こんにちは。シンメトリー・ジャパン代表の木田知廣です。
私は米マサチューセッツ大学で教鞭を執っているせいもあり、実務家教員の導入には大賛成です。
とはいえ、実務家教員として採用した人が、「教え上手」とは限りません。
ある分野の知見があるにしても、それを「分かりやすく」、「面白く」伝えるためには特殊なスキルが必要だからです。
一方、大学における実務家教員の養成はもはや「待ったなし」でしょう。文部科学省の通達を見ると、この流れは加速することはあっても撤回されることはないぐらいの勢いです。
私たちの実務家教員養成講座は、このような問題意識をお持ちの方に最適のソリューションです。もしもご興味をお持ちいただけたら、下記よりお問い合わせ下さい。
実務家教員養成とは
文部科学省の通達では、実務家教員とは
専攻分野における実務の経験を有し、かつ、高度の実務の能力を有する者
と定義されています(専門職大学院設置基準(平成15年文部科学省令第16号)第5条第3項ほか)。
ただし、そこには育成の基準も明確に示され、
実践的な教育課程への改善は、実務家教員を導入すれば足るわけではなく、教員全体のFDを充実させていくことなど、本質的な大学教育改革が必要
と謳われています。
FDというのは、Faculty Development (ファカルティ・デベロップメント)の略で、教員の教える力を向上させる取り組みになります。すなわち、実務家教員の採用は、養成とワンセットでなされるべきと言うのが文部科学省の立場です。
実務家教員養成の難しさはアンラーニング
実務家教員養成の難しさをひと言で集約するならば、
アンラーニング (Unlearning)
になります。Learning (ラーニング)の反対ですから、「脱学習」とでも訳すべきでしょうか。意味合いとしては、実務家教員がビジネス時代に培ったコミュニケーションを忘れてもらうことです。
というのは、教育というのは、ある意味特殊なコミュニケーションが求められるから。具体的には、
- 聞き手はその分野について知らない (知らないからこそ学ぶ必要がある)
- 聞き手の頭の中に知識を定着させるためには考えさせる必要がある
- 聞き手の参加意欲は必ずしも高くない
等の特徴があるためです。
これを踏まえず、ビジネス時代のようにプレゼンテーション的な話し方をしても、伝わるわけはありません。ところが、ビジネス時代のクセというのは想像以上に強固なものです。それを一度リセットしてもらう必要があり、アンラーニングが重要になるのです。
実務家教員養成のためには体系的なカリキュラムが必要
とはいえ、アンラーニングは簡単なものではありません。そこで私たちがお薦めするのが、「上書き」アプローチです。単に、一度身についたものを「忘れろ」ではなく、新たなコミュニケーション体系で上書きする方が、現実的です。
そして、その第二十葉なのが、新たなコミュニケーションが体系化されていると言うことです。実務家教員は、ビジネス時代のやり方にプライドを持っています。何十年にもわたって自らが作り上げてきたスタイルを「変えろ」と言われても、おいそれと変える気になれないというのは想像がつくでしょう。
この意識改革を図るためには、圧倒的な精密さと幅広さを持ったコミュニケーション体系を示す必要があるのです。