日本能率協会と言えば、マネジメントを教えてくれるところとして有名ですが、その社内講師の養成法を明らかにしてくれているのが「
社内インストラクター入門」です。
本書のメリットとデメリット
本書のメリットは、なんと言ってもその網羅性の高さにあります。すなわち、研修講師として必要な要素、たとえばそれは話し方や「場」づくりなどの、ファシリテーション的なものから、ツールの使い方や会場の準備と言うオペレーション的なもの、さらには効果測定までモレなく解説されているので、全体を概観するのに適しています。
たとえば、講師の役割も、「単に研修をデリバリする人」だけでなく、
- 会社や職場を代表して参加者に接する
- 会社の考え方、方針を参加者に伝える
- 職場のニーズにマッチした教育を展開する
- 会社の雰囲気を参加者に伝える
- 自分の経験を直接参加者に伝える
- 態度、振る舞いが参加者の手本となる
- 参加者の身近な相談相手である
と、様々な側面から触れられています。
一方で、これは弱点にもつながって、1冊(240ページ)で全体を解説しているので、一つ一つの要素の掘り下げが浅くなってしまっていること。したがって、本書で外観を押さえた後は、それぞれの要素について別の本を読むというのが良いかと思います。
緊張をとくためのアンカリング
一つ参考になったトピックを上げるとすれば、「緊張をとくためのアンカリング」というパート。講師といえども人の子で、緊張してしまうこともありますが、それをどうやってほぐせば良いかが事細かに解説されています。
おそらうは、NLPの技法なので「合う人、合わない人」が出てきそうですが、緊張してしまうという人は試す価値ありだと思います。
- 静かにリラックスできる場所を選ぶ
- やる気に満ちて、自信にあふれる、とてもリソースフルな出来事を思い出す
- 深呼吸する。やる気に満ちて、自信にあふれるリソースフルな体験を、あた
かもいま実際体験しているかのように想像してみる - もっとも感情を感じるピーク直前になった時に自分で「ポーズ」を決めてセ
ルフアンカリングをする - プレークステート(中段)。深呼吸、伸びをするなど体を動かし、リソースフ
ルな状態から気分を切り換えて、普段の意識状態に戻す - 3と同じことをする
- 先ほど決めた「ポーズ」をして、アンカーを発火させてみる
- 「ポーズ」するだけで、アンカリングが発揮されるか、試してみる。ポーズ
をとるだけでアンカリングが発揮されるまで繰り返す
セミナー講師にとって役に立つポイント
- 研修の進め方
- インストラクターの自己紹介で、どのように呼ばれたいかを明示する
- 参加者の名前を覚える
- 参加者の状況を推測する
- 研修の3種の神器
- 教育研修コース設計仕様書
- 教育研修コースマップ
- 教育研修構成表
- 教育効果測定の4レベルアプローチ
- リアクション
- ラーニング
- ビヘイビア
- リザルト
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