英語プレゼンであいまいさを排除する

英語のプレゼンテーションに関しては、ネイティブがうまいに決まっています。そのネイティブ・スピーカーがノンネイティブへのアドバイスをまとめたのがAdrian Wallwork先生のご著書「実践で役立つ! ! 英語プレゼンテクニック」です。ちなみに原題は”English for Presentation at International Conferences”で、直訳すると「国際的な会議でプレゼンするための英語」とでもなるでしょうか。その名の通り、「国際会議で研究結果を発表したいと思っているすべての人を念頭に置いています」ということで、アカデミックな世界のプレゼンテーションに寄った内容になっています。

このアカデミックさが出ているのが、「抽象名詞は避ける」というパート(20p)。曰く、

situation(状況)、activities(活動)、operations(操作)、parameters(パラメータ)、issues(問題)というような抽象名詞は具体名詞よりもイメージを浮かべにくく頭に残りにくいものです。そのような名詞は削ってもかまわないことが多いものです。

と。

同様に、「曖昧な数量や具体性のない形容詞は避ける」も提唱されていて、

some(いくつかの)、a certain quantity(いくらかの)、a good number of (かなりの)などのあいまいな数量は使わずに、はっきりした数字にします

と述べられています。たとえば、

I am going to give you a few examples (2, 3例挙げてみましょう)

は、

three esamples (3例)

となるべきだと言うことです。

プレゼンの聞き手に自分の英語に慣れてもらう

上述の例は、要するに誤解を避ける表現をすると言うことになるかと思いますが、これは発音面にも及びます。「聴衆があなたの発音癖に慣れるのを助ける」というパートでは(37p)、プレゼンテーションの冒頭に「概要スライド」を示し、そこで重要な専門用語を紹介するという手法が提案されています。これは、

    • キーワードをあなたが言うのを聞き、また見て、あなたの発音とスライドの言葉を結びつけることができる
    • 大事な情報を逃すことなくあなたの声に慣れる(あなたはただ、なぜこのテーマに関心を持ったのかを話しただけである)

という効果をもたらします。

これは確かに大事だと思いました。たとえば、日本人がインド人の英語を聞くなど、ノンネイティブスピーカー同士の話では、アクセントによって相手の話していることがサッパリ分からないということはあるもので、それを避けるには有効な手法だと思いました。

他人のプレゼンから学ぶ

さらに本書では、他人のスライドを分析し、そのよいところをまねることが進められています。そのためのチェックポイントが「プレゼンテーション評価シート」に下記の通りまとめられています(48p)。

  1. タイトルは興味を引くか?一部の聴衆向きかそれとも広範囲の聴衆向きか?
  2. タイトルスライドにはどのくらいの情報が盛り込まれているか?タイトルと発表者の名前が最も目立つか?
  3. スライドのタイプ(文章、写真、図表)は多様か?それとも箇条書きのスライドばかりか?
  4. 一枚のスライド中の文章は短くて明瞭か?あるいは詰め込んでいるか?
  5. フォントははっきりしているか?フォントやサイズの種類が多すぎないか?
  6. スライドの中にはなにかの文章をカット&ペーストしたように見えるものがないか?
  7. 図や写真ははっきりしているか?
  8. 統計が使われているか?それがどのように役立っているか?
  9. スライドを見たときに話の流れに沿っているように感じるか?それともそれぞれがバラバラか?
  10. 結論はあるか?結論は明瞭か?
  11. 最後のスライドには何が載っているか?それは効果的ないしは独創的か?
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