるでしょう。
それはさておき、Koyaです。いわゆるLMSですが、強調しているのが「学習者自らが学習する」こと。それがウェブサイトのトップページに現れていて、
All the tools you need to educate (教育のために必要な全てのツール)
というキャッチフレーズが現れたと思ったら、最後の単語が消えて別の単語になります。
All the tools you need to learn (学習のために必要な全てのツール)
さらに、
All the tools you need to stay ahead (一歩抜きん出るために必要な全てのツール)
と変わります。
要するに、先生から生徒に教えるという一方通行の世界観から、学習者自らが学習するというモデルへの変換を示唆しているのではないかと読みました。そして、このようなアプローチは、リープフロッグ、つまり教育の効果を飛躍的に高めて、主要な先進国を飛び越える原動力になる可能性があります。
図書館で得た知識をZoomのディスカッションで深化する
Koyaの機能をさらに詳しく見てみましょう。
- Content Access & Sharing
- Knowledge Assessment
- Social Learning
- Collaborative Environment
- Offline Capabilities
- Virtual Library
などが提供されています。
この中からVirtual Libraryを見てみましょう。
Access to integrated academic libraries and world class resources to boost research and career skill development early on.
学習用の図書館と世界規模のリソースにアクセスできます。これによって、リサーチやキャリアスキルの早期の開発が可能になります。
と、図書館のリープフロッグを感じました。従来型の図書館は蔵書に限界がありますから、そこに行って読める人、かり出せる人しか読むことが出来ません。しかし、オンラインの図書館であれば、たとえどれだけ離れていても本の内容にアクセスできるわけです。
もちろん、そこにはZoomが介在するはずです。単に図書館の本を読むだけでは、知識を獲得するという観点で従来型の教育と変わりません。それだけでなく、知識にもとづいた議論をzoomミーティングで行うことで、ほんとうの意味での新しい教育が進むのでしょう。
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