セミナー講師が直面する問題児

セミナー講師をやっていると「困った受講者」に出会うことがありますが、先日はひどいのに遭遇しました。

こちらが話している内容にはぜんぜん興味なさそうにネイルばっかり見ているのに(女性です)、休み時間は同期の女性とやたら盛り上がる。講義を再開すると、また「シラ~ッ」とした顔をしていて、受講者ウンヌンと言う前に、人として間違っているんじゃないかと思ってしまいました。

そんな「問題児」に、講師としてどう対処したらいいかを教えてくれるのが真田茂人先生の著書、「大手企業から引っ張りだこの超人気講師が教える 研修講師養成講座」です。真田先生いわく、

その人ばかりを気にしすぎない

のがお勧めだとか(138p)。

え?そうなの?と思うかもしれませんが、その理由を聞けば納得。

その人ばかりに関心が向くと、自分のペースを乱してしまうからです。そのせいで残りの受講者に向けたファシリテーションのクオリティが下がったのでは本末転倒です。

たしかに、クラスに受講者が30人いるとして、たった1人の問題児のために他の29人の学びが少なくなっては意味がないですからね。

問題児はコミュニケーションスタイルが違うと割り切る

では、どうやったらその人を「気にしない」ようにできでしょうか?

だって、そうじゃないですか。「その人を気にしない」と思っている時点で気にしてしまっているわけで、発想を切り替えないといつまでも心の中にしこりが残りそうです。先日は国分先生もfacebookでアップされていましたが、腕組みしてしかめっ面の受講者がいると、「気にしない」と思っても気になってしまいます

そんな時に個人的にお勧めなのは、「コミュニケーションスタイルが違うんだ」という割り切り方です。いや、実際あるんですよ。腕組みしてしかめっ面をして講義を聴いていた人が、実は単に真剣に取り組んでいただけだったと言うことが。だとしたら、冒頭で紹介した女性も、ネイルばっかり見ているふりして実は頭の中でこちらの話を消化していた、休み時間に同期の女性と盛り上がるふりして話ながら頭の中を整理していた、と言う考え方も成り立つわけです。

もちろん、本当にどうかは別。ただ、そのように思うことによって、問題児受講者に過度に意識をしてしまうのを避けられると言うことです。

問題児にはクラスで対処する

一方で、「大手企業から引っ張りだこの超人気講師が教える 研修講師養成講座」著者の真田先生は、別のアプローチで対処する方法を紹介してくれています。それが、

  1. クラスの力を活用する
  2. 受講者のレベルに合わせる

というもの。「クラスの力を活用する」というのは、具体的には受講者の席の配置を工夫すること。企業研修でも、島型のテーブル配置にしてグループで着席するというケースも多いものです。そのようなとき問題児が複数名同じグループになることを避けることにより、多少なりとも問題を回避できます。真田先生の言葉では、

「講師 vs 問題児」という個別での対応ではなく、クラス全体の力を活用することを考えましょう。クラスのメンバー同士の関わりの中で問題児によい影響を与えていくのです。

となります。

とはいえ、研修やセミナーの一番最初に座る席は、講師でコントロールできないときもありますよね。そんな時、真田先生がお勧めするのが席替え。それも、機械的に分けるのではなく、意図的に「この人とこの人を同じグループにしないように席替えしよう」と考えながらやる方法が本書83pに紹介されているので、ご興味がある方はチェックしてみてください。

セミナー講師は受講者のレベルに合わせた対応をする

さて、真田先生お勧めの問題児対処法の次は「受講者のレベルに合わせる」というもの。これは、実務においては優秀な人が問題児なるケースに使えるとのこと。つまり、そういう人は自分が優秀ゆえに、「こんな研修、付き合ってらんねーよ」となめてかかっているわけですね。そうすると、仮にその人から発言があった場合も要注意。通常であれば「すごいですね」、「素晴らしい」という肯定的なフィードバックは正しいのですが、逆効果で「バカにしてんのか」と受け取られることもあるそうです。なので、受講者のレベルに合わせた対応が必要。

ただ、これも落とし穴があると個人的には思います。というのは、なまじ優秀な受講者に対してレベルに合わせた対応をすると、話の内容が難しすぎて他の受講者がヒイてしまうから。なので、仮に質問があったり発言があったりしたらレベルに合わせて対応するものの、「ただ、これは次のステップで学べばいいことなので、今日はこれ以上は話しません」というフォローアップで本題に戻る方がベターです。

以上、主に問題のある受講者の対応という観点で紹介しましたが、本書は他にも講師として役立つ情報が盛り込まれています。講師を目指す方はもちろん、講師を「使う」もしくは講師を「選ぶ」立場の人も目を通して損はないと思います。

目次

  1. 研修講師のスキルとは
  2. 講師の役割
  3. 事前準備
  4. 環境設定
  5. 導入
  6. 場づくり
  7. 講師が身につけるべき基礎的テクニック
  8. 論理的納得を実現する
  9. 心理的納得を実現する
  10. 研修ファシリテーションのスキル
  11. 講師トレーニングの方法
  12. 自分でプログラムを創る
  13. 継続学習
  14. プロ講師のすすめ
  15. 講師が研鑽すべきこと
  16. 先輩プロ講師に聞く


画像はアマゾンさんからお借りしました。