プレゼンの資料を「見やすく、かっこよく」作りたいときに参考になるのが、森重 湧太先生のご著書、「一生使える 見やすい資料のデザイン入門」です…。というか、実はこれ、最初はネット上に公開されたものが大人気で、ついには書籍にまでなったというもの。

ちなみに、元ネタはこちら。本書とかぶるところも多いので、こちらのスライド(以下、「元ネタ」)も参照しながら解説を加えていきたいと思います。

とはいえ、書籍は常に手元に置いて参照できますし、実は微妙にバージョンアップもされてますから、この手のことに興味がある方は一冊購入しても損はありません。

では、行ってみましょう。

1. プレゼン資料のフォントは和文はメイリオ、欧文はSegoe UI、サイズは18pt以上

まずはフォント。これはお勧めがメイリオ18pt以上。その理由として筆者の森重先生は、

  1. Windowsで標準装備
  2. 太字(Bold)に対応
  3. そもそも可読性重視で作られたフォント
  4. 等幅でバランスがとりやすい

と言う4点の理由を挙げていて、納得です。

とくに、1のWindows標準装備って意外と大事で、マニアックなフォントを使うと、pdf形式にしたり他のパソコンで投影するとき、思ったのと違う表現になってしまうので、「アチャー」と言うことがありますが、標準装備ならば避けることが出来ますね。

なお、欧文でSegoe UIをお勧めしているのは、和文フォントとのサイズの差があまりないので、読んだときに違和感がないからだそうです。

ちなみに、パワーポイントのテンプレート機能を使ってフォントを設定するやり方を解説してくれているのも親切ですね。

2. プレゼン資料で改行をコントロールする「イルカの法則」

お次は、元ネタ21pの、改行位置。

プレゼンテーション・カレッジでは「イルカの法則」と読んでいますが、改行位置もちゃんと考えましょう、ということです。これは、

家に入るか入らないか

を表現するときに、

家にはいるかは
いらないか

と言う改行位置だと、「家にはイルカは要らないか」と読めてしまうと言うところからとったものです。

ちなみに、パワーポイントの操作で言うと、改行したいところでShift+Enterを押すことで、文中の改行が出来ます。

3. 配置の4つの基本事項 (位置をそろえる、グルーピング、余白をとる、関係性)

「元ネタ」では「関係性」の代わりに「コントラスト付加」となっていますが、本書中では「関係性」となっていて、こちらの方がピンときます。

資料中にキストボックスを掲載するときにはサイズをそろえるのはもちろん、縦横の位置をそろえましょう、というのは「元ネタ」27pを見ても納得です。

また、関係性に関しては、

    • 順番のあるものは縦に置くとスムーズに理解しやすい
    • 比較したいものは横に置くと見比べやすい

との解説が本書でなされています(67p)。

4. プレゼン資料の色は3色で必要にして十分

色使いに関しては、

  • 色数は出来るだけ少なく
  • 色の使い方を統一する
  • 色に頼らない

というのが森重先生のお勧め。具体的には、

  • ベースカラー (背景色白+文字色黒が基本)、全体の70%程度
  • メインカラー (見出し、ボックス、強調させたいところ等)、全体の25%程度
  • アクセントカラー (特に注目を集めたいところ)、全体の5%程度

の3色で必要にして十分、と(「元ネタ」41p)。

ちなみに、ベースカラーに関して、本書では

どぎつい印象にならないようにコントラスト差を減らそう

と提唱されていて、背景色がややくすんだグレー、文字色も真っ黒黒ではなく、少し黒みを抑えたものになっています(78p)。

あと、上記の3つの色の割合も、「元ネタ」ではなく本書で解説されているものです。

5. テキストの強調でプレゼン資料を「それっぽく」する

テキストの強調に関しては、

  • 数字は大きく、単位は小さく
  • 短い単語は文字と文字を離す
  • かこんで強調しようとしない

と言う3点が提言されています(「元ネタ」48p)。

たしかに、これをやるだけでなんとなく「それっぽい」雰囲気が出ますから、これも余裕があったら取り入れたいものです。

プレゼン資料で大事なのは「中身」

ただ、気をつけなければいけないのは、本書で述べられているデザイン面はあくまでも「サブ」であること。その前にまずは「何を伝えたいのかを決める」というステップが必要であり、こちらの方がプレゼンにおいては「メイン」であり重要です。

典型的には、本書の10p、11Pの解説です。

リンゴとは赤くて、丸くて、直径10cmぐらい、木になる果実で、食用として幅広く栽培されている。生食が一般的だが、アップルパイなどの加熱処理を行って食べる場合もある。重さは300gぐらい。切断すると白い。種は黒い。

と言う文章を、視覚で伝えるのが正解であると解説されています。でも、これはあくまでも「リンゴの見かけを伝えたい」という場合。もしも、伝えたいことが「リンゴの食べ方」であれば、11pに掲載されているビジュアルはNGです。聞き手としたら、「いや、そういうことを知りたいわけじゃないから。ビジュアルに時間かけてないで、本質的なことを話してくれよ」と思うでしょう。

ただ、このメインとサブの話はけっこう微妙で、サブである見せ方にこだわるからこそ、「ここでは何を伝えたいんだっけ?」とメインが決まるところもあるのです。どれだけ優れたプレゼンターでも、最初から「伝えるのはこれとこれ」と決まるわけではないですからね。推敲していくうち、「そうそう、自分が本当に言いたいのはこれなんだよ」と分かってくると言うことも起こります。

こんなことを念頭に本書を読むと、より有意義にプレゼン資料の作成に使えるのではないかと思いました。

画像はアマゾンさんからお借りしました。

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