Zoomの連携サービスを紹介します。第105回はZoomとSignD (サインド)との連携です。なお、そもそも「Zoomの連携サービスって何?」という方は、第1回をご覧下さい

行政改革のシンボル、ハンコ廃止

菅内閣に任命された河野太郎行政改革・国家公務員制度担当大臣による行革は、「ハンコ廃止」から始まりました。

どうしてもはんこを残さなければならないような手続きがあれば、9月中にお届けをいただき、それ以外のものについては、速やかに廃止をすることにしたい

との宣言の下、霞ヶ関の全省庁に通達が送られたそうです。しかも、「河野大臣指示につき、厳守のこと」との但し書きがついているとのことで、これはお役人も無視できないでしょう。

もちろん本題は行政の無駄を排除することにあります。ハンコ廃止はシンボリックなもので、手始めとしては効果的に見えたのですが…。実はここに来てさっそく反旗が翻りました。その担い手はハンコの産地の山梨県の事業者さん。なんでも山梨県は全国の60%のハンコを算出する「ハンコ王国」とのこと。もともとは、県内で算出する水晶などの鉱石を削るところから始まったそうです。本当にハンコが削除されてしまったら、この産業が大ダメージを受けることは想像に難くありません。河野大臣にかみつくチャンスを虎視眈々と狙っていたのでしょう、大臣のツイッターでの投稿に異議を申し立て、自民党の大物、二階幹事長のところまで注進に上がったという図式です。

ここでもやはりハンコはシンボリックなもので、デジタル化を進めることで無駄を排除し、日本経済を作り直すという政権側の意気込みと、既存の産業を守りたいという勢力の争いの序幕に見えます。似たような話としては、菅総理大臣と学術会議も同じような構図で捉えることができて、こちらも要注目です。ただ、一方的に改革派=善、守旧派=悪、という図式でないので、気をつけてみなければなりませんが。たとえば学術会議の議論にしても、菅総理大臣の国会答弁は納得いく答えになっていません。仮に学術会議に問題があるとしても、菅内閣の説明責任を果たさないという姿勢は将来に大きな禍根を残す気がします。

前置きが長くなりましたが、今回紹介するのはハンコ削除に伴ってこれから伸びるであろうサービス、電子署名のSignDです。

電子サインプラットフォームSignD

World’s first affordable Signing as a Service for businesses to get all paper work filled and signed electronically.

世界初のビジネス向け「Signing as a Service」企業。お手頃価格でフォームを埋めるのとサインをするのをデジタル化します

とのこと。具体的には、

Send documents to multiple people for signature in a serial or parallel sequence – or in person.

複数人で署名をするとき、順番にも、同時並行でも進められます

とあります。たとえば紙で契約書を交わすときには、2通の契約書を用意して一方が2通ともにハンコをついてから郵送、他方がハンコをついて1通を返送、とかなりの手間がかかります。実際は、契約内容がそれで間違いないかを確認するときの前準備もあります。まずはワードファイルなどの電子的な媒体で契約内容を確認。変更して欲しい条項があったら相手に連絡、その条項がこちらの希望通りに変わっているか確認という流れになりますから、ハンコを押す以上の手間が必要になります。

しかも、最終的な契約書は紙で来るので、ワードファイルなどで確認した内容が間違いなく紙に反映されているかをチェックする必要があり気を遣います。これが、すべてデジタルで完結するのであれば、単に物理的なハンコが電子的なハンコに置き換わった以上の効率化が見込めそうです。

Zoom調印式で意志決定のスピードアップ

では、ZoomとSignDの連携を見てみましょう。

Some of the features we boast are immutable video conference collaboration with in-person web conference signing using Zoom Web Conference

私たちの提供するサービスの中の1つは、Zoomミーティング中のウェブ調印式です。

本当に重要な契約、たとえば国と国との条約締結の際には、それぞれの関係者が出てきてその場でサインをする調印式が行われます。それと似たような機能がオンライン上でできるのがこのサービスなのでしょう。そうすると、上記の郵送による煩雑さがなくなります。つまり、Zoomミーティングをしながら契約書の条項を変更する。そのミーティングに参加している人が確認した上で、その場でサインする、そんなことが可能になるのでしょう。

これは便利で効率的…と思いつつ、意志決定にスピード感が必要とされるのは、ちょっと厳しいかもしれません。たとえば日本企業によくある、「一度社に戻って検討してからお答えします」というスタイルは、ますますやりにくくなりそうです。

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