セミナー講師ならば、「人がどのようにモノゴトに上達するか」を知っておく必要があるのは当然でしょう。
単に人前で話すだけでなく、何かを伝えて、それが相手の身になって行動が変わっていく、それが講師のあるべき姿だからです。
そんな時に参考になるのがこちらの本。
岡本 浩一著、上達の法則―効率のよい努力を科学する
セミナー講師に限らず、あらゆるモノゴトに上達するためのコツを科学的(認知心理学、教育心理学)に分析した本です。
すなわち、モノゴトの上級者を、「その分野に対して揺るぎない判断のしくみを構築した人」とみて、その「判断のしくみ」(著者は「スキーマ」という用語で説明している)を構築するための効率的な方法を提言しています。
なので、努力をはじめる前に、まずは本書を読むことをオススメしたいですね。少しづつでも「結果につながる努力」をしたいじゃないですか、やっぱり。
以下、ポイントを。
上達した人はどこが違うのか
- 持続力、集中力が高まる
- 上級者の方が退屈しにくい
- 上級者の方が疲労しにくい
- 自我関与が高く、価値観を持っている
- 特異な才能が光る
- 上級者は「ながら」ができる
- 上級者は移調作業が出来る
- 復元仮定作業が出来る
- 技能のコツをメタファで表現できる
- 「暗算」ができる
- 全体的な概算や急所の把握が正確である
- 異質な次元同士の換算式を持っている
- 直接役に立たないような知識まで持っている
- 一見無関係なことからヒントを得る
- イメージやこだわりが鮮明になる
- 上級者の方が細部へのこだわりがある
- 自分なりの「美観」を持っている
- イメージが発生する
- 勘が働く
- 上級者は鑑賞のツボをはずさない
- 負けや失敗をいやがり強くくやしがる
- 他者を見る目が変わる
- 他者の技能を見るのを楽しむ
- 細かな手がかりから他者評価ができる
- 他者の評価が早くでき、評価が明瞭である
- 上級者の他者への評価は安定している
- 他者への評価をすぐに表に出さない
- 間接的な手がかりによる技能判定が安定している
- 他者の観察態度を見て、その人の技量を推測できる
- 他者の個性に敏感で、模倣もできる
- 自分を正確に認識できる
- 上級者はクセが少ない
- 欠点も含めて自分の個性を認識している
- 練習方法が工夫できる
- 中級者や初級者からも学ぶことができる
- 上位者に敬意を持っている
- 人格的な安定感がある
上達の方法論-中級者から上級者になるためのステップアップ
- 鳥瞰的認知を高める
- 得意なものにこだわるメリット
- ノートを取る
- 概論書を読む
- 理論的思考を身につける
- 理論書を読む
- 未熟だからこそ理論が必要→少ない練習量・経験量を血肉にするためには自分の練習・経験、他者の練習・経験を深く理解することが必要
- 理論書を読んで弁別力を高める→細かい差異を理解することによって正確な認識方法、思考方法を身につけることができる
- 精密に学ぶ
- ひとつのものを深める
- 対象を変えて精密練習を繰り返す
- 精密練習で要求水準が高まる
- 深い模倣や暗唱をする
- イメージ能力を高める
- イメージ能力を大きくするトレーニング
- 他者を見て感情移入する
- 良い作品を見る
- 達人の技に学ぶ
- 達人のスキーマに触れる
- 達人と直接会う、話す
- 達人のエラーに学ぶ
- 広域コードと知識を拡大する
- 他者の個性を記述してみる
- 広域的知識を獲得する
- 類似の他のスクールや技能について関心を持つ
- 歴史的経緯を知る
- 辞書を買う
上達を極める10のステップ
- 反復練習をする
- 評論を読む
- 感情移入をする
- 大量の暗記暗唱をしてみる
- マラソン的な鍛錬をする
- 少し高い買い物をする
- 独自の訓練方法を考える
- 特殊な訓練法を着想するプロセス
- 独自の訓練から基本訓練に立ち返る
- なにもしない時期を活かす
画像はアマゾンさんからお借りしました。
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