英語プレゼンテーションの「鬼門」、質疑応答
英語でのプレゼンは大変なものですが、その中でも「鬼門」とでも言うべきタフなパートが質疑応答。
質問した相手の意図をくみ取って的確に返すのは、日本語でも大変なところがありますが、英語ならばなおさら。時にはプレゼンテーションの内容に関係ない質問も出たりして、ハードルは高いものです。
そんなときにお勧めなのが、英語の議論によく使う表現です。著者の崎村耕二先生は、本書の他にも
などの著書がある、この分野の第一人者。問題意識としても、
- 海外滞在中や旅行中に、何らかの不都合が起きた場合
- 外国企業や実業家との商業的交渉
- 英米の大学へ留学する場合
- 国際会議に参加する場合
- 外国との外交的交渉
など、タフな状況を想定されていますので、質疑応答とはいえ相手に言い返さなければいけない、微妙に自分の判断のイエスノーを保留したい、なんてときに使える表現満載です。
プレゼンで「闘う」英語をものにする
一口にプレゼンテーションと言っても「説得型」の場合、時には聞き手と議論をすることもあります。その際には、相手の誤りを指摘したり、相手を非難したり、時には論破する必要もあります。ただ、日本人は、ここら辺の「闘う」ための英語をあまり知らないんですよね。たとえば、「それは今話していることとは別問題です」というのを英語で言うと、どうなるでしょうか?
That’s another matter
なんてのが思い浮かぶ人もいるかもしれませんが、本書では他にも、
That’s not the question (problem)
That’s not the point
It’s not a question (a matter) of …
… has nothing (littele) to do with …
… is irrelevant to …
That’s a competely different matter (question)
The question is no wheter …
That shouldn’t be a problem
… is not important here.
… is irreevant here.
などが紹介されています(87p)。
プレゼンのあらゆるシチュエーションを網羅
しかも本書の素晴らしいところは、それぞれの表現の「用例」と言っていますが、どのようなシチュエーションで使うかの解説もされているところ。たとえば、上記の2番目、”That’s not the point”を取り上げたのが下記のダイアローグになります。ある会社の人材配置を巡ってのやりとりです。
A: I think he is suitable for the post. (彼はその地位にふさわしいと思います)
B: But he is too young. (しかし彼は若すぎます)
A: That’s not the point. (それは問題になりません)
ここまで具体的に示されると、自分のプレゼンでも使えるのではないでしょうか。そして、このような論点のずれを指摘する以外にも、
相手が誤っている旨を言う
誤っている点を特定する
議論の弱点を言う
脱線・論点回避を指摘する
論拠の不確かさを指摘する
無理な解釈を指摘する
繰り返しを指摘する
発言内容の不合理性を指摘する
誇張を指摘する
相手の言動の矛盾を指摘する
証拠不十分を指摘する
論理的帰結の間違いを指摘する
説明不十分をつく
過度の一般化を指摘する
提案の無効性を指摘する
不適切・不便さを指摘する
データの間違いを指摘する
資料に疑いを差し挟む
違反を指摘する
などの表現が満載です。なお、上記は第3章「誤りを指摘するための表現」ですが、当然、「酸性を示すための表現」(第1章)、意見を表明するための表現(第6章)、「理解と誤解に関する表現」(第10章)もありますから、ありとあらゆるプレゼンテーションの状況で使えます。
英語でプレゼンを行う方はもちろん、英語でビジネスをするは知っておいて損することは絶対ない、お勧めです。
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