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サムライ業 資格を取っても サラリーマン?
税理士や社会保険労務士など、いわゆる「サムライ業」も、ビジネスとしてやっていこうと思うと最近はなかなか厳しいそうですね。
たとえば税理士なんて資格を取っただけで一生安泰というイメージがあったのですが…それは昔の話。今や、資格取得者がたくさんいるが故に、開業してもお客さんをちゃんと確保するのは難しいそうです。
ていうか、これは実際の税理士の先生から聞いた話ですが、けっこうこの業界、「上がつまっている」らしいですよ。高齢の、ということは昔から税理士のビジネスを続けている先生ががっつり顧客を握って、若手にはなかなか仕事が回ってこないんだとか。そうすると、資格を取ったわりには、結局は大手の事務所に入って偉い先生にこき使われるだけで終わってしまう、なんてこともあるんですって。
これってホントに本末転倒です。だって、サムライ業を志す方は、「一国一城の主になりたい」という気持ちがどっかしらあるわけじゃないですか。だからこそ難関□に苦労して取り組んでいるわけで。なのに、またサラリーマンに逆戻りしたような、恒例の先生に使われるだけ、というのはホントにキビシイと思うんですよね。
ですから、サムライ業の世界でも「自分で集客できるかどうか」というのは重要なスキル。そのための王道的な方法論を紹介してくれているのが東川先生の著書、「90日で商工会議所からよばれる講師になる方法」です。
サムライ業の集客の「王道」はセミナー講師
本の内容は書名の通りで、商工会議所から呼ばれる講師になることで顧客を見つけ、サムライ業をビジネスとして成立させようと言う話です。この「呼ばれる」というところがポイントで、サムライ業の集客において必要不可欠の「ハク付け」となるそうです。東川先生いわく、
実際に権威があるかどうかの事実は別にして、「よばれて」いることはたしかで、そのせいでお客さんは、出会いの時から優秀な先生と思ってくれるのです。となると、単発であれ顧問契約であれ、仕事の依頼につながりやすくなります。
とのこと(「はじめに」)。ここまで言っちゃうと身もフタもないと思う方もいるかもしれませんが、これこそがサムライ業のビジネスの王道とも言える集客法でしょう。
というのは、サムライ業って営業が難しいんですよね。たとえば税理士だったら、「税務サービス、いらんかね~」と売って歩くわけには行きません。売り物が「自分自身」であるためにそんな売り方をしたら安く買いたたかれてしまいます。というか、そもそもそんな税理士と顧問契約を交わしたくないと言うのが人情でしょう。なので、商工会議所でセミナー講師をやるのが、顧客獲得のための大きな動線になるのです。
商工会議所に呼ばれる講師になるための具体的な方法論
そして、本書の魅力は、こんな感じのぶっちゃけトークで、商工会議所から呼ばれる講師になる方法を余すことなく説明してくれているところ。たとえば、Part3の「これであなたも商工会議所からよばれる講師になれる!」というパートでは、そこに至る3つのルートが紹介されています。すなわち、
- 自分がしたいジャンルのセミナーに参加する
- セミナーエージェントに登録して依頼を待つ
- 商工会議所でセミナーを行っている人から紹介してもらう
です。たとえば最初の「自分がしたいジャンルのセミナーに参加する」であれば、誰かのセミナーに参加して、そのあと商工会議所の担当者に挨拶することによってコネクションをつくるのが目的です。著者の東川先生は、その際にこんなトークを薦めています。
まず講師に挨拶してから担当者のところに行き、お礼と感想と述べます。だいたいこんな感じになるでしょう。「有益なセミナーをありがとうございました。数々のアイデアをいただき、多くのことを学べました。素晴らしい企画だったと思います。」そして、こう尋ねます。「ところで、このようなセミナーはよく行っていらっしゃいますか?」と。
ただ、そのあとにいきなり売り込むのはNGだとか。東川先生は続けます。
いきなり「私もセミナーしてみたいのですが」なんて売り込んではいけません。ギラギラ感は押さえるべし。ここは軽い世間話などをして、「また近くに来たときにでもお寄りしていいでしょうか。詳しいお話をぜひまたお聞きしたいので」と提案してください。
と言うアプローチが効果的だとのことです(58p)。
セミナー講師の売り込みに辟易している担当者
たしかにこれはその通りだろうな、と思うのは、逆に商工会議所の担当者の話も聞いたことがあるんです。で、担当者が言うには、「講師として売り込みに来る人が多くて困るんだよね~」とのこと。
ちょっと皮肉ですが、本書の内容が良く書けていれば書けているほど、本書を読んで商工会議所にアプローチをしてみようと言うサムライ業の人は多くなるんですよね。その人たちがみな「ギラギラ感」で売り込みに来られたら、商工会議所の担当者はウンザリしてしまいますよね。心の中では、「また来たよ」と思いつつ、「では、企画書をお預かりして、何かあったらご連絡します」なんて言っている情景が目に浮かびます。
ここは多少手間暇かかっても、まずは商工会議所の担当者と仲良くなることから始めるべきだという東川先生の主張には納得感があります。なお、一般的に、
公的機関の担当者がセミナー講師を選ぶときの基準は「公的な資格を持っている」、「本を出版している」、「評判が高い(多くの実績がある)」の3つです。「なぜこの講師を選んだのか」を上司に説明しやすく、スムーズに納得してもらえるからです。
とのことです。
セミナー講師はブランディングに効く
一方で、具体的なノウハウはあまり記載されていませんが、本書でもう一つ見逃してはいけないパートが「Part7 頭ひとつ抜きんでる!セミナー講師のためのブランディング術」だと思いました。
というのは、商工会議所みたいな公的機関に「呼んでもらう」ことばかりを意識すると、結局はサラリーマン的な世界観に後戻りしてしまうと思うんですよね。だって、先ほどの公的機関の担当者がセミナー講師を選ぶときの基準を読み返してみてください。
「上司に説明しやすく、スムーズに納得してもらえるから」
ですよ。担当者に気にいられ、その人が上司を説得しやすいようにして…と、考えれば考えるほど、「一国一城の主」とはほど遠いじゃないですか。冒頭に紹介した「高齢の税理士先生に使われる」のが、「顔をみたこともない商工会議所の上司に使われる」ようになっただけで。
なので、ブランディング。
「この分野はこの人」というイメージが形成できれば、同じ「呼んでもらう」と言っても、ちょっとニュアンスが違ってくるんじゃないかと思います。「誰でもいいけど呼んでもらう」じゃなくて「自分だからこそ呼んでもらう」という感じで。
その意味では、東川先生ご自身のブランディングのノウハウを、さらに聞いてみたくなりました。
画像はAmazonさんからお借りしました
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