IT系入門書をたくさん執筆されている武井一巳先生によるZoomの解説書が「はじめてのZoom: Webミーティングのための」です。類書にはない解説に絞って、書評をお届けします。
Chromebookでも使えるZoom
本書の特徴のひとつがChromebookでのZoom利用が解説されているところです。Chromebook (クロームブック)は、米Googleが提供しているパソコン(のようなもの)で、著者の武井先生によると
Chromebookというのは、Googleが中心となって開発しているGoogleChromeOSを搭載したパソコンで、欧米では教育向けに多くの学校でも導入されています。Chromebookは廉価なものも多く、子どもたちがパソコンの入門用に利用するのには最適ともいえるからです。
とのこと。このChromebook上でもZoomは使えるとのことですが、本書では下記二つの制限が指摘されています。
- メニューが英語のみで日本語がない
- バーチャル背景が使えない
とはいえ、どちらも致命的な問題ではないので、Chromebook上のZoomは十分に選択肢に入ってくるのではないでしょうか。
ただ、googleは「google meet」という名前でビデオ会議システムにも力を入れており、いつまでもZoomのサポートが続くわけではない気がします。
Zoomの字幕機能を解説
本書の特徴のもう一つは、Zoomの字幕機能が詳しく解説されているところです。まず、字幕が使えるようになるための設定ですが、
字幕機能を利用するためには、ZoomのWebサイトにアクセスしてサインインし、「マイアカウント」ページの「設定」ページを表示させます。このページには、上部に「ミーティング」「記録」「電話」の3つの項目が並んでいますが、このうち「ミーティング」をクリック。さらにページの下のほうに「字幕機能」という項目がありますから、このスイッチをクリックして有効にします。
とのこと。さらに、実際には誰が字幕を入力するのかという点では、
- 参加者をタイプに割り当てる
- 私が入力します
- APIトークンをコピー
という三つの選択肢が示されています。その上で、
翻訳以外に、参加者全員にお知らせしたいときなど、工夫次第でさまざまな活用法があるでしょう。チャット機能よりもよりも手軽ですから、自分なりの活用法を見つけてみてください。
という提言がされています。
たしかに、Zoomのチャットは、資料共有画面やギャラリービューと違う画面にあるので、使うのに若干煩雑なところがあります。あるいみZoomのブレークアウトセッションの「ブロードキャスト」機能的に、全ての参加者に一度に伝えるという観点で使ってみるのは面白いかもしれません。
ちなみに、上記の中の「APIトークンをコピー」というのは、
サードパーティーが行っている字幕サービスを利用するとき、このボタンをクリックしてAPIトークンをコピーして利用できます。
ということで、米Zoom社以外が提供している、自動音声字幕化ソフトとの連携をさします。ここは、IT分野にお詳しい著者の武井先生に、さらに解説いただきたかったところです。たとえば、どの会社の字幕サービスがうまくいくのか、などですね。
というのはZoomの字幕機能はもともとはアクセシビリティ(accessibility)、つまり聴覚障害の方などへのサポートを意図しているものだからです。ソフトを使って自動的にZoomセミナーの内容が文字になるとしたら、聴覚障害の方にとってはきわめて役立つのではないでしょうか。
なお、これに関しては、UDトークさんが先端的な取り組みをされている印象があるので、サイトを見ると参考になるかもしれません。
Zoom設定画面の「統計情報」の使い方
本書のもう一つの特徴として、Zoomの設定に関する説明が詳しいことが挙げられます。たとえば、「統計情報」。Zoomアプリの歯車マークをクリックして設定情報を表示させると、左メニューの下から4つ目に出てくるものです。「これ、何のためにあるのかなぁ」と不思議に思っていたのですが、本書を読んで納得しました。
普通にZoomを利用しているときは、とくに気にする必要はありませんが、何らかの原因でパソコンが乗っ取られていたり、Zoomのアカウントが不正に使用されていたりすると、これらの統計情報も異常な数値になっていることがあります。気になるときは、この統計情報画面を確認してみるといいでしょう。
ということだったのですね。そうすると、この「統計情報」の画面下の方に「問題を見つけましたか?報告を送信」というリンクがあるのも納得です。万が一怪しい動きがあったら、そのまま米Zoom社に報告するという流れなのでしょう。
この「統計情報」をはじめとして、「Part.5 機種別Zoomアプリの設定」というところは、Zoom主催者になる人は一度は目を通して置いてもいいのではないかと思います。
画像はアマゾンさんからお借りしました。
前ページ 第5回 岩男秀一著サルでもわかる「LINE@とZoom」で一気に売上が伸びる13の鍵: そして時代はLINE@ビジネス3.0へを読む |
次ページ 第7回 南川晴紀 著東京大学院卒 南川晴紀の【誰でも簡単!ZOOM教科書】を読む |
|
---|---|---|
Zoom入門編のページに戻る |