プレゼンテーション・ワンポイントセミナー

目次

目的の明確化

聞き手の分析

米国の正当派ATD(旧ASTD)のプレゼンテーション・トレーニング

米国人はおしなべてプレゼンテーションが上手な人が多い印象です。ところが、そんな米国にも社会人向けのプレゼンテーション・トレーニングのコースは数多くあり、逆に言えばそれだけ需要があると言うことでしょう。

その中から「正当派」とでも言うべきATDのプレゼンテーション・トレーニング講座を紹介します。ATDは、Association for Talent Developmentの略称で、米国における企業向け人材育成の総本山とでも言うべき団体です。というか、数年前まではASTD(American Society for Training & Development)として知られていたので、そちらの略称の方がなじみがある人が多いかもしれません。

このATDが提供しているプレゼンテーション・トレーニングですから、内容もオーソドックスなもので、受講後に下記の状態を達成することが目的となっています。

  • Develop and structure an effective presentation based on your audience and purpose. (聞き手と目的にあわせた効果的なプレゼンテーションの構築)
  • Create appropriate visual aids.  (適切なプレゼンテーション資料の作成)
  • Make your presentation memorable with the right kind of pizzazz. (適切な「ツカミ」でプレゼンを記憶に残す)
  • Include facilitation techniques to engage your audience. (聞き手を巻き込むファシリテーションテクニックを身につける)
  • Deliver a flawless presentation under any situation. (どんな状況下でも失敗しないプレゼン)

一方で、Topicsの項目に述べられているトレーニング内容は、ちょっと変わった説明になっています。

  • Topic 1 – Introduction (イントロダクション)
  • Topic 2 – Tell ‘em What You’re Going to Tell ‘em
  • Topic 3 -Tell ‘em
  • Topic 4 – Tell ‘em What You Told ‘em
  • Topic 5 – Closing: Polishing Your Presentation Skills (まとめ:プレゼンスキルを磨き上げるために)
  • Appendix (付録)

Topic2,3,4はなかなか一口に翻訳しにくいのですが、’emと省略されているのは”Them”で、たとえばTopic2だったら

Tell Them What You’re Going to Tell Them

となります。ここでのThemは聞き手を指し、翻訳すると

聞き手に対して、これから何を話すかを告げなさい

とでもなるでしょうか。ちなみに、これはさらに細分化され、下記の項目で構成されています。

  • Topic Overview 
  • Presentation Purpose 
  • How do I Begin? 
  • Presentation Plan #2 
  • Presentation Planning Sheet 
  • Reflecting on My Presentation 
  • Presentation #2 
  • Effective Openings and Closings 
  • Identify Your Audience’s Needs 
  • Organizational Patterns 
  • Prepare the Environment 
  • Room Set Up Checklist 
  • Practice Techniques 
  • Using Notes 
  • Designing Visual Aids and Support Materials 
  • A PowerPoint Slide 
  • My Performance Tracker

要するにこのパートは、プレゼンテーションの全体像を示す概要として機能しているのがお分かりいただけるのではないでしょうか。

いずれにしても、誤解を恐れず言えば、「教科書」的なオーソドックスな内容を学ぶのがATDの講座の特徴とも言えます。

なお、費用の面で言うと、2日間の講座で1,450ドルですから、仮に1ドル=120円とすると174,000円とけっしてお安くはない値段です。前回紹介したロンドンのImpact Factoryは1日の講座で7万5千円ぐらいでしたから、欧米のプレゼンテーション・トレーニングの相場はこのぐらいなのでしょう。

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プレゼンの最初は聞き手の目的確認

プレゼンテーションで聞き手の気持ちを動かしLeADER原則を達成するための構成の「王道」とでも言うべきものが下記です。

  • はじめに~背景と目的
  • 現状把握と要因解析
  • 対策オプション
  • 実施計画
  • まとめ
  • ネクスト・アクション (LeADERトリガー)

プレゼンテーションの最初はお客さまと認識のすりあわせ

「はじめに」は、サブタイトルもあるとおり背景と目的を説明します。ちなみに、「目的」はプレゼンする話し手の目的ではなく、聞き手の目的です。たとえば、商談でのプレゼンテーションを考えてみましょう。セールスマンがいきなり、「うちの商品の特徴は…」とはじめたら、聞き手であるお客さまはしらけてしまいますよね。「いやいや、そういうセールスを聞きたいわけじゃないから」って。そうではなく、プレゼンテーションの一番最初は「お客さまの目的」です。具体的なセリフとしては、「御社は○○の目的のため、△△の施策をとられてきました」と、そもそもの話を確認するのです。

次の「現状把握と要因解析」では、前のパートで話したお客さまの目的、○○を達成することを阻害している要因を明らかにします。これまた具体的なセリフとしては、「しかしながら、□□のため○○は十分に達成できているとは言えません」。もしくは、「もし◇◇下ならば、今よりも遙かに高いレベルで○○を達成することができます」、となります。このセリフは厳密に言うと下記の問題解決のパターンごとに4つに分類されます。

  • 顕在型問題解決:既に分かっている問題を解決する打ち手をプレゼンテーションする
  • 潜在型問題解決:表には現れないが、いずれは起こる問題の予防策をプレゼンテーションする
  • プラスアルファ型問題解決:現状でも悪くはないが、さらによくするための企画をプレゼンテーションする
  • 機会損失回復型問題解決:気付いていないが実現可能なビジネスチャンスをプレゼンテーションする

ちなみに、「実践・プレゼンテーションのセオリー」著者の高杉先生によると、

大型高額案件獲得には潜在問題予防型

とのことですので、営業の人ならば上記の本をチェックしてみるとよいでしょう。

プレゼンで信頼を獲得するための「他社の紹介」

さて、次の「対策オプション」は、上述の目的を達成するための打ち手を様々考えるパートです。見過ごされやすい内容ですが、これをプレゼンテーションにはさむことによって、話し手の信用度合は一気にアップします。もちろん、落としどころは次の「実施計画」のところで述べられている自社の商材になるわけですが、「その分野の専門家の目から見て様々な打ち手がありますが、やはり今の御社の状況には当社の提供する解決策が一番です」と言うセリフになります。

そして、これまでの流れを一通りまとめた後で、「では、具体的な導入はいつからにしましょうか?」と聞き手に問いかけてネクスト・アクションを示唆します。もちろん、その際にはこれまでお話してきたプレゼンテーションの聞き手分析で判明した、聞き手のキーパーソンのLeADERトリガーを意識しながら具体的なアクションを求めることになります。

プレゼンテーションはストーリー感で

ここまで紹介したパターンは基本形として、もう少し聞き手にアピールしたいと思ったら別のパターンを紹介したいと思います。それが、PARL(パール)、PEMA(ピーマ)というキーワードで呼ばれるパターンです。

PARLは、

  • Problem (困ったこと)
  • Action (それを解決するためのアクション)
  • Result (アクションをとった結果)
  • Learning (そこから得られた学び)

の頭文字を取ったものです。これは、ストーリーテリングの基本形で、聞き手の気持ちを惹きつけるプレゼンテーションで汎用的に使えます。「汎用的」というのは、ありとあらゆる場面で使えることを指し、これを証明するために人気アニメ「ドラえもん」で考えてみましょう。

ご存じの通りこのアニメは、ドラえもんの四次元ポケットから出てくる様々なグッズが人気の源泉です。ただ、そこに目を奪われずにストーリーという観点で見てみると、実は全てが同じ構造を持っていることに気付きます。それは、

  • 主人公ののび太が困ったことに直面する(明日までの宿題ができていない、ジャイアンにいじめられたなど)
  • ドラえもんが道具を取り出す
  • その道具で解決する
  • 教訓めいたことで終わる(これからは自分の力で解決しなくちゃダメだよ)

これ、実は先ほど紹介したPARLに他ならないことに気付くでしょうか。実は他にも、

スターウォーズ

指輪物語

ハリーポッター

などハリウッド映画のヒット作もまったく同じ構造を持っていて、これこそがプレゼンテーションで語る物語に共通する骨組みに他ならないことが分かります。

プレゼンテーションでは使えない起承転結

ただ、「ストーリー」と聞くと「起承転結」というキーワードが反射的に思い浮かぶ人もいます。ところが、この起承転結はプレゼンテーションにはまったくと言っていいほど向いていません。なぜならば、起承転結はもともとは漢詩のフォーマットだから。高校生の漢文で習ったかと思いますが、李白とか杜甫とか憶えているでしょうか。あのフォーマットが起承転結なのです。

具体例で見てみましょう。王維作、「元二を送る」という詩です。

  • 渭城朝雨浥軽塵(いじょうのちょうう けいじんをうるおす)
  • 客舎青青柳色新(かくしゃせいせい りゅうしょくあらたなり)
  • 勧君更尽一杯酒(きみにすすむさらにつくせ いっぱいのさけ)
  • 西出陽関無故人(にしのかたようかんをいずればこじんなからん)

意味はこのようになります(座右の銘データベースさんからお借りしました)

朝、渭城の町は夜来の雨が軽い土ぼこりをうるおしている。旅館の前の柳の新芽はいっそう青々と見える。さあ、もう一杯酒を飲みたまえ。西のかた陽関という関所を出たら、もう、友人もいないのだから

ストーリーという観点で難しいのは「転」です。詩の場合は、それまで渭城の情景を描いていたのがガラッと展開が変わってステキなのですが、ことストーリーと言うことになると全体としての整合性をとるのが難しくなってしまいます。それよりはやはりPARL。全体としての整合性を保ちつつ、プレゼンテーションで伝えるべきところを伝えるにはこちらのフォーマットが最適です。

プレゼンテーションでは全体像を示すな

そして、PARLの法則によるプレゼンテーションがピンと来たらぜひ考えていただきたいのが、「プレゼンテーションの全体像をどのタイミングで見せるか」ということ。これまた世の中にあるプレゼンテーションの本の中には、全体像を最初に説明するという立場を取っているものもありますが、実はこれは正しくありません。

だって、考えてみてください。ストーリーでプレゼンテーションを構成する限り、エンディングが先に分かってしまっては面白味も何もないですよね。次の展開がどうなるか分からないからこそプレゼンテーションも聞き手が興味を持って最後まで聞いてくれて、エンディングのLeADERトリガー、つまり「期待した行動をとってもらうことへの促し」ことを「なるほど」と受け入れてくれるのです。

プレゼンテーションでは「敵」を設定せよ

では次に、PARLの法則の発展型であるPEMAの法則を紹介します。これは、

  • Problem(困ったこと)
  • Enemy (その困ったことを引きおこしている敵)
  • Mission (その敵を倒すことこそが我々に転から与えられた使命である)
  • Action (さあ、そのための第一歩は○○ですよ)

となります。これも実例で見るために、映画市場もっとも有名なプレゼンテーションシーンの一つを見てみましょう。「インディペンデンスデイ」からの一コマですが、

  • Problem (我々は絶滅の危機に瀕している)
  • Enemy (その最大の理由は宇宙人である)
  • Mission (それの敵をこれから倒しに行く。米国が英国の理不尽な圧政から脱したように)
  • Action (We celebrate the Independence Day!)

となります。もしくは、このPEMAの法則をプレゼンテーションで上手に使ったのが故スティーブ・ジョブズ氏です。たとえばiPadを消化するプレゼンテーションでは、「パソコン」を適役として登場させます。「パソコンなんて直感的な操作ができなくて時代遅れだ」と。そして、それをうち破るのが、「我々は便利なポインティングデバイスを持ってうるじゃないか。それが、『指』だ」となるのです。単に、「このデバイスは指によるタッチで操作できるんですよ」というよりも、遙かに聞き手の興味を惹きつけることが、PEMAを使うとできます。

日本人で言うならば、PEMAを上手に使ったのが小泉純一郎元首相でしょう。「郵政改革」や「道路公団民営化」など、よく考えると難しい話を「敵」を設定することによって分かりやすく国民にプレゼンテーションしました。そういえば、「抵抗勢力」なんて言葉もあって、こんなところからも敵を設定するのが上手なことがうかがえます。その結果としての改革が、本当いいことだったかどうかは別にして、聞き手、つまり国民を動かして圧倒的な支持率を達成したという観点で、プレゼンテーションの成功例と言えるでしょう。

そうは言っても大事なロジカル・プレゼンテーション

ここまで、ストーリー感を持って聞き手を動かすためのプレゼンテーションの構成として、PARLとPEMAを紹介してきました。そのうえでもう一点お伝えしたいのが、PARLやPEMAを使う際のコツです。それは「整合性」というキーワードで表されますが、たとえばPARLだったら、PとLがちゃんとマッチすることが大事です。もしもLとははずれたトンチンカンなPからプレゼンテーションが始まってしまうと、「何でその結論?」と聞き手から疑問が呈されます。前回は、プレゼンテーションではロジカルよりも聞き手の心理が大事だと書きましたが、実際のところは、この整合性を考えるところでは、ロジカルな思考法はプレゼンテーション準備段階で必要になります。

プレゼンテーションは2車線2方向のところでも書きましたが、論理と心理の双方がそろっているのがいいプレゼンです。

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プレゼンで意外と重要な聞き手分析の「順序」

プレゼンテーションの聞き手のタイプ分けとして、前回までモチベーション・マトリックスソーシャル・スタイルを紹介してきました。ただ、誤解があるといけないのですが、このようなタイプ分けは、「最初から絶対相手のタイプを当てよう」と使うものではありません。むしろ、「仮置き」と言っていますが、「この聞き手はたぶんこのタイプだろう」とプレゼンを開始して、もし当たっていればそのまま続けるし、違っていたら別のコミュニケーションスタイルを試せばいいのです。ただ、最悪なのは相手のタイプを考えずに、「当たってくだけろ!」とばかりにプレゼンテーションを始めてしまい、本当にくだけてしまうこと。これはプレゼンテーションに限りませんが、ビジネスで初対面の人と会うときには、「今人はどのタイプか?」と想像するクセをつけると、コミュニケーションがうまくいきます。

プレゼン聞き手のタイプ分けの順序は?

ただ、二つのタイプ分けのどちらを先に使うのかは考えてもいいかもしれません。というのは、ソーシャル・スタイルはその名の通り「スタイル」ですから、初対面の人であっても目について比較的見抜きやすいのです。実際に、前回の誌上セミナーでは名刺交換にもヒントがあることを説明しました。一方のモチベーション・マトリックスは、「動機」という人間の心の奥底にあるものに根ざしているので、一目で見抜くことは難しいのです。

この誌上セミナーの第2回で紹介した「人材育成ピラミッドモデル」で考えるならば、ソーシャル・スタイルは上から三階層目の「スキル」レイヤーにあたり、モチベーション・マトリックスは一番下の「パーソナリティ」レイヤーに相当します。

プレゼンテーションの聞き手タイプ分けの2種類
プレゼンテーションのタイプ分けのレイヤーを考える

そして、人材育成ピラミッド・モデルが示唆するのは、ピラミッドの下にあるモチベーション・マトリックスの方が、人の行動に与えるインパクトは大きいと言うこと。上図のピラミッドの左横に書いてありますが、「下に行くほど見えにくい、変えにくい、が行動に対するインパクトは大きい」のです。ということは、プレゼンテーションにおいては、最初は分かりやすいソーシャル・スタイルで聞き手にあわせたコミュニケーションを行い、話が進むにつれてモチベーション・マトリックスを探りながら、タイプに合わせたLeADERトリガーをトークに盛り込むのが正解です。

様々な聞き手のタイプ分析を使い分ける

なお、人材のタイプ分けはこの二つ以外にも様々あります。なので、ご自身の状況とプレゼンテーションの設定に合わせて、様々なタイプ分けを使いこなせるようになるとプレゼンテーションがさらに上手になれます。たとえば、プレゼンと言っても、人に教えるような状況だったら聞き手の「学習スタイル」を見抜くのが有効でしょうし、人間関係を主なテーマにしたプレゼンテーションであれば、「兄弟型」を使うのもアリです。

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プレゼンテーションの幅を広げるソーシャル・スタイル

前回はプレゼンテーションの聞き手を分析する際、「その人を動かす原動力は何か?」という観点でモチベーション・マトリックスを紹介しました。ただ、「好きか嫌いか」でモノゴトを判断する「好悪感情タイプ」はもっとも手強くて、どのようなLeADERトリガーが有効化の手がかりがありませんでした。

ソーシャル・スタイルで会わせて好きになってもらう

実はこのタイプには、「どうやったら好きになってもらえるか?」とシンプルに考えるのが得策で、そのためのプレゼンテーションの聞き手分析のフレームワークが「ソーシャル・スタイル」です。これは、その人のコミュニケーションスタイルを「意見を言うか、言わないか」、「感情を表に出すか、出さないか」という二つの軸で分類して4タイプに分けたもので、ポイントはそれぞれのタイプごとに好みのコミュニケーションスタイルがあると言うこと。つまり、聞き手がどのタイプか見分けられれば、相手にあわせたプレゼンテーションのスタイルをとることで好きになってもらいやすくなります。

プレゼンテーションの幅を広げるソーシャル・スタイル
プレゼンテーションの聞き手の好きなコミュニケーションスタイルを探る

ちなみに、ソーシャル・スタイルは名刺交換だけでも見抜けるとの説もあり、下記に見抜き方とそれぞれのタイプごとの好みのコミュニケーション・スタイルを示します。

  ドライビング エクスプレッシブ エミアブル アナリティカル
名刺交換の際の特徴 ビジネスライクにさっさと済ます。言葉も最小限 何かひとこと言わずにはいられない 動作がゆっくり、表情もニコニコ。お辞儀は深く、礼儀正しい バカ丁寧に長い部署を読み上げる
付き合うコツ 無駄話で時間を使わず要点をズバリと話す 「スゴイですね」、「さすがです」と褒めてノセる 「そうなんですか」と共感を示しながら、一度話を受け止めたうえで返事を返す 物事を順序立てて説明する。いきなり「あの件、いかがでしょうか!?」は厳禁

プレゼンテーションの幅を広げる

そして、ソーシャル・スタイルに関してもう一つ忘れてならないことは、自分のコミュニケーションを見直すこと。人間誰しも「素」のコミュニケーション・スタイルはあるものですが、そればかりに頼ってしまうと「相性が良い人とは話が弾むが、合わないタイプとはコミュニケーションがうまくいかない」となりがちです。世の中には、このソーシャル・スタイルを「その人固有のもので変わらない」と考える流派の人もいますが、それではプレゼンテーションで圧倒的に不利です。大事なのはむしろコミュニケーション・スタイルの多様性です。仮に自分の「素」のコミュニケーションがエクスプレッシブだったら、ときには意見を言わずにエミアブルのスタイルを採り入れる、ときには感情を出さずにドライビングのスタイルになる、などプレゼンテーションのスタイルを広げるヒントとして使うのが正解です。

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プレゼンの聞き手をタイプ分けせよ

プレゼン準備の第一歩、聞き手の分析のツールのペイン・プレジャー・マトリックスの「本当の使い方」を前回は紹介しましたが、実はこれ、相手のタイプ分けとともに使うと有効です。

プレゼンの目的は、「聞き手に期待した行動をとってもらう」ことです。であれば、聞き手が「何によって気持ちを動かされるか」を見抜き、それにあわせて自分のトークを構築して、最後の決めゼリフも相手の心に響くLeADERトリガーを仕掛けるべきです。ただ、身の回りで想像してほしいのですが、やたらと「損か得か」が気になる人もいれば、損得よりも誰かに「ありがとう」と言われるのが好きな人もいて、「何によって気持ちが動かされるか」は人それぞれ。これをタイプ分けしたのが、モチベーション・マトリックスです。

プレゼンテーションの聞き手の動機付けをタイプ分けする
聞き手の動機付けを分析することでプレゼンテーションの勝率を上げる

ちなみにこのモチベーション・マトリックス、パッと見には分かりにくいのですが、実は「ある質問」をするだけで、だいたいは想像することができます。詳しくはプレゼン資料作成セミナーで紹介しているので、ご興味がある方はチェックしてください。

ここでは簡単な題材として、仮に営業マンのお客様向けのプレゼンテーションという場面でそれぞれのタイプがどのように反応するかを考えてみましょう。題材となるのは、ロジカルシンキング測定システムを販売する外資系コンサル会社、パワースライド社。あなたは同社のセールスマンだとして、お客さま向けプレゼンで、なにをLeADERトリガーとするか考えてみましょう。

タイプごとに異なるプレゼンテーションのアプローチ

たとえば、「損得勘定タイプ」であれば簡単で、「この商品を導入すれば職場の生産性が上がって、御社がより儲かりますよ」というのが正解です。もちろん、「損得」は会社全体だけでなく、担当者個人のものにも言及します。それはたとえば、「このロジカルシンキング測定システムを導入すれば、研修効果を測定できるので、あなたの仕事を社内でアピールしやすいですよ」、「これがあると、ライン(事業部門)に対してにらみを効かせ易いですよ」などのセリフになります。「損得」と言っても金銭面だけでなく、人に対する影響力まで含めるとLeADERオファーの選択肢が広がります。

ただ、営業でプレゼンの経験があるならご存じかと思いますが、「お得ですよ」と言っても素直に動かない人はいるもので、それがたとえば「承認欲求タイプ」。このタイプの人は、「誰かから認めてもらいたい」という欲求の方が損得を上回りますから、むしろ「このシステムを導入すれば、社内の人に喜ばれますよ」、「このシステム、日本での導入事例が少ないので、世間から注目を浴びますよ」などのトークの方が効きます。

あるいは、「規範意識タイプ」の人は、ものごとが「正しいか、正しくないか」で意思決定するタイプなので、プレゼンのセリフは、「このようなシステムによって、社内の人材育成や登用が公正な判断にもとづいて行われるようになります」で決まり。このように、動機付けの源泉によるタイプに分けが、プレゼンテーションで「勝率」を挙げるコツです。

プレゼンでもっとも難しい攻略相手

残った「好悪感情タイプ」は?実はこのタイプの人は、プレゼンの相手としては一番難しいのです。単に自分の好き嫌いで動くか動かないかを決めるので。実はこういう人には、もうちょっと別の側面からアプローチしようと言う方が正解です。そのための、「ソーシャル・スタイル」を次回は紹介します。

ロジカル・プレゼンテーションの落とし穴

プレゼンテーションのLeADER原則、そして聞き手分析の様々な手法が分かると、プレゼンテーションに対するイメージそのものも変わってくるかもしれません。ついつい頭に思い浮かぶイメージは、大きなスクリーンを背景に立て板に水のように語る…という光景ですが、それだけがプレゼンテーションではありません。むしろ大事なのは、「2方向2車線」のコミュニケーションです。

プレゼンテーションは2方向

コミュニケーションはインプットとアウトプットの2方向と良く言われますが、プレゼンテーションにおいてもこれは正解です。壇上に立った話し手が滔々と語るだけでなく、聞き手に意見を言ってもらう、質問をしてもらうなど、双方向の対話がプレゼンの基本形です。これによって、聞き手の理解度を確かめながら話を進めることができます。
ただ、双方向と言っても、「プレゼンの最後に質疑応答」というスタイルはお勧めできません。だって、考えてもみてください。最後の最後の質疑応答で聞き手から出た質問がトンチンカンなものだったらどうしましょう?それって結局プレゼン中に話したことが伝わっていなかったわけであり、終了時間が迫っている中リカバリすることはできません。そうではなく、プレゼン中も適宜質問を受け付けることにより、要所要所で話が伝わっていることの確認をしながら進めていくべきです。

プレゼンテーションは2車線

そして、プレゼンテーションを道路にたとえるならば、「2車線」というのは、プレゼンテーションの際に論理だけでなく心理も重要視しましょう、ということです。LeADER原則を踏まえるならば、論理で分かりやすく説明するだけのプレゼンは不十分です。聞き手の気持ちを考えながら、どこをどう刺激したら行動してくれるのかを考える必要があります。
そして、この「2車線」が分かると、2方向のもう一つの意味合いが見えてきます。それは、聞き手をより良く理解することです。もちろん事前準備の段階で想像力も交えながら聞き手を分析しますが、「その場」でなければ分からないこともあります。誰が本当のキーパーソンなのか、そしてその人のプレゼンへの興味と事前知識はどの程度なのか、はたまたその人のモチベーションの源泉はなんなのか…。双方向型のコミュニケーションは、理解度だけでなく、このような聞き手の心理状態を把握するためにも不可欠なのです。

ロジカルだけがプレゼンじゃない

ここまで来ると逆に、ロジカル・プレゼンテーション「だけ」では不十分なことにピンと来ていただけるのではないでしょうか。典型的には、

  • プレゼンの主張を根拠で裏付ける
  • 根拠を複数用意する
  • 結果として、3点論法(「大事なポイントは3つです」のような会話)が主体
  • 全体の構成も、序論、本論、結論のような論理的な流れ

がロジカル・プレゼンテーションの特徴ですが、これでは聞き手の心理を動かすことができません。
もちろん、ロジカルが不要と言いたいわけではありません。コンテンツを作成する段階で構造化と言っていますが、話の全体像を細かい要素に分割したうえで、ここの要素と要素の関係性を考えるのは、プレゼンテーションに必須のプロセスです。
ただ、それだけにとらわれて心理に目配りするのを忘れてしまうと、プレゼン本来の目的を達成することはできないことを肝に銘じていただきたいのです。

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プレゼンでキーパーソンを見抜く3つの視点

プレゼンテーション準備では聞き手を分析することが重要であることを踏まえ、前回はプレゼンの聞き手分析のフレームワークであるペイン・プレジャー・マトリックス(PPM)を紹介しました。ただこれ、法人営業のプレゼンで使う時には要注意です。というのは、買い手が法人の場合、キーパーソン、つまり「買う/買わない」に対してもっとも大きな影響力を持っている人が分かりにくいから。仮に営業で最初にあった担当者の「痛み」と「喜び」を分析しても、その人がキーパーソンでなければ受注にはいたりません。せっかく時間と労力をかけてプレゼンの準備をするのですから、PPMで分析すべきは、キーパーソンの「痛み」と「喜び」です。

法人向けプレゼンのキモはキーパーソンの特定

したがって、法人営業でのプレゼンのキモは、ある意味「誰がキーパーソンなのか」を見抜くことです。え?役職が上の人がキーパーソンでしょ?課長とか、部長とか?と思う人は営業初心者。実は会社の事情や上司によってもキーパーソンが誰なのかは変わってきます。ここでは、会社の社風、上長のリーダーシップスタイル、意思決定のスタイルという3つの観点から、キーパーソンの見抜き方を解説します。

まず会社の社風ですが、ハーバード・ビジネススクールのニティン・ノーリア教授は組織を規定する七つの要素の一つに、「意思決定の分権化 (Distribution of
decision rights)を挙げています。この分権化が強い会社の場合には、たとえ職位が低くても、「その仕事に責任を持つ人」がキーパーソンの場合もあります。

次にリーダーシップスタイルですが、オハイオ州立大学のロバート・ハウス博士が提唱したパスゴール理論の中では4種類のリーダーシップスタイルが定義されています。その中の、「参加型リーダーシップスタイル」は、意思決定において部下の意見を採り入れて行くことに特徴がありますから、仮に上司がこのリーダーシップスタイルをベースにしている時には、権限が委譲され下位の担当者がキーパーソンの可能性があります。

プレゼンの際、向かって左手の人がキーパーソン?

また、「なぜ、占い師は信用されるのか-『コールドリーディング』のすべて」などの著書があるセラピストの石井裕之氏は、人間のタイプ分けとしてMeタイプ、Weタイプを提唱しており、役職に関係なく「Meタイプが意思決定の権利を持つ」としています。これに従えば、仮に上司がWeタイプ、部下がMeタイプであった場合でも、Meタイプの部下がキーパーソンとなります。ちなみに石井氏は、プレゼンの場で「あなたから見て右手の方向にいる人達ほどWeタイプ的で、あなたから見て左にいる人達ほどMeタイプ的」とも提唱していますので、ひょっとしたらキーパーソンは向かって左側に座っている人なのかもしれません。

もちろん、実際のビジネスの現場においては、上記に説明した社風やリーダーシップスタイルだけでキーパーソンが決まるわけではないでしょう。案件の大きさやプレゼンテーション内容への興味度合によっても変わってきます。普段は権限委譲をする上司だけど、この件だけは自分で判断したい、などのこともあるでしょう。ただ、大原則として、プレゼンの際にはキーパーソンを見抜いて、その人の気持ちを動かすことを心がけるのを忘れてはいけません。

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分かってみれば以外と単純なプレゼン上手の「仮説構築」

プレゼンテーションの目的は「聞き手に期待した行動をとってもらうこと」であるというLeADER原則はに納得したら、次に来るのはHOW、つまりどうやったら聞き手の行動を変えることができるのか、です。というか、このHOWが分からないからこそ、多くの人が話すことそのものが目的化する「ご静聴ありがとうございましたの罠」に陥ってしまうかもしれません。

これを乗り越えるためのフレームワークが「人材育成ピラミッドモデル」です。その名の通り、もともとは人材育成で使われるものですが、プレゼンテーションでも役立つものですので、まずは全体像を見てみましょう。

プレゼンテーションでも使える人材育成ピラミッドモデル

プレゼンテーションでも使える人材育成ピラミッドモデル
行動の背後には知識だけでなくマインドやパーソナリティがある

人材育成ピラミッドモデルの基本的な考え方は、人間の行動の背後にはどのようなものがあるかを説明することです。たとえばセールスのプレゼンテーションで考えるならば、お客さまが「イエス」という行動をとってくれるのはなぜ?を考えることになりますね。

ピラミッドの一番上にある行動のすぐ下は、「知識」です。たとえば、製品の知識、業界動向に関する知識、競合他社の活用事例の知識…。プレゼンテーションでお客さまに説明することで、お客さまの「買おう」と言う気持ちをかき立てるのは、まさにセールスっぽくてイメージがつきやすいのではないでしょうか。

ただ、実際のところは、知識「だけ」では人は動きません。これが、先ほどのフレームワークがピラミッド型になっている理由で、下に行けばいくほどその人の行動に与えるインパクトが大きいことを意味します。つまり、知識よりもマインドと呼ばれるその人の考え方を変えた方がいいし、あるいは一番下のパーソナリティーと呼ばれる価値観に則した説明の方が聞き手の行動を変えるLeADERトリガーになります。

実際にセールスにたずさわっている方は、新たな知識を説明しただけではお客さまの行動は変わらないのはイヤという程経験済みでしょう。できる営業マンは、知識の説明をしつつも、お客さまのマインドを変える問いかけをしたり、お客さまの価値観を見抜いてそれに合わせた説明ができる人です。

ただし、ピラミッド型にはもう一つ意味合いがあって、下に行けばいくほど「外からは見えにくい、変えにくい」ことになります。たとえば、ある知識がお客さまに伝わったかどうかは、比較的簡単に見分けられるでしょう。でも、そのお客さまのマインドはどのようなものか、あるいはそもそもの価値観が何かはパッと見ただけでは分かりません。仮にお客さまに聞いてみたところで、まともな答えが返ってくるわけではありませんしね。

プレゼンテーションとは、聞き手の頭の中の仮説を立てること

ここまで来ると上手なプレゼンターの秘訣がお分かりでしょう。聞き手の気持ちを動かして期待した行動に促すのが上手な話し手は、表面上は知識を伝えながらも、同時にお客さまのことを観察し、その人のマインドやパーソナリティの仮説をすばやく立てる人です。そして、その仮説に基づいて知識以外のところで聞き手に刺激を与えるからこそ、その気持ちを動かすことができるのです。

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上手なプレゼンに盛り込まれている「嫉妬」という毒

前回はLeADER原則を踏まえたうえで、プレゼンテーションで聞き手の気持ちを推測するためのツール、PPM (ペイン・プレジャー・マトリックス)を紹介しました。ただ、そこで取り上げた例は、実は不十分なものです。というのは、「痛み」にしても「喜び」にしても、どちらかというと会社視点で書いてある、ごく真っ当なものばかりだから。

ネガティブな感情が人を動かす

でもね、実際に人の気持ちが動くのは、それ「だけ」ではありません。むしろ個人的な「想い」や、逆にネガティブな心理、たとえばそれは「嫉妬」、「不満」、「敵対心」、「欲望」などによっても人は動かされます。

実際、ご自身のことを考えてみてください。過去、もっとも仕事に邁進したのはどんなときでしょうか?たとえばそれは、「あの上司にあんなことを言われて頭に来たので見返してやりたい」、「同僚のアイツの方が給料が高いなんて納得いかない」、「この仕事で成果が出れば、周りの見る目が変わるだろう」、そんな個人的な感情がベースにあることも多かったのではないでしょうか。

これを踏まえて、あらためてPPMで聞き手の心理を想像してみましょう。テーマは前回と同じく社員のロジカルシンキング測定システムを販売している外資系コンサルティング会社、「パワースライド社」の例です。もしもあなたがこの会社のセールス担当だとして、お客さまの気持ちを想像するとすれば、その痛みは?そしてその喜びは?

プレゼンテーションの聞き手分析のPPM
プレゼンテーションの聞き手の痛みと喜びは?

 

  1. 提案を受け入れる痛み
    1. 新しいサービスなだけに導入に失敗する可能性があり、その場合責任を取らなければならない
    2. 導入時に手間がかかる(社員に診断を受けてもらうために、いちいち関係部署に頭を下げなければいけないのは面倒だ)
  2. 提案を受け入れる喜び
    1. 世界的に有名なシステムを導入したことで、社内で「あの人はイケてる」と評価が高まる
    2. 社員のロジカルシンキングの能力を可視化して評価できれば、人事の立場としての言い分を通しやすくなる (「○○さんは、△△の能力が足りないですよ」のような会話)
  3. 提案を受け入れない痛み
    1. 研修の企画の仕事は成果が明確に出ないので、周りから評価されにくい
    2. 相手のセールス担当者に断りを言うのに気が重い
  4. 提案を受け入れない喜び
    1. とりあえず現状維持なのでリスクがない。どうせリスクをとるなら、もっと明確なリターンがなければやる必然性がない。
    2. 一度断れば、相手も値下げをしてくるかもしれない

プレゼンのクオリティが変わる「あなたのため」に

ここまで考えると、プレゼンテーションの質が変わるのが、リアリティを持って想像できるのではないでしょうか。もちろん、相手の担当者の心理は、プレゼンテーションの場で直接的に表現するものではないかもしれません。表面上はあくまでも「会社のため」。でも、その中に、「これをやると、『あなた自身の評価』も高まりますよ」と言うニュアンスを盛り込むのです。これこそが、本当に聞き手の気持ちを動かし行動につながるLeADERトリガーになるのです。

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プレゼンで聞き手を動かす「痛み」と「喜び」

プレゼンテーションにおいては聞き手の分析が重要…良く言われることですが、プレゼンテーションのLeADER原則を踏まえるとその本当の意味が分かります。プレゼンの目的はあくまでも、「聞き手に期待した行動をとってもらうこと」です。そうすると大事なのは「その聞き手は、何を判断基準としているのか」を知ることだとわかるでしょう。

たとえば、年齢や性別そして役職などの情報は、それ自体意味があるわけではありません。むしろ、このような属性情報から、「この年代の男性ならば、こういう風に考える傾向がある」、「女性でこの役職ならば、このような問題意識を持っているだろう」と推測することが必要になります。

プレゼンの聞き手の「痛み」を想像する

ただ、「推測」とひと言で言っても、聞き手の気持ちの中まで考えるのは意外と難しかったりします。そこで登場するのが、聞き手の「喜び」と「痛み」を考えるためのフーレムワーク、「ペイン・プレジャー・マトリックス」(PPM: Pain Pleasure Matrix)です(※)。

ペインは「痛み」、プレジャーは「喜び」…と、これだけ聞くとSMチックな妄想が頭を駆けめぐってしまいますが、実はちゃんとしたコンセプトで、マトリックス(表組み)で体系的に聞き手の心理を考えるというものです。

プレゼンテーションの聞き手分析のPPM
プレゼンテーションの聞き手の痛みと喜びは?

たとえば、社員のロジカルシンキング測定システムを販売している外資系コンサルティング会社、「パワースライド社」の例で考えてみましょう。あなたは同社の営業マンでセールスのプレゼンの準備をしていると考えてみてください。セールス先のお客さまは、会社の人事部。中でも、社員の人材育成を担当する部署だと想像してください。さあ、お客さまがパワースライド社のシステムを導入する喜びは?そして痛みはどのようなものでしょうか?

  1. 提案を受け入れる痛み
    1. 導入時に手間がかかる(社員に診断を受けてもらうために関係部署との調整が必要)
    2. コスト(導入時、ランニング)がかかる
  2. 提案を受け入れる喜び
    1. 社員のロジカルシンキング能力が向上する
    2. しっかりと能力を計測できるのは他にないメリット
  3. 提案を受け入れない痛み
    1. 社員の能力アップにつながらない(結果として会社の業績アップにならない?)
    2. 仮に研修をやるとしても、効果測定ができない
  4. 提案を受け入れない喜び
    1. とりあえず現状維持なので面倒くささがない
    2. コストがかからない(その分を他に振り向けられる)

人が動くのは「喜び」が「痛み」を上回った時

そして、ここまで考えたうえで目指すべき公式は、B+C>A+Dです。プレゼンテーションで、たとえどれだけ製品のメリットを打ち出せたとしても、それを上回るデメリットがあれば聞き手は「イエス」とは言ってくれません。すなわち、自社製品の優位性だけを説明するだけでなく、

  • 導入時の手間は意外とかかりませんよ(診断には10分間のウェブテストだけでオッケー)
  • 導入時のコストは、社員一人当たりに換算すると微々たるものですよ

など、聞き手の心理をPPMで分析しながら、いかにしてAとDを弱めるかのポイントをプレゼンテーションに盛り込む準備をするのです。

※PPMは、もともとはリーダーがいかに組織変革を巻き起こすのかを説明するフレームワークです。詳しくは下記をご参照下さい。

船川、変革リーダーの技術、オーエス出版

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プレゼンテーション事例:外資系コンサル企業パワースライド社

外資系コンサル企業パワースライド社

  • 外資系コンサル企業「パワースライド社」は企業向けに人材育成のコンサルティングを提供しています
  • 主力商品は社員のロジカルシンキングの習得度合を測定するクラウドサービスです。社名の由来ともなった「パワースライド」と呼ばれるこのシステムは下記の特徴を持っています。
    • ウェブ上の10分程度の簡易テストで受験者のロジカルシンキングのレベルが判断できるため、導入が容易
    • レベルだけでなく、基本5分野、応用2分野のどこに強みがあり弱みがあるのかを把握できる
    • 企業横断でサービスを提供しているため、他社と比べて自社の社員のレベル感や強み・弱みが把握できる
    • 利用料金は、導入時に一括して5,000ドル、その後は社員一人当たり月額10ドル
  • このパワースライドは、その簡便性や効率性が高く評価されており、本国のオランダはもとより世界中に導入企業が広がっています
  • パワースライド社の強みは、このシステムを基本としたコンサルティングサービスにあります。社員の強み・弱みを把握したうえでの提案には説得力があると言われています
  • とはいえ、日本に参入してからは日が浅く、営業活動においては製品の特徴の説明や利用事例の紹介など、まだまだプレゼンテーションによる説明が必要です

※このページに記載されている情報は、MBA式プレゼンテーションの誌上セミナーのために作成されました。パワースライド社とその商品は架空のものです。

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プレゼンの目的は「聞き手に期待した行動をとってもらうこと」

プレゼンテーションの最後に「ご静聴ありがとうございました」とプレゼンターが深々と頭を下げる…一見するとごく当たり前の光景ですが、実は大きな落とし穴が隠されています。

それは、「話すことそのもの」が目的になってしまっているということ。このようなマインドでプレゼンテーションを行っても、聞き手は「…だから何?」と反応するしかないわけで、せっかく時間と労力をかけたとしても意味がなくなってしまいます。

ビジネスでプレゼンテーションする目的は、単に話すことでもなければ、知識を伝えることでもありません。英語で言うと”Let thE Audience Do Expected Reaction”の頭文字を取って「LeADER原則」と呼んでいますが、「聞き手に期待した行動をとってもらうこと」ことがプレゼンテーションの目的です。たとえば営業であればお客さまに受注のイエスを言っていただくこと、社内のプレゼンであれば関係者からゴーサインをもらうことなど、事前に設定した行動を聞き手にとってもらってはじめてプレゼンは完結するのです。

と聞くと、「うわぁ、大変そうだなぁ」と思うかもしれませんが、発想を変えれば実はこれほど気が楽なことはありません。もしもプレゼンの目的が「人前で話すこと」だったならば、事前に用意したスライドを使って一字一句間違えないように気をつける必要があります。これでは、緊張してしまうのも当然ですよね。逆にLeADER原則でプレゼンテーションを行うと、「何を話してもいいし、トチッてもスベッてもいい。最終的に聞き手に期待した行動をとってもらえるならば」と良い意味で開き直ることができるのです。

プレゼンの目的を細分化する

もちろん、実際の営業の現場などでは、目的である「聞き手に期待する行動」を細分化する必要があります。初回の面談からいきなり「うちの製品を買ってください」というわけにもいきませんから、

  1. 初回の面談ではまずは担当者に興味を持ってもらう
  2. その後のやりとりで信頼してもらって
  3. クロージングのプレゼンテーションで「イエス」と言ってもらう

などのステップを踏む必要があります。ただ、それぞれの場面で、「今回のゴールは、お客さまに○○の行動をとっていただくことだ(もしくは、○○という心理状態になっていただくことだ)」を押さえてプレゼンテーションを設計する必要があるのです。

ここまで来ると、冒頭の「ご静聴ありがとうございました」の落とし穴にピンと来ていただけるのではないでしょうか。プレゼンの最後は、話を聞いていただいたことに感謝するのでもなければ、知識がちゃんと伝わったかを確認することでもありません。「LeADERトリガー」と呼んでいますが、聞き手に期待した行動をとってもらうためのトリガー、つまり呼びかけが最後に来るべきです。すなわち、営業であれば「では、契約の話しに移らせていただいてよろしいですか?」であり、社内プレゼンであれば「では、この企画を社として進めていきますが、よろしいでしょうか?」となります。

意外にリスクがあるTEDのプレゼン

ちなみに、このLeADER原則からすると、ネット上でも人気のプレゼンテーションイベントTEDは、マネすることにリスクがあることに気付きます。TEDは、

  • その分野の第一人者が
  • 自分の考えを広めるために
  • 聴衆に語る

ことをイベントの骨子としているので、必ずしもLeADER原則に則っているわけではありません。数あるプレゼンの中には、植松努さんのプレゼンのように、「仲間を募る」、「自分で限界を決めずに行動することを聞き手に促す」などのLeADER原則があるものもありますが、どちらかというと例外的。まあ、そもそもの趣旨が、”ideas worth spreading (世間に広める価値のあるアイデア)”を標榜しているので当然と言えば当然ですが…。したがって、個々のテクニックやプレゼンターの姿勢には参考になる要素もありますので、自分なりにアレンジしてビジネスのプレゼンテーションに採り入れる必要があります。

プレゼンテーション・ダイヤモンドモデル

では、このLeADER原則を踏まえて、プレゼンテーションの全体像を解説します。それが、「ダイヤモンドモデル」と呼ばれる四つの要素からなるものです。

プレゼンテーション・ダイヤモンドモデル

右上の「プレゼンテーション」は、狭い意味でのプレゼンテーション、つまり立ち居振る舞いや顔の表情、よく通る声などを指します。一方で左上のドキュメンテーションは、スライド作りと言い換えてもいいのですが、プレゼンテーションの際に投影するパワーポイントの作成です。ただ、このような目で見えるもの「だけ」が重要ではないと、プレゼンテーション・ダイヤモンドモデルは示唆します。先ほど紹介した二つの要素は目に見える、耳で聞こえるという観点で「具体」的なものですが「抽象」的な要素も大事なのです。それが左下のコンテンツ、つまりプレゼンテーションのスライドの構成であり、右下のファシリテーションと呼ばれる、聞き手の頭の中を考えて、そこに新たな情報を定着させる工夫です。これらは、目には見えないかもしれないけれど、実際のところは成功するプレゼンテーションというのは、このレベルで勝負が決まっているものです。

ちなみに、プレゼンテーション・ダイヤモンドモデルの右側半分は「ヒト」に関するもの。つまり、その個人の立ち居振る舞いや伝えるための工夫です。一方で、右側は「モノ」ですから、パワーポイントのスライドや配付資料になります。いずれにしても、これらの要素をモレなく考えることが、プレゼンテーションの成功の秘訣です。

 

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プレゼン準備でパワーポイントの「その前」に

プレゼンテーションの準備で、スライド作成のためにパワーポイントを起動させたものの何も進まない…ということってありませんか?

プレゼンでパワーポイントの落とし穴

これ、実は初心者にありがちな落とし穴で、プレゼン準備で最初に立ち上げるべきアプリはWordです。いえ、別にワードでなくてメモ帳でいいのですが、まずはプレゼン全体の中身、つまりコンテンツをまとめることがスタートポイントです。考えてみれば当たり前ですが、コンテンツの全体像がまとまらないうちにパワーポイントを起動させても、どこから手を付けたらいいものやら分かりませんよね。

プレゼンテーションの準備でWordを開いたらまず次の3つのことをしましょう。それが、

  • 伝えたい主張を明確にする
  • 主張に対する根拠を用意する
  • 主張と根拠をもとにストーリーを作る

というものです。まずは主張、つまりそのプレゼンテーションを通じて何を伝えたいのかを明確にしたうえで、その主張の裏付けとなる根拠を並べていく。これがプレゼンテーションのコンテンツの基本形です。

ただ、主張と根拠をただ並べただけの「〇〇をご提案します。なぜなら…」というプレゼンテーションは、聞き手が飽きてしまい伝わるものも伝わらなくなってしまいます。聞き手が思わず興味を持ってプレゼンテーションを最後まで聞いてしまうようなストーリーに組み立てることが大切です。

プレゼンテーションのストーリーに肉付けする

主張と根拠が明確になり、ストーリーがある程度できたら、ようやくパワーポイントを起動してスライドづくりです。このとき、1枚目から順に作る必要はありません。まずはストーリーを追って文字だけを入力しましょう。ポイントは、1スライド1メッセージです。ここでは〇〇を言う、ここでは〇〇を言う…といったメモ程度で大丈夫。全体の骨組みを作るようなイメージです。

メモ程度であっても資料の全体が見えてきたら肉付けしていきましょう。ど肉付けは、どのページにも満遍なく。肉付けしていく中で、実はこの2つのページは同じメッセージだったということに気付いたり、1つのページに複数のメッセージが含まれていることに気付いたりし、修正していくことができるでしょう。

プレゼン準備は隙間時間で

プレゼンテーション資料の作成の大部分は考える作業と言っても過言ではありません。考える作業には、必ずしもまとまった時間やパソコンが必要なわけではありません。忙しい人ほど、スキマ時間を使ったりしながらまずはしっかり考え、3つのことがまとまった上でパワーポイントに落とし込んでいきましょう。時間を無駄にせずに資料を作成することができます。

この作成方法には、資料作成が思うように進まなかった場合、最初の方のスライドはしっかり作りこまれているのに最後に近づくにつれて手抜きスライドになるといった症状を避けられるという利点もあります。

また、全体を見渡しながら資料を作成することで、頭の中にも全体像が満遍なく入ってきます。結果として話しやすくなり、“最初の方はバッチリなんだけれど最後の方はちょっと不安…ちゃんとできるかな”という困った状況も回避することができます。

プレゼン初心者が陥りがちな「棒読みの罠」

プレゼンテーションの初心者だし、苦手だからこそきちんと話すことをメモにしておかなくちゃ、と一生懸命にシナリオを作って練習する方ほど陥りやすいワナがあります。

それは、シナリオに頼りすぎて聞き手の反応を無視してしまうというワナ。

練習している時はシナリオ通りに読めばいいので、練習を重ねるほどシナリオが頭に入ってきて自信が付きます。ところが、いざプレゼンテーションの本番と言う時、聞き手という人間相手ではシナリオ通りに進めても理解してもらえない時もあります。

そんな時にはもちろん、プレゼンテーション中に説明を追加する必要がありますよね。ところがシナリオを作って読んでいては、聞き手の反応を感じ取ることができないだけでなく、シナリオ以外のことができなくなってしまいます。

プレゼンの目的は、聞き手の行動を促すこと

そもそも上手なプレゼンテーションとは何か。スラスラと立て板に水のようにきれいな声で話すことではありません。プレゼンテーションの目的は、プレゼンテーション後に聞き手にこちらの期待する行動をとってもらうことです。そのためには、聞き手がどのくらいプレゼンテーションの内容に共感して理解しているかが重要です。プレゼンテーションの途中で聞き手が理解できなくなっているのにそのまま進めてしまっては、とてもこちらの期待する行動はとってもらえません。

聞き手の反応によってプレゼンテーションを少しずつ変えなくてはなりません。誤解を恐れずに言うならば、シナリオを作ってはいけません。一対一で誰かと話す時、要点は決めたとしてもシナリオは作りませんよね。プレゼンテーションは複数の人がこちらの話を聞くという状況が多いですが、本質としては聞き手一人一人と会話をしているのです。伝える要点はしっかりまとめる必要がありますが、シナリオにする必要はありません。

実際、プレゼンテーションの書籍「心をつかむビジュアル・ストーリー型プレゼンテーション」でも、女子大生たちがプレゼンテーションを習得するためには、最初はシナリオに頼っていたのが、練習を積むことによって徐々にシナリオを忘れるという流れが紹介されています。

プレゼンテーションはテレビではなくスタジオライブ

プレゼンテーションはテレビではなくスタジオライブなのです。聞き手にとって、話してが自分に向かってしっかり話していると感じられると、より共感や理解につながりやすくなり、最終的には提案されている行動をとることへつながります。

プレゼンテーションの成功はスラスラ話すことではなく、聞き手にこちらの期待する行動をとってもらうこと。そのためにも、シナリオは大きな落とし穴があると肝に銘じておきましょう。

MBA式プレゼンテーションセミナー:プレゼンで、聞き手を「どんビキ」させる法

プレゼンテーションでは、伝えたいことを明確に伝えるために、内容をしっかり組み立ててて話し出す。たとえば、

「今日は〇〇についてご説明します。ポイントは3つ。まず一つ目は…」

なんてスタートして、(よし、うまくいっているぞ…)と思うのに、聞き手の反応が微妙…ということありませんか?

というか、正直なところ聞き手は「微妙」どころではありません。むしろ「どんビキ」。(あ~、よくある三点話法ね、はいはい。この手の話し方するヤツはたいていつまんないプレゼンするんだよね~)と、心の中では思っています。

プレゼンがつまらないと判断するのは「脳」

じっさいこれは脳の研究からも証明されているようで、吉田たかよし先生の著書「脳を攻略!最強のプレゼンテーション」の中では、こんな風に解説されています。

「プレゼンの冒頭で全体の要約を示してから本論にはいると分かりやすい」。「第一に…、第二に…、第三に…といった具合にナンバリングを行うと分かりやすい」。多くのノウハウ本には、このようなアドバイスがもっともらしく書かれています。しかし、はっきりいって、こんなことをやったらプレゼンに負けてしまいます。脳のしくみを考えれば、その理由は明確です。初めに全体像がわかったら、聞き手の脳は興味を半減させます。ナンバリングによって情報が並列になったまま提示されたら、聞き手の脳に負担がかかり嫌気が差します。

これでは、プレゼンテーションのそもそもの目的である、聞き手の共感を得て、プレゼンテーション後にこちらの期待する行動を聞き手にとってもらうことはできません。

プレゼンは壮大なストーリーを描く

では、プレゼンの構成はどうしたらいいの?という疑問への答が、「ストーリー感」です。

イメージとしては、プレゼン後に聞き手に撮ってもらいたい行動(もしくは「その先」)をエンディングとした壮大なストーリーを描くのです。その途中では、

  • なぜ〇〇をした方がいいのか
  • 〇〇は聞き手にどんなメリットがあるのか
  • 〇〇をしなかった場合にはどんなのデメリットがあるのか

などの要素を盛り込むことにより、話、つまりストーリーに広がりを持たせることができます。

ストーリーを組み立てることで、プレゼンテーションの内容は共感を伴って聞き手の頭に届きます。聞き手にとってプレゼンテーションの内容が他人事から自分事になります。自分事となった時にはプレゼンテーションの内容は退屈なものから興味のあるものへと変わります。そして聞き手にとって自分で試してみる価値のあるものとなり、こちらが期待する行動に結びついていきます。

ストーリーの中には、ぜひ自分にしか話せない要素、例えば体験談を取り入れてみましょう。そうすると、同じ内容のプレゼンテーションでもあなたオリジナルのプレゼンテーションになっていきます。

MBA式プレゼンテーションセミナー 「情報詰め込み症候群」にはランク付けで対応

プレゼンテーションの日にちが決まって、「何を話そう」「資料はどうしよう」と、あれやこれやと考えているとアッという間に本番の日が迫ります。とにかく盛りだくさんで…と集めた情報を全て詰め込んでプレゼン当日を迎えたら、聞き手の反応はかなり微妙…ということありませんか?

これ、典型的な準備不足のプレゼンテーションで、「情報詰め込み症候群」と呼んでいます。サボっていたわけではなく、それなりに頑張って準備をしていたのは分かりますが、それって聞き手には関係ありません。だって、プレゼンテーションを聞く側にしたら、溢れかえる情報の中で何を考えて何をすべきなのか混乱してしまいます。「結局、この人は何を言いたかったんだろう?」と聞き手の頭の中は“?”だらけ。

「情報詰め込み症候群」に陥ったプレゼンテーションでは、話し手の頭の中もまだ混乱していることがほとんどです。頭の中で情報が整理されていないうちにプレゼンテーションをしなくてはならないという最悪のパターンですよね。

プレゼン準備は情報のグルーピング

そんなときの情報を整理の第一歩は、集めた情報をグルーピングすることです。

そのとき、

プレゼンテーション後に聞き手にどのような行動をとってほしいのかを明確にする
なぜ聞き手はその行動をとるべきなのか理由を3つ挙げる
3つの理由を裏付ける根拠として集めた情報を3つにグルーピングする

という順序で考えてみると整理しやすいでしょう。

情報をグルーピングすることができたら、今度はどの情報が「聞き手にこちらの期待した行動をとってもらうこと」に貢献しそうかというランキングを作ります。あとはプレゼンテーションの時間に合わせて上位にランクインした情報から採用していくだけ。情報を取捨選択することで、聞き手を情報の中でおぼれさせることはなくなります。

プレゼンできない情報は補足資料に

もちろん、下位にランクされた必要ない情報は捨てますが、「もったいなくってできない」という人は、プレゼンテーションの際に配付する資料の末尾に「補足資料」として付け加えておくのが正解です。いざというときには、「○ページの補足資料を見てください」ということができますからね。

このように、こちらの頭の中で情報が整理されていると、聞き手からのツッコミや質問にも支離滅裂な回答をすることがなくなります。対話型のプレゼンテーションも怖くなくなります。trash photo

MBA式プレゼンテーションセミナー:プレゼンテーションは準備8割、本番2割

プレゼンの準備…と聞くと、「何を話そうか」、「投影するスライドはどうしようか…」というのがまっさきに頭に思い浮かびますが、実は「その前」が大事であるとMBA式プレゼンテーションでは考えています。

事前に準備がしっかりとできていればも安心ですし、なにより「本当に言いたいこと」がしっかり固まっているので、多少本番でグダグダになっても、プレゼンテーション本来の目的である「聞き手に期待した行動をとってもらうこと」が実現できます。

逆に、プレゼン本番で「立て板に水」のようにスラスラしゃべることができたとしても、「そもそも聞き手に何を伝えて、どうしてもらえればいのか」が決まっていないとプレゼンを成功に導くことはできないでしょう。力のいれ具合としては、「準備8割、本番2割」ぐらいが適切です。言い方を変えると、本番に注ぐ力の4倍ぐらいは事前準備で使いましょう、となります。

プレゼンの聞き手は誰?

では、事前準備で何が大事かというときに、まず最初に来るのが「聞き手の分析」です。チェックリスト風に言うならば、

  • 年齢・性別
  • 役職
  • 地域性 (保守的・大げさに面白く、などコミュニケーションスタイルの好み)
  • プレゼン内容に関してどのくらいの事前知識を持っているのか
  • プレゼン内容に関して好意的なのか否定的なのか

などが分かると準備がしやすくなります。これによって、「どんな内容を、どのように伝えたら、聞き手がこちらの期待した行動をとってくれそうか」を設計できるからです。

聞き手が複数のプレゼンテーションで気をつけること

加えて、プレゼン後に聞き手が複数人で意思決定する場合には、

  • 意思決定はどのようにされるのか (上長のトップダウンか、合意に基づくか、担当者に任されるか)
  • キーパーソンは誰なのか
  • 意思決定の要因は何か (品質、予算、納期)

なども、分かっている方が良いプレゼンテーションができるのは言うまでもありません。もちろん、これらの項目は事前調査しなければなりません。

社内のプレゼンであれば、聞き手がどんな人なのかは分かりやすいかと思いますが、たとえ商談などのように社外の人向けのプレゼンであっても、事前の商談の際に探りを入れておく必要があります。
meeting photo

「ご静聴ありがとうございました」の罠

プレゼンテーションの最後に聴衆に向かって、「ご静聴、ありがとうございました」と言う人がいますが、実はそこには罠が潜んでいます。

というのを、プレゼンテーションのそもそもの目的という観点から考えてみましょう。人前で話すとき、ついつい「話すことでいっぱいいっぱい」になり、話すことそのものが目的になってしまいます。結果として、話し終わってホッとした、あぁ、よかった…と考えがちですが、本当の目的はそこにあるのではないと私たちは考えています。

むしろ大事なのは、「プレゼンテーション後」。

プレゼンテーションを聞いた方が、話し手が期待する行動をとってくれて始めてプレゼンテーションが完結するというのが、私たちプレゼンテーション・カレッジが考えるプレゼンテーションの目的です。たとえば営業のプレゼンテーションであれば、お客さまが「よし、買おう!」と言ってくれる、もしくは社内のプレゼンテーションであれば、自分の企画にゴーサインをもらう、等ですね。

もしご自身がプレゼンテーションするとき、最後を「ご静聴、ありがとうございました」でしめくくることが多い方は、「話すことそのものが目的化してしまっているのでは?」と見直してもいいかもしれません。その上で、最後を「では、○○をお願いします」という提案型にするだけで、プレゼンテーションの効果がグッと上がるはずです。

プレゼンにもあった、右利き左利き

プレゼンテーションをしていると、「あれ?今日は調子がイマイチでないな」という時ってありますよね。そんな時は、スクリーンのどちら側に立っているかを見直してみると発見があるかもしれません。

というのは、プレゼンテーションの際にも利き手が関係しているから。普段は右手でスクリーンを指し示している人が、左手を使わなければならないと言うだけで、今イチ調子が出ないことってあるのです。

プレゼンテーションする場の状況によっては、資料を置く場所が決まっていたりして、どうしても立ち位置が決まってしまうこともありますが、それでもできるだけ自分が快適な場所を探してみてはいかがでしょうか?

TEL 03-6686-1808 10:00 - 18:00 (土・日・祝日除く)
運営: シンメトリー・ジャパン株式会社

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