Zoomの連携サービスを紹介します。第151回はZoomとPearson English Portal (ピアソン・イングリッシュ・ポータル)との連携です。なお、そもそも「Zoomの連携サービスって何?」という方は、第1回をご覧下さい。
大きな曲がり角を迎える出版業界
出版業界が大きな変化を迎えています。インターネットの普及で本が売れない時代、単に「紙に書かれたものを発行する」以外の付加価値を模索しているからです。背景にある、紙の本離れはいうまでもないでしょう。たとえば美容室。髪を切ってもらっている間、雑誌を手にするというのは当たり前の光景でした。それがいまではタブレットに置き換わっています。と言うことは、それだけ雑誌が売れなくなっているということ。
データで見ても、1997年ぐらいが出版業界の市場規模の最高で、2兆6千億円程度と言われています。しかし、そこから着実に規模は小さくなっています(例外的に、2019年は市場規模が増えたというデータもあります)。2020年は1兆5千億円程度と半分まではいきませんが、大幅減。…と聞くと、「いやいや、2020年は『鬼滅の刃』が大ブームになったよね?少しは盛り返したのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、上記の規模縮小の流れはコミックでも同じ。1997年には5,800憶円程度あった規模は2017年では2,800憶円とほぼ半減。厳しい状況が続いています。
これに対応するために、欧米の出版社は新たな方向を模索しています。たとえば、今回のZoom連携アプリを提供しているPeason社は、老舗の学習分野の出版社。欧米の学校で使われる教科書を多数出版しています。この延長線上で、教科書の内容を確認するためのオンラインテスト、あるいは教科社の内容を暗記するための電子単語帳(Flashcard)なども提供して、「学習を支援するコンテンツ業」に生まれ変わろうとしています。
その一環が、Peason English Portalです。
Peason社の持つ膨大な英語学習コンテンツを活かす
では、ウェブサイトを見てみましょう。
The Pearson English Portal gives access in one place to the English teaching and learning tools and resources that accompany our courses.
Peason English Portaは、私たちのコースに関連する英語の授業と学習ツールや様々なリソースを一カ所で利用できる場です
とのこと。具体的には、
- New Test Generator (ウェブテスト自動生成)
- Student’s Interactive eBooks (インタラクティブeブック)
- Online Practice and Gradebook (オンライン練習帳と通知表)
などが提供されています。
Peason社の持つ膨大な英語学習コンテンツをオンライン化、そしてテストやインタラクティブブックなどの別メディア化するというのは、学習者にとってもありがたいものです。
Zoom連携でオンライン授業を効率化できるだが…
では、ZoomとPeason English Portanの連携を見てみましょう。
When Pearson English Portal and Zoom are connected you can manage all your class events in PEP calendar. When you are using a Pearson Product on PEP, the calendar will be synchronized with all your classes and manage the notifications for you and your students so they will not miss any of the classes.
Zoomの連携で、Peason Egnlish Portal上でオンラインクラスを管理できます。Peasonのプロダクトを使うようにスケジュールすると、自動的に生徒に通知がいき、生徒が見逃すことがないようにできます。
英語学習という観点では、スカイプによる授業はすっかり根付き、ウェブとの相性の良さが証明されています。上述のPeason社の持つ膨大な英語コンテンツと、オンライン授業が組み合わさると、強力なコンテンツになりそうです。
ただ、スカイプによる英語授業は価格競争が厳しいビジネスです。当連載「第15回 Zoomと語学学校プラットフォームLangLionを連携」でも紹介したとおり、国内最安値のDMM英会話では、1レッスン30分が100円や200円ぐらいの価格になっています。Peasonをはじめとした欧米出版社は、どちらかという戦い商材を販売してきた経緯がありますから、このマーケットで戦うのは厳しいでしょう。だとしたら、Peason社には、さらに自社のコンテンツを活かす「次の一手」が求められている気もします。
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